ソニービルの実験的プログラム 「#007 eatrip city creatures」

Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)は「変わり続ける公園」をコンセプトとして、2020年秋までの期間限定で、年間を通して驚きや遊び心が感じられるさまざまな体験型イベントやライブなどのプログラムを実施している。ITライフハックでは、これまで同パークで開催された各種イベントの様子を直接取材し、お伝えしてきた。

2019年4月20日より開催した実験的プログラムの第7弾「#007 eatrip city creatures」では、フードクリエイティブチーム「eatrip」を主宰する「料理人(りょうりびと)」の野村友里さんをコラボレーションパートナーとして迎え、都会の真ん中で、銀座の地下に湧き出る水と、訪れる人々の声や街の音、奏でられる音楽を栄養素として食物を育てるプログラムを実施する。期間は2019年5月24日まで。この開催に先だって内覧会が行われたので、その模様をお届けしよう。

■銀座の地下に突如、水畑が出現
銀座は都内有数のショッピング街であり、今日では有名ブランドの直営店や、高級飲食店、夜の蝶がいる街として知られている。そんな銀座にあるソニービルを建て替えるにあたり、期間限定のイベントスペース「Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)」を実施中だ。コンセプトは「都市の中の変わり続ける公園」だ。

ソニービルの跡地は、イベントスペース「Ginza Sony Park」となった
ソニービルの跡地は、イベントスペース「銀座ソニーパーク」となった


読者の方は、銀座のあたりは江戸時代には海が広がっていたことをご存じだろうか。またGinza Sony Parkがある数寄屋橋交差点付近は、昭和中頃まで水が張られた堀だった。その名残りから銀座周辺には、現在でも地下水が流れているのだという。野村さんと話を進めて行く中で、食物が育つために必要な「水」という大事な資源が銀座にあることに着目し、「#007 eatrip city creatures」では水畑を作ろうという話になったのだという。

地下3階に作った水畑には、実際にGinza Sony Parkの地下に流れている湧水を利用しており、来園者の声やライブ演奏の音を植物に聞かせながら育てる。さらに音に反応する水のインスタレーションも用意されている。実際に体験してみると、音とシンクロして光が変化したり、水面に波ができたりする演出があり、まるで異次元に迷い込んだかのような幻想的な空間を楽しめた。

水畑と音に反応する水のインスタレーションを見られる地下3階
水畑と音に反応する水のインスタレーションを見られる地下3階

また地下3階の一角にある小型ディスプレイと、正面のプロジェクターで投影された映像には、銀座に湧き出る地下水の様子がリアルタイムで表示される。銀座という都会の真ん中で、水がこんこんと湧き出している様子に驚かされた。

Ginza Sony Parkの地下に湧き出る水の様子
Ginza Sony Parkの地下に湧き出る水の様子

地下2階には、誰でも自由に弾けるピアノを常設した。ここで奏でられる音は地下3階の水畑と連動している。さらにピアノを囲む水路には、斬新的な花の楽しみ方を提案する花屋「The Little Shop of Flowers」による「花の循環インスタレーション」があり、音にシンクロして水が流れる仕組みとなっている。内覧会では、スタッフがピアノを演奏してくれたが、音と連動する生け花のような印象を受けた。このインスタレーションは開催期間を通して、徐々に姿を変えていくという。

The Little Shop of Flowersによる「花の循環インスタレーション」
「The Little Shop of Flowers」による「花の循環インスタレーション」

かつてのソニービルは地上8階建てのビルだったのだが、地下水が多い銀座では、地上部分がなくなると、ビルの地下部分が浮いてしまうリスクがある。そこでGinza Sony Parkを作る際、ソニービルを取り壊しながら「銑鉄(せんてつ)」と呼ばれる鉄の塊を重石として加えていったそうだ。最終的には、重石は、実に約95トンにもなったというから驚きだ。

■銀座の柳染めと、布のインスタレーションによる美しい吹き抜け
銀座は海を埋め立てた土地なので、様々な木を街路樹として植えたがうまく育たなかった。そこで水に強い木として柳を植えたところ、柳はうまく根付き、「柳通り」という通りの名前ができるほど、銀座は柳の街として有名になった。

そんな銀座のシンボルである柳で、「銀座ならではの染め物ができないか」と、柳による草木染めにチャレンジしたのが、着物の専門店「銀座もとじ」だった。地下2階では、「銀座もとじ」の二代目泉二啓太(もとじけいた)氏による「銀座の柳染め」を見ることができる。

泉二啓太氏による「銀座の柳染め」のタペストリー
泉二啓太氏による「銀座の柳染め」のタペストリー

地下2階から地下3階へ降りる階段では、天井を見上げると、布のインスタレーションによる美しい吹き抜けを見ることができる。これは染色家Kitta Yuko氏による作品で、地上から地下へ降り注ぐ光と、草木染めで彩られた美しい布とのコラボレーションの美しさに、思わず心を奪われる。

染色家Kitta Yuko氏による布のインスタレーション
染色家Kitta Yuko氏による布のインスタレーション


■日本各地の美味しい食べものを週替わりで販売
Ginza Sony Parkには、もうひとつの楽しみ方がある。銀座の築地周辺は日本全国から食物が集まってくる土地柄でもあることから、地下2階では「銀座築地マーケット」も実施される。ここではeatripが選び抜いた日本各地の美味しい食材を、週替わりで販売する。

取材時には、北海道と東京から集めた旬の食材が陳列されていたが、食材は週替わりで変わるので、Ginza Sony Parkに毎週通うだけで、日本各地の美味しい食材が入手できるわけだ。

「銀座築地マーケット」のスケジュール
第1週:4月20日(土)〜4月26日(金) 北海道・関東
第2週:4月27日(土)〜5月 3日(金・祝) 近畿・中部地方
第3週:5月 4日(土)〜5月10日(金) 中国・四国地方
第4週:5月11日(土)〜5月17日(金) 九州・沖縄地方
第5週:5月18日(土)〜5月24日(金) アンコール - welcome back -


eatripが選び抜いた食材を週替わりで販売する「銀座築地マーケット」
eatripが選び抜いた食材を週替わりで販売する「銀座築地マーケット」


Ginza Sony Parkでは、今後のイベントとして、ミュージシャンUA、BIGYUKI、U-zhaanによるライブをはじめ、さまざまなトークイベントや、ワークショップが開催される予定だ。期間限定のイベントだが、テーマパークのような楽しさがある。銀座の近くに行く機会があれば、足を運んでみてはいかがだろうか。

■#007 eatrip city creatures 開催概要
開催期間: 2019年4月20日(土)~5月24日(金)
開催時間: 10:00〜20:00
会 場 : GL/ 地上〜 PARK B3/ 地下3階
料 金 :入場無料
※一部有料のワークショップ有


Ginza Sony Park 公式サイト

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ソニーは銀座でSONYになった
宮本喜一
プレジデント社
2018-07-28