株式会社工人舎は、798gのウルトラモバイルパソコン「SCシリーズ」とDVDスーパーマルチドライブを内蔵したノートパソコン「SXシリーズ」を発売した。



いずれのノートパソコンもインテルのモバイル向けCPUであるAtomを搭載し、ワンセグテレビチューナーやタッチパネルを採用するなどコダワリを持ったノートパソコンに仕上がっている。



今回は、モバイルにコダワリ続ける株式会社工人舎 企画部部長 佐藤滋俊氏に、SC/SXシリーズ開発までの経緯と同社のモバイル戦略についてうかがってみた。


■ライバル機は想定していない

編集部:まずはじめに開発の経緯から教えていただけますか。

佐藤氏:SCシリーズは従来機※と同じ画面サイズのままできるだけ筐体を小さくしようというアイデアから生まれました。逆に筐体サイズは同じままでできるだけ大きな画面サイズにしようとしたのがSXシリーズです。ですから、従来のSH/SRシリーズの派生でしかなく、そんなに突拍子もないことをやった訳ではありません。

※SH/SRシリーズ



その中でひとついえば、「7インチの液晶サイズは文字を見るのがつらい」という意見があり、「画面はもう少し大きいほうが良いのでは」という意見はありました。

写真1 SCシリーズの液晶画面写真2 左が従来機、右がSCシリーズ
写真1 SCシリーズの液晶画面写真2 左が従来機、右がSCシリーズ

編集部:最近話題のEee PCなど、ライバル機を想定されていますか。

佐藤氏:いいえ。全然想定しておりません。



編集部:どういったユーザーをターゲットとして想定さされているのでしょうか。

佐藤氏:どの機種もこれまでの機種と同様で、3台目4台目のパソコンを購入される方がターゲットです。SCシリーズがこのサイズになったからといってターゲット層は変わっていません。



編集部:ちなみに販売目標はございますか。

佐藤氏:ありません。我々の有利なところは、まだまだ若い会社で社内的な目標値もガチガチにかたまっていませんから売れると思ったぶんだけを作って、売れないと思ったら早めに次に切り換えていくかたちです。ですから、このモデルは必ず何台売るといった目標設定はありません。





■本体は軽くバッテリーは長持ち

編集部:モデルごとの特徴を教えていただけますか。

佐藤氏:各モデルに共通な点はインテルのAtomというもっとも新しいCPUを採用した点です。Atomはモバイル向けに特化して開発されたCPUですので省電力性に優れています。実際にSCシリーズではバッテリーは従来機の3分の2※になりましたが従来機と同じ3時間持ちます。SXシリーズは従来機と同じ3セルで画面サイズも大きくなりましたがバッテリーは従来機よりも長持ちします。

※3セルから2セルへ



編集部:普通に考えた場合、画面サイズが大きくなると消費電力も上がるかと思いますが

佐藤氏:おっしゃるとおりです。今回Atomを採用したことでCPUまわりの諸費電力が大幅におさえられているので、従来機よりも長持ちする訳なんです。バッテリー消費に関しては弊社のエンジニアがAtomの性能をうまく引き出しています。



編集部:ところで、ハードディスクは従来どおり2.5インチのハードディスクでしょうか。

佐藤氏:いいえ。違います。今回のモデルはすべて1.8インチを採用しています。SCシリーズは筐体サイズから(1.8インチ)採用されています。SXシリーズはDVDスーパーマルチドライブを搭載する必要があったため、残った容積にHDDを収める必要があり、1.8インチのハードディスクにせざるをえませんでした。





■従来機からのコダワリを貫いた

編集部:それぞれのモデルを開発するにあたり一番苦労された点を教えていただけますか。

佐藤氏:SCシリーズは小さくすることですね。まずキーボードですが、小さくても打ちやすいキーボードとキー配列を実現した点です。アルファベットのキーは大きく残してして両脇を圧縮した感じです。



SCシリーズでは、タッチパッドを横長のワイドサイズ(16:9)にしてあります。これはSCのためにメーカーに作っていただいた特注品です。普通に4:3でパッドを作ってしまうと小さくなり過ぎてしまいます。本体自体がタッチパネルですので、パッドはなくてもよいという意見もありましたが、そこはこだわって作りました。



編集部:ほかにもこだわった点はございますか。

佐藤氏:今までの流れ(シリーズ)にこだわったということです。どんなに筐体を小さくしてもUSBポートは2つ、アナログRGBや有線LANポート、カードスロットを残すなど、すべてのインターフェイスをそのまま継承いたしました。従来機はCFスロットだったものが、ExpressCardスロットになっただけで、あとは一緒です。



編集部:ExpressCardスロットを採用したのは大きさの問題でしょうか。

佐藤氏:大きさの問題とあとは今後を考えての問題ですね。先進性のインターフェイスを取り込もうという訳です。あとこのサイズでGPSが内蔵されているマシンはSCシリーズだけだと思います。

写真3 SCシリーズのキーボードとパッド写真4 SCシリーズのGPSユニット
写真3 SCシリーズのキーボードとパッド写真4 SCシリーズのGPSユニット

編集部:SXシリーズはDVDスーパーマルチドライブの内蔵が一番の特徴でしょうか。

佐藤氏:そうですね。このサイズでドライブ付きの製品は弊社のSRシリーズとこれだけです。

写真5 SXシリーズはSCシリーズと同様に液晶を回転させてたたむとタブレットPCになる写真6 SXシリーズでは、右側面にDVDスーパーマルチドライブを備える
写真5 SXシリーズはSCシリーズと同様に液晶を回転させてたたむとタブレットPCになる写真6 SXシリーズでは、右側面にDVDスーパーマルチドライブを備える

編集部:最後に今後の展開をお聞かせいただけますでしょうか。

佐藤氏:小さいノートパソコンでは、(工人舎は)先頭を走っていると思っていますので、それは守っていきたいと考えております。弊社の最大の強みはラインナップです。既存商品を含めると一番安い商品は5万9,800円から1万円刻みで12万9,800円まであります。



3台目4台目を購入されるお客様はパソコンをわかっている方で目も肥えている方ですから、ひとつひとつの商品にそれぞれ明確な特徴を出しております。



編集部:本日はお忙しい中、取材に応じていただきましてありがとうございました。



SCシリーズ 製品情報

SXシリーズ 製品情報

株式会社工人舎





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編集部:関口哲司

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