「今週のケータイレビューは個人的な事情でちょっとお休みさせていただいていいですか?」「なにかあったんですか?」「いや、父親が宇宙人に拉致されまして……(^^ゞ」などという会話をして〆切りを延ばしてほしい。そんな状況に至っている理由は"D904i"。ドコモから発売された三菱製の端末である。



なんで〆切に間に合わないかって? 振ったり傾けたりして利用できる「モーションコントロール」を搭載しているから…。いや、それが理由ではなく…。その「モーションコントロール」に対応しているゲーム「THE 直感ボウリング」、テレビCMでやっているアレをしすぎたからなのだ。腕がパンパンで、肩が痛く、腰まで痛いのである。さらに指までも痛いぞ……。


■まずは本体のスペックから

まずはスペックを紹介しておこう。数値につく"約"は省略させていただいた。サイズは高110mm×幅49mm×厚16.8mm。重さは114g。静止時の連続待ち受け時間が600時間で、移動時が420時間。音声通話時の連続通話時間が180分で、テレビ電話時が110分だ。メインディスプレイはTFTで2.8インチのワイドQVGA表示(横240ドット×縦400ドット)、最大26万2,144色表示が可能だ。スライド式なのでサブディスプレイはない。



正面からみたD904i。液晶画面は大きく明るく見やすい。本体裏面。カメラのレンズの横にコンパクトライトが並んでいる。



メインカメラは、有効画素数320万画素のCMOSで、最大記録サイズが2,048×1,536ピクセルだ。サブカメラは有効画素数10万画素のCMOSカメラである。データフォルダ容量は公開されていない。また、外部メモリ用のスロットが準備されていて、2GBのmicroSDタイプの外部メモリーに対応している。ちなみに外部メモリーは別売だ。本体カラーは「ミラーブラック」「ブリリアントピンク」「ミラーワイン」「スーパーホワイト」の4色が準備されている。筆者は「ミラーワイン」を購入した。



本体左側面。左より、プロテクトキー、プッシュトークボタンが並ぶ。本体右側面。左より、伝言メモ/シャッターキー、TASKキー、イヤホンマイク端子、microSDメモリーカードスロットが並ぶ。



D903iTVまでは、ボタンを押すと自動的にスライドする機構であったのが、今回のD904iからはそれがない。自分の手でスライドさせないといけなくなった。ただしけっこう軽くスライドするので、手動になったといっても問題はそれほどないだろう(アシストスライドと言う)。本体はかなり薄く、9シリーズ最薄の16.8mmである。



実際に使ってみて感じるのは、けっこう動作が遅いこと。ボタンを押して瞬時にメニュー画面などが表示されるのではなく、ワンテンポおいてから表示される。これは、慣れれば慣れるほどイライラすることになりそうだ。また、スピードセレクターも便利なのだが、ちょっと使いづらい感じだ。このスピードセレクターは上下左右斜めなど8方向に押す操作と、ぐるぐる回す操作ができる。ぐるぐる回る感じがすごく軽いので、単に片方向に押したつもりが、ちょっと回して押したというような操作をしてしまうことがあるのだ。ただし、こちらは使っていくうちに慣れていくだろう。



■ゲームだけでなくメールやミュージック、ビューアも"振って傾けて"

このD904iとSH904iには、本体の動きを感じることができる「モーションコントロールセンサー」が搭載されているので、ボタンを押すと同じアクションを、本体を動かすことで制御できたりするのである。



たとえばメールでは、メールの受信結果がテロップ表示されている時や、メールの受信結果画面を表示中に、D904iを左右に2回振るだけでメール本文を表示する画面に切り替えられる。また、ミュージックプレイヤーの再生中なら、D904iを前後に2回振ると、次の音楽データに進み、上下に2回振ると音楽データの先頭に戻すことができる。さらには、動画やiモーションの再生中やフルブラウザ、ドキュメントビューア表示中に、D904iを地面に対して縦に持った状態から左に倒して横向きにすると、自動的に画面が横表示に切り替わり、元に戻すと縦表示に切り替えることができるのである。



「THE 直感ボウリング」。バンダイネットワークスのゲームで、D904iでダウンロードして入手する。月額105円(税別)だ。



また、冒頭での書いたとおり、モーションコントロールに対応したゲームなら、本体を動かすことでゲームを楽しむことができるのである。筆者がハマったのは「THE 直感ボウリング」。本当のボウリングと同じように、構えてテイクバックして投げるといった動作でボウリングが楽しめるのである。もちろん投げ方によってボールのスピードを変えたり、ボールを曲げたりすることができるのだ。



注意することは、けっこう場所を取るため、テイクバックのときにうしろに当たったりする。遊ぶ場合には周りを気をつけた方がいいだろう。また、ケータイを投げてしまいそうになったりするので、万が一のことを考えてストラップを腕に巻き付けておくべきである。

■音楽に動画、マルチメディアも楽しめる

最近のケータイは音楽や動画に対応しているので、いろいろ対応していてスゴイなどと書くのもなにか変かな、と最近思う。カメラを搭載し始めた頃のケータイのレビューでは「写真が撮れるんです」といっていたけど、今じゃカメラが付いていない場合に「付いていません」って書いている。音楽や動画に関しても、カメラと同じように搭載して当たり前な状況に来ていると筆者は思うのだ。ただ、まだ写真のデータと違って、音楽、動画データのフォーマットが機種によって違うので、その辺は書いておいた方がいいのではないかと思っている。



D904iの対応している音楽データは、Windowsパソコン標準の音楽フォーマットであるWMA(Windows Media Audio)で、Windowsパソコンを持っていれば、Windows Media Playerを利用して(D904iとパソコンを同梱のUSBケーブルで接続する)音楽データのやりとりが可能になる。もちろんCDから取り込むこともできる。また、ドコモの最近の端末がほとんどが対応している「Napster To Go」にも、もちろん対応。また、定額で音楽を聴き放題の「うた・ホーダイ」にも対応している。



ミュージックプレーヤー。起動している時にはモーションコントロールを利用して動作させることも可能だ。Windowsパソコンに搭載された「Windows Media Player」。パソコンとD904iをUSBケーブルで接続することで音楽データの同期ができる。



また、「FMラジオMusicサーチ」というiアプリが搭載されていて、FMラジオを聞くことができる。放送中の曲を着うたフルや着信メロディとしてダウンロードできるiモードサイトを検索する機能もあるのが便利だ。



「FMラジオMusicサーチ」。移動中などFMラジオはけっこう重宝するアイテムだ。



動画はMobile MP4およびMP4ファイルに対応。「Motion Smoothy 4」というWindowsパソコン用の動画変換・管理ソフトがCDで用意されている。それをパソコンにインストールすることで、パソコンで録画したテレビ番組や動画などをD904i用に変換でき、そのデータをD904iに転送したりすることができるのである。動画はドラッグ&ドロップでカンタンに変換できるので慣れない人でも迷うことなく使えることができるだろう。



「Motion Smoothy 4」。見どころ編集がカンタンにできる「ハイライト編集機能」なども搭載していて使いやすいソフトだ。

■縦保存される写真機能

D904iは、デジカメスタイルで横にしても撮影できるような形になっている。しかし、保存は縦に保存されるので、あとで見るときにケータイを横にしないといけない。また、パソコンに取り込んだ場合なども、それを左に90度回転させないときちんと見ることができないのである。したがって、あとあとラクに…というなら縦で撮影した方がいいだろう。



撮影した写真は、どちらかというとあっさりした色合いに撮影される傾向にあるようだ。また、エッジがぼけた感じになっているのでシャープな感じというよりは、ぼけたような(意識しないとわからない程度だが)、もやのかかったような写真になってしまっている。あと筆者は最大サイズで写真を撮影して、microSDカードに保存したのだが、保存時間がかなりかかることが少し気になった。



では、実際に撮影した写真を見ていただこう。このD904iには手ぶれ補正機能があり、初期の設定では手ぶれ補正機能がオートになっているのオートのまま撮影した。ただし、最後の2枚だけは手ぶれ補正機能をオフにして撮影している。



●屋外で撮影した写真




●屋内で撮影した写真




●夕方撮影した写真




●接写モードで撮影した写真




●蛍光灯下で撮影した写真(左)と電球下で撮影した写真(右)




●フルオートモードで撮影した夜景(左)と夜景モードで撮影した写真(右)




●手振れ補正オフにしてフルオートモードで撮影した夜景




●手振れ補正オフにして夜景モードで撮影した夜景




■Kijimoto's EYE

このD904iは、けっこうおもしろい端末である。薄くて軽くて液晶もけっこうキレイで、かなり使えるケータイなのだが、問題は動作が遅いこと。メニューボタンを押してメニューが開くまで、写真を撮影して保存されるまで、写真撮影時の設定変更など、とにかく動作が思っているよりもワンテンポ遅れるのである。それが気にならないか、気になるかが"使えるケータイ"と思えるか"使えないケータイ"と思えるかの境界線だと思うのである。最後にメール時の文字サイズについて本文で述べなかったので書いておこう。メール閲覧時の文字サイズは「小」「中」「大」の3パターンから選択することが可能だ。



文字サイズ「小」文字サイズ「中」文字サイズ「大」





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D904i

NTTドコモ



編集部:木地本 昌弥

「パソコンですぐできる写真俳句」(毎日新聞社) 「その場で解決!ファイル操作とデータ管理」(技術評論社)など50冊以上の書籍を執筆。携帯電話やパソコン、IT関連から取扱説明書まで執筆ジャンルは幅広く、ITジャーナリスト・携帯電話評論家としてテレビやラジオ、講演もこなす。詳細は、著者のホームページ「我流珍述」プロフィールページまで。



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