私たちが声優の声に接する機会は、アニメ・ゲーム・洋画(日本語版)・ラジオ・CMなど実に様々です。最近では東京の交通機関のひとつ「ゆりかもめ」新橋~豊洲間でも、声優アナウンスが起用される(※1)ほど、その活躍の場は広がるばかり。そんな中、人気女性声優(三石琴乃・椎名へきる)がナレーターを務めているプラネタリウム「サンシャインスターライトドーム満天」を体験してみました。三石琴乃といえば『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサト、椎名へきるといえば『YAT安心!宇宙旅行(何故かDVD未発売)』の天上院桂(てんじょういんかつら)。90年代を代表する名作アニメの思い出を胸に抱きながら、個人的にワクテカしつつ池袋へ向かったのでありました……。
(※1)ゆりかもめの声優:2006年3月より、新橋~豊洲間の構内案内図、精算所、トイレ案内図の音声案内を声優が担当中。声優の面々には、浅野真澄(新橋)、たかはし智秋(竹芝)、落合祐里香(日の出)、鈴村健一(お台場海浜公園)、中原麻衣(有明)、保志総一朗(豊洲)らがいる。
[満席]14時の回 「満天の星に願いを」
[満席]16時の回 「満天の星に願いを」
[満席]18時の回 「満天の星に願いを」
な、なんだってー!! 何これ!? プラネタリウムって今キテるの? そりゃあ今日は日曜日だし多少混んでても不思議はないけど、まさか[満席]とは……。と、全く想定してなかった事態にしばし呆然。しかも目的の2番組のうち、「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」は本日の最終上映が既に始まっていて、さらに「満天の星に願いを」の買えるチケットは19時の回のみ。今からでは2時間くらい中途半端に時間が空いてしまいます。
事前調査がヌルかった己の甘さを反省しつつ、ここは明日出直すことに。そのまま帰るのはもったいなかったので、とりあえずR15な映画『300(超血みどろ)』『ボラット(超下品)』を連続で観て「結構面白かったけど人に勧めにくいよなあ……」と感慨にふけってみたりしたのでした。
いよいよ本編が始まり、夏の夜空に輝く星の解説が椎名へきるのナビゲートで進行していきます(BGMはまったり風味)。このナレーションが案外良くてテラビックリ! ここ数年、声優とは名ばかりで音楽中心の活動を送り、今年3月まで放映していた久々の出演作『ときめきメモリアル Only Love』の教師役で演技力の乏しさを露呈してしまった椎名へきるのイメージからすると、まさに格段の進歩! かつてライブで熱狂し、LDやCDや関連グッズを買い集め、カラオケでは必ず1stアルバム1曲目の「天使は東からやってくる」を熱唱していた自分の中の"へきらー"(※3)なソウルが復活するような感覚を覚えました。
まあ3分くらいナレーションを聞いてると、10年以上のキャリアを持つ声優の仕事にしてはちょっと物足りないような……と現実に引き戻されてしまいましたが、個人的には結構良かったので問題なし!(フォローになってないのが無念)
(※3)へきらー:椎名へきるのファンの俗称。10年以上前にヲタ芸の前身とも言える"PPPH(ぱんぱぱんひゅー)"をすでに打っていたことでも知られる。ちなみにへきるのライブは、アルバムの枚数を重ねるたびにロック色が強まり、PPPHで盛り上がるノリは年々抑圧されていった。やがてライブは一般アーティストのそれと大差なくなり、ファンは「声優」をしてくれない状況に絶望して、次々と"祭り"から離脱。最近、声優としての活動を活発化させている背景には、ライブの動員数やCD売り上げの苦戦も影響しているのは明白ではあるものの、元ファンの私としては大歓迎。超ガンガレ、へきる!
さて、本編冒頭ではプラネタリウムが映し出す星々や、七夕にまつわるエピソードなどが語られるのですが、わりと淡々とした内容でしばらくすると眠気が……。いったいどの辺が"宇宙飛行士になる"なのかサッパリです。10数分経過して星の解説が終わると、ようやく宇宙に浮かぶスペースシャトルや、宇宙飛行士になるための水中訓練などの3DCG映像が流れてきました。どうやら冒頭の星の解説部分は前振りだったみたいです。
大迫力の映像はなかなかの出来で、まるで宇宙を漂っているような気分が味わえます。登場人物のデザインがどうもバタ臭いなあと思ったら、どうやらこれはイギリスで制作された映像だった模様。最初はどうなるかちょっと心配でしたが、入場料800円分の内容としてはまあまあ納得できる内容だったかと。
お目当てだった三石琴乃のナレーションは、葛城ミサトというよりは「ウチくる!?」のはっちゃけナレーターという感じ。プロの声優として可能な限りロマンチックに、かつ楽しく語ろうとかなり頑張ってはいました。ただ残念ながら、脚本と演出に面白みがないのが致命的で、せっかくの巨大スクリーンも、三石琴乃の演技力も宝の持ち腐れといった印象。直前に3DCG映像を駆使した番組を観ていた自分は、番組終了時に思わず「えっ、これだけ?」とと素で口が半開きになってしまいました。他の観客もなんとなくションボリしていたような気がします。
観に来た人達は「満天の星に願いを」という番組タイトルや、"福耳"が歌うテーマ曲「星のかけらを探しに行こう Again」といったものに、ロマンチックなイメージを感じて来場したのだと思いますが、残念ながら実際はそういった期待に応えられる内容にはなってませんでした。ウリとなるテーマ曲の使い方も、番組の最後になんとなく流れる程度。若干CG映像が流れたりもしましたが、「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」と比較すると安上がりで物足りないといった印象しか残りませんでした。
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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。
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(※1)ゆりかもめの声優:2006年3月より、新橋~豊洲間の構内案内図、精算所、トイレ案内図の音声案内を声優が担当中。声優の面々には、浅野真澄(新橋)、たかはし智秋(竹芝)、落合祐里香(日の出)、鈴村健一(お台場海浜公園)、中原麻衣(有明)、保志総一朗(豊洲)らがいる。
■「サンシャインスターライトドーム満天」入場までの歩み(1)。
7月某日「プラネタリウムなんて小学校の時の遠足以来かも?」という、星に対する思い入れナッシングな私は、のんびりと池袋へ到着。「サンシャインスターライトドーム満天」のあるサンシャインシティは、同人誌即売会(「サンシャインクリエイション」等)などが開催される場所だけに馴染みはあったものの、プラネタリウムに行くのは今回が初めて。「席は空いてるだろうし、サクッと観て帰るかな」と思いながら、ふと入場券売り場前の番組案内に目をやると、そこには信じられない光景が! いわゆるサプライズじゃあの(竹原慎二風に)。[満席]14時の回 「満天の星に願いを」
[満席]16時の回 「満天の星に願いを」
[満席]18時の回 「満天の星に願いを」
な、なんだってー!! 何これ!? プラネタリウムって今キテるの? そりゃあ今日は日曜日だし多少混んでても不思議はないけど、まさか[満席]とは……。と、全く想定してなかった事態にしばし呆然。しかも目的の2番組のうち、「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」は本日の最終上映が既に始まっていて、さらに「満天の星に願いを」の買えるチケットは19時の回のみ。今からでは2時間くらい中途半端に時間が空いてしまいます。
「サンシャインスターライトドーム満天」の番組案内。これで見る限り、イチ押しの番組は「満天の星に願いを(Presented by 東京電力)」みたいです。 | 初日に見た案内板。「満天の星に願いを」が大人気。プラネタリウムの不可思議な人気に面食らいながらこの日は退散。 |
事前調査がヌルかった己の甘さを反省しつつ、ここは明日出直すことに。そのまま帰るのはもったいなかったので、とりあえずR15な映画『300(超血みどろ)』『ボラット(超下品)』を連続で観て「結構面白かったけど人に勧めにくいよなあ……」と感慨にふけってみたりしたのでした。
■「サンシャインスターライトドーム満天」入場までの歩み(2)。
特別"星"にロマンを感じない、100%声優目的な私は(以下略)。今日は昼過ぎに到着して、無事にチケット2枚(2番組分)をゲッツ。連休最終日とはいえ、周りは家族連れやらカップルやら、ペア以上のお客さんの多いこと多いこと。仕事がらみとはいえ、単身1名でプラネタリウム鑑賞に来ていたのは、もしかしたら私だけだったかも……(なんというロンリー)。とりあえず、2日目にしてようやく施設に入場完了。頭上全天を覆う巨大スクリーンにちょっと感動しながら、案内係のお姉さんに促されて、奥のちょうど一人分空いた席に着席。いよいよ鑑賞開始です。最初に観た番組は「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」でした。■「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」レポ。(ナレーション:椎名へきる)
本編上映前にスクリーンにCMが流れ、いきなりロナウジーニョ(サッカー選手)と遭遇。声優目当てにシフトしていた思考回路は、一瞬大混乱です。どうやらコニカミノルタ製カラーコピー機のCMらしく、ロナウジーニョはゴールに向かって次々とフリーキックを決めてました。なんだか妙な組み合わせだなあと思ってましたが、上映後、この施設が「コニカミノルタプラネタリウム(株)」の制作したものだと知って納得。いよいよ本編が始まり、夏の夜空に輝く星の解説が椎名へきるのナビゲートで進行していきます(BGMはまったり風味)。このナレーションが案外良くてテラビックリ! ここ数年、声優とは名ばかりで音楽中心の活動を送り、今年3月まで放映していた久々の出演作『ときめきメモリアル Only Love』の教師役で演技力の乏しさを露呈してしまった椎名へきるのイメージからすると、まさに格段の進歩! かつてライブで熱狂し、LDやCDや関連グッズを買い集め、カラオケでは必ず1stアルバム1曲目の「天使は東からやってくる」を熱唱していた自分の中の"へきらー"(※3)なソウルが復活するような感覚を覚えました。
「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」のポスター。キャッチコピーは「日本初上陸!家族でドキドキ宇宙体験!」。 |
まあ3分くらいナレーションを聞いてると、10年以上のキャリアを持つ声優の仕事にしてはちょっと物足りないような……と現実に引き戻されてしまいましたが、個人的には結構良かったので問題なし!(フォローになってないのが無念)
(※3)へきらー:椎名へきるのファンの俗称。10年以上前にヲタ芸の前身とも言える"PPPH(ぱんぱぱんひゅー)"をすでに打っていたことでも知られる。ちなみにへきるのライブは、アルバムの枚数を重ねるたびにロック色が強まり、PPPHで盛り上がるノリは年々抑圧されていった。やがてライブは一般アーティストのそれと大差なくなり、ファンは「声優」をしてくれない状況に絶望して、次々と"祭り"から離脱。最近、声優としての活動を活発化させている背景には、ライブの動員数やCD売り上げの苦戦も影響しているのは明白ではあるものの、元ファンの私としては大歓迎。超ガンガレ、へきる!
さて、本編冒頭ではプラネタリウムが映し出す星々や、七夕にまつわるエピソードなどが語られるのですが、わりと淡々とした内容でしばらくすると眠気が……。いったいどの辺が"宇宙飛行士になる"なのかサッパリです。10数分経過して星の解説が終わると、ようやく宇宙に浮かぶスペースシャトルや、宇宙飛行士になるための水中訓練などの3DCG映像が流れてきました。どうやら冒頭の星の解説部分は前振りだったみたいです。
大迫力の映像はなかなかの出来で、まるで宇宙を漂っているような気分が味わえます。登場人物のデザインがどうもバタ臭いなあと思ったら、どうやらこれはイギリスで制作された映像だった模様。最初はどうなるかちょっと心配でしたが、入場料800円分の内容としてはまあまあ納得できる内容だったかと。
■「満天の星に願いを」レポ。(ナレーション:三石琴乃)
続いてのナビゲーターは三石琴乃! 個人的にはこちらが今日のメインだったので、入場前の行列でカップルとカップルに挟まれながらも気持ちは折れることなく、内心大盛り上がり(やや無理矢理)。さて、CMに続き本編が始まり、夏の夜空に輝く星の……、あれ? これって前に聞いたような……。実は結論から言うとこの番組は、直前に観た番組とネタ的にかぶる部分が多く、また派手な映像がバンバン流れるという類のものでもなかったので、あまり面白くありませんでした。「満天の星に願いを」のポスター。カップル達はこのポスターのデザインにロマンスを感じる……のか? |
お目当てだった三石琴乃のナレーションは、葛城ミサトというよりは「ウチくる!?」のはっちゃけナレーターという感じ。プロの声優として可能な限りロマンチックに、かつ楽しく語ろうとかなり頑張ってはいました。ただ残念ながら、脚本と演出に面白みがないのが致命的で、せっかくの巨大スクリーンも、三石琴乃の演技力も宝の持ち腐れといった印象。直前に3DCG映像を駆使した番組を観ていた自分は、番組終了時に思わず「えっ、これだけ?」とと素で口が半開きになってしまいました。他の観客もなんとなくションボリしていたような気がします。
観に来た人達は「満天の星に願いを」という番組タイトルや、"福耳"が歌うテーマ曲「星のかけらを探しに行こう Again」といったものに、ロマンチックなイメージを感じて来場したのだと思いますが、残念ながら実際はそういった期待に応えられる内容にはなってませんでした。ウリとなるテーマ曲の使い方も、番組の最後になんとなく流れる程度。若干CG映像が流れたりもしましたが、「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」と比較すると安上がりで物足りないといった印象しか残りませんでした。
■"声優目当て"にはイマイチ!?
「サンシャインスターライトドーム満天」は本格的な設備を整えているようですが、娯楽施設としてはイマイチ魅力に欠けます。全天周デジタルサラウンド映像システム「SKYMAX」の実力は、真に発揮されていないように思えます。結果的には、海外から買い付けた「ASTRONAUT 宇宙飛行士になる!」の方が「満天の星に願いを」よりも内容は充実していました。個人的に改良の余地は全然あると思いますので、一度観客に対してアンケートを採るなどして、今後の番組作りを検討すべきだと思うのですが……。エンターテインメントという視点で考えた場合、ニコニコ動画で活躍するMAD映像職人達の方が100倍いい仕事をしてると思いますので、参考にしてもいいかもです(これはマジ)。ちなみに声優目当ての人は、あまり期待しなければ1回くらいは観てもいいかも。おヒマならどうぞ。■カオス通信バックナンバー
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プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。
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