仕事の確認や友人との会話など、リアルタイムでテキスト会話するインスタントメッセンジャーは、Webページの閲覧やメールに次いで利用者の多いインターネットサービスです。





インスタントメッセンジャーには、マイクロソフトのWindows Live メッセンジャーやYahoo!のYahoo!メッセンジャー、Googleが作ったGoogle Talkなど、多様なサービスが無償で提供されています。インターネット無料電話ソフトであるSkypeもインスタントメッセージ機能を持っているため、広義にはメッセンジャーサービスの一つと解釈されています。



では、そもそもインスタントメッセンジャーとはどういったものなのでしょうか。

今回は、日頃は当たり前のように利用しているインスタントメッセンジャーについて見てみましょう。





■インスタントメッセンジャーって何?

まずは、インスタントメッセンジャーで何かできるのか、インスタントメッセンジャーのどこが便利なのかを調べてみましょう。



●インスタントメッセンジャーは、文字の電話?

インスタントメッセンジャーは、インターネットを介して、ユーザー同士がリアルタイムで文字や記号をつかって会話できるコミュニケーションツールです。メールでも同様にテキスト(文字)を使いますが、インスタントメッセンジャーの場合はメッセージを瞬時にやりとりできるところができます。



●インスタントメッセンジャーの秘密

インスタントメッセンジャーは、なぜ瞬時にメッセージをやり取りできるのでしょうか。



その秘密は「P2P(Peer to Peer)」技術にあります。

P2Pは、情報漏えいで話題となるWinnyなどにも使われている技術ですが、大量のデータを送受信するのに適した方法でもあります。ネット上のサーバーを介さずに利用者同士が相互に情報を交換・共有しあうP2P技術では、特定のサーバーに負担がかかることがないので素早い情報のやり取りが可能なのです。



●インスタントメッセンジャーで何ができるのか

インスタントメッセンジャーでできることは以下のことです。

・登録した相手が席にいるか、会話可能なら名前が表示される

・相手がログインしていない場合も、相手がログインしたときに見られる

・1対1の対話だけでなく、ログインしている複数人で会話ができる

・自分のところにあるファイルを相手に送信できる





現在のメッセンジャーは、文字だけでなく音声通話、Webカメラを使ったビデオチャットや、ファイルの共有機能まで持った、多機能なコミュニケーションツールへと進化しています。

それでは、メッセンジャーにはどのような種類のものがあるのでしょうか。





■インスタントメッセンジャーの種類

現在使われている、主なインスタントメッセンジャーを紹介します。



●Windows Live メッセンジャー(Mac OS版ではMicrosoft Messenger)

Windows Live メッセンジャーとは、MSN メッセンジャーの後継ソフトとして、マイクロソフトが開発したメッセンジャーサービスです。Windowsユーザーなら両者ともにおなじみなのではないでしょうか。

サービスが使用できない環境を想定して、Internet Explorerなどのウェブブラウザ上で動作するMSN Web Messengerもあります。文字チャットやファイルの送受信だけでなく、音声・映像チャットや対戦ゲームもできます。



●Yahoo!メッセンジャー

文字でのチャットに加えゲームにも対応しています。MSN メッセンジャーと2006年7月12日から相互運用が開始され、両者の垣根は狭まりつつあるといえるでしょう。



●インスタントメッセンジャーの新興勢力、Google Talk

Googleもインスタントメッセンジャー事業に乗り出しています。ここではGoogleのインスタントメッセンジャー、Google Talkの主な機能を紹介します。

Google Talkの主な機能を語るうえで、Gmailとの連動がキーとなっています。

・デフォルトの状態なら直近30通の未読メールを表示

・任意で保存できる会話履歴はGmailのアカウントに格納

・iPhone対応版も登場

・ブラウザ上でも利用できる



●Skype

Skypeの場合、文字による通信などのインスタントメッセンジャー的なサービスに加えて、IP電話機能をメインの機能としています。つまり、Skypeのユーザー間では、何時間でも無料で音声通信が可能ということです。



Skypeには、Skypeユーザー同士の無料通話サービスのほかに、一般固定電話や携帯電話と通話できる有料サービスも用意されています。

・Skype In

一般の電話からの着信を受けられるサービスです。自分の側で着信を受ける国を選べるため、相手がかける通話料の負担をおさえられるというメリットがあります。Skype所有のサーバでVoicemail機能をふくむ留守番電話機能が提供されています。



・Skype Out

Skype Inが着信を受けるサービスなら、Skype Outは世界各地域の固定電話・携帯電話などに格安で電話をかけるサービスです。インスタントメッセンジャーのように、通話の履歴を見ることもできます。

Skype Outは、提携電話会社にゲートウェイを設置することで提供しています。Skypeが提携している電話会社の加入者とは、特に安い値段で通話することができます。

この機能は、2004年のSkype 0.98βから実装されました(正式には初の正式版であるSkype 1.0から)。



・PSP-2000との連携

今年の3月からは、新型PSP(PSP-2000)向けにもSkypeの提供が開始されました。Skypeによって、PSPはただのゲーム機としてではなく、IP電話としても利用できるようになりました。

また、Skypeのサービスを使えば、簡単に電話番号を取得することも可能です。

すぐに使える電話番号を5分以内にさくっと作る方法



●ICQの全盛期の勢いと衰退

10年ほど前にはICQというインスタントメッセンジャーが主流で、全盛期には世界中で1億数千万人のユーザが利用しました。1998年に開発元のMirabilis社がAOLに買収されてから、ICQはAOLのインスタントメッセンジャーの影に隠れがちな存在になりました。





■インスタントメッセンジャーのダークサイド

インスタントメッセンジャーは便利ですが、大きな問題もあります。今度は、インスタントメッセンジャーの影の部分をみてみましょう。



●Skypeを取り巻くリスクや諸問題

ユーザーには得することずくめのSkypeですが、既存の通信の利益モデルを脅かすということで懸念されていることもあります。



・iPhone 3GにSkypeを導入?

iPhone 3GにSkypeを入れることも考えられていますが、これをやるとソフトバンクモバイル側が設定している通話料を無視して会話することができるため、懸念されています。



・Skypeによる「回線乗っ取り問題」

YouTubeなどの動画共有サイトにも同じことが言えますが、大量のデータを流すSkypeは、インフラ事業者などからインターネット上の回線を圧迫していると指摘されています。



■インスタントメッセンジャー全般に共通する問題

Skypeに限らずインスタントメッセンジャー全般が抱えている問題として、セキュリティの問題があります。



●「スピム」あるいは「IMスパム」

基本的に、登録している知りあい同士の会話になるインスタントメッセンジャーですが、知っている相手の名前で有害なURLやファイルを送信してくるタイプのウイルスが存在します。心を許している相手だと思って、それらのファイルを開いてしまうことが多いため、インスタントメッセンジャーがウイルスの感染経路となる例もあります。



スピムについて



●社会的に有害な状況

便利さゆえに、離れたところにいる人間どうしが、犯罪やテロ行為の計画など、社会に危険を及ぼす行為に利用される可能性も指摘されています。そのほか、インスタントメッセンジャーを通して見ず知らずの人が出会い、事件に巻き込まれることもあります。





■インスタントメッセンジャーが現在の通信業界に与えた影響

今年の9月16日から、NTTコミュニケーションズは「050ビジネスダイヤル」という、050IP電話の特性を活かした新たな受け付け番号サービスの提供を開始しました。

050ビジネスダイヤルは、以下の要素を売りにしています。

・全国一律のお得な通話料

・受け付け番号が簡易に開設、固定・携帯なども種類制限がない

・ネット上で設定を柔軟に変更できる



NTTコムがビジネスIP電話を提供開始





SkypeなどのIP電話を意識したサービス内容を見ると、古くから通信インフラの大手であったNTTも危機感をおぼえているようです。

「回線乗っ取り」などと揶揄されたSkypeですが、これまでの電話にかわって主要な通信となる日がやってくるのかもしれません。





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