個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第五十三回

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■はじめに
前回の記事でお知らせした通り、iBooks Authorアップデートネタの後編です。今回はiBooks AuthorからのEPUB書き出しに関するトピックです。
※今回は、諸事情により変則的な掲載になることをご了承ください。

■iBooks AuthorのEPUB書き出し機能について
ver.2.3にアップデートしたiBooks Authorでは、ePubテンプレートが追加されました。

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このテンプレートを選択して新規ドキュメントを作成すると、EPUBの電子書籍を作成できます。本ブログでは「EPUB制作用の安価で使い勝手のよい手頃なツールが見当たらない」と何度か述べてきました。

もしかしたらiBooks Authorが「それ」になるのでは?との期待をこめてこの機能をチェックしてみましたが、どうも世界はそう甘くないようです。最終的な評価は各自で下せばよいと思いますが、まず以下に私の感想を述べておきます。

基本的に、iBooks Authorで制作したEPUBファイルは、iOS8.4およびMac OS X 10.10.4以降のiBooks(以下「最新のiBooks」)向けと考えるのが妥当です。

以下、その辺りを含めてiBooks AuthorでのEPUB書き出しについて触れていきます。

・iBooks AuthorのEPUBの概要
iBooks Authorで作成できるEPUBはリフロー型のものです。いわゆる日本語書籍向けの機能である、縦組み、ルビ、右開きなどはサポートされていません。作成されるEPUBは概ねEPUB3.0の仕様に準拠したものですが、最新のiBooksでしか適切に動作しない仕組みがあり、注意が必要です。

作成したEPUBはライセンス的には他の電子書店等で有料販売しても問題なさそうです。下記AppleのiBooks Authorに関するFAQページの「iBooks Author で作成されたブックを配布する際に何らかの制限はありますか?」という項目に以下のような記述があります。

「ブックが有料で、かつ .ibooks フォーマットで作成されている場合、iBooks Store 以外で販売することはできません。ブックが PDF や ePub など別のフォーマットで作成されている場合、この制限は適用されません。」

[Apple:iBooks Author:公開および配布についてよくお問い合わせいただく質問 (FAQ)]

・ウィジェット及び各種オブジェクトの扱い
ウィジェットはiBooks Authorブックで使えるインタラクティブオブジェクトの総称で、うまく使えば電子書籍の読者体験を向上できる仕組みです。

また、iBooks Authorブックでは、フローティングのテキストボックス、図形オブジェクト、グラフオブジェクトなども使えました。これらの各種ウィジェット/オブジェクト類はほとんど使えません。

使用可能なウィジェットは、ギャラリー、メディア(ビデオ/オーディオ)、HTMLのみ、他のオブジェクトは表オブジェクト程度です。

通常のツールバー

通常のツールバー


ePubテンプレートのツールバー

ePubテンプレートのツールバー

メディアウィジェットはHTMLで言うとvideo要素/audio要素で表現できるので疑問はありませんが、ギャラリーウィジェットについて疑問がありました。

実際に試してみたところ、最新のiBooksでは適切に動作するものの、古いiBooksや他のEPUBリーダーでは画像が並べて表示されてしまいました。

最新のiBooksで表示

最新のiBooksで表示

古いiBooks

古いiBooks

古いiBooks

古いiBooks

・用語集について
iBooks Authorには用語集という機能があります。
これもEPUBテンプレートで使えます。用語集はいわゆる脚注リンクとして使えます。iBooksの脚注リンクはフキダシとして表示され、ページ全体の遷移が無く読書のテンポがあまり乱されません。

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このフキダシによる脚注表示は、iPadやMacの場合古いiBooksでも行われます。ただし、古いiBooksでは脚注(用語集)ページが巻末に表示されます。最新のiBooksでは脚注(用語集)ページは巻末には表示されず、[用語集]ボタンをクリックしたときに表示されます。

特徴的なところはこのあたりですが、基本的なところで追加しておくと、古いiBooksではiBooks Authorで設定した文字サイズの印象より随分大きく見えてしまう、というのがあります。番外扱いにしましたが、案外こういう基本的な点が最も大きな問題かもしれません。

全般的に、iBooksストア向けに横書きで差し支えないEPUB書籍を出版するなら悪くないかもしれませんが、iOS8.4やMac OS X 10.10.4がある程度広まらないと使いにくいように感じます。古いiBooksでも開けてしまうので、思わぬクレームを受ける可能性がありそうです。

■最後に
個人的にiBooks Authorのアップデートに期待するのは、縦組み、ルビ、右開き等なのですが、グローバルな仕様ではないので一向にサポートされません。

今回のEPUB書き出しとiPhoneでの閲覧対応は、想定外であり大きな改変だと思うのですが、今回も期待していた部分では変化ナシでした。その意味で、どこかでガッカリしていた部分もあるのですが、閲覧環境の改善というビジョンが見えました。

ここはもう1つ個人的に期待しているWindows版&Android版iBooksのリリースも望みを捨てずに待ちたいと思います。

以下告知です。

トレーニングスクール ロクナナワークショップにて、電子書籍関連のハンズオン講座を行います。ロクナナの講座は少人数制でしっかり深く理解できます。

「Apple:iBooksストア用電子出版講座」
日時:2015年08月11日(火)11:00~18:00
料金:29,800円(税込み)
会場:東京原宿(ロクナナワークショップ)

「Amazon:Kindleストア用写真集講座」
日時:2015年09月01日(火)11:00~18:00
料金:29,800円(税込み)
会場:東京原宿(ロクナナワークショップ)

確認したいことがございましたらロクナナワークショップお問い合わせフォームよりお送りください。

■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi

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