漫画界の萌えにも色々ありますが、題材が「麻雀」「将棋」などの室内遊戯となると、萌えがあるというだけで異彩を放ってきます。今回は、そんなやや特殊な漫画の世界の"萌え"と"燃え"を覗いていきたいと思います。



■『咲-Saki-』作:小林立/発行:スクウェア・エニックス

舞台は現代に近い時代設定(21世紀)。高校生の間で麻雀が大人気という点が、我々の生きる現実とはちょっと違っています。この作品世界における麻雀は、中学・高校で全国規模の大会が開催されるほどのメジャーな競技。登場する高校生雀師は何故か女子ばかりなんですが、これは作者の趣味によるところが大きそうなのでスルーしておきます。



主人公の宮永咲(みやながさき)は高校1年生。彼女は常に自分の点数をプラマイゼロで終わせるという、特殊かつ高度な打ち筋で麻雀部員達を驚かせます。家族麻雀で身につけたその技術は、負ければお年玉を取られ、勝てば親に怒られるという難題を回避するためのもの。本人は麻雀が好きではなかったのですが、たまたま麻雀部で打ったことがきっかけで勝つことの喜びに目覚めていきます。



同じく1年の麻雀部員・原村和(はらむらのどか)は、ツインテールのお嬢様系美少女(巨乳)。中学時代に全国大会個人戦で優勝を経験している凄腕雀師です。彼女は手加減して麻雀を打つ咲に向かって「退部してください」と言ったと思ったら、すぐ仲直りして「じゃあもう手加減とかしないでくださいねっ」と指切りげんまんするといった、見事なツンデレぶりを見せつけてくれます。超萌えです。



しかもツンデレする対象が同性の咲というところが、百合百合でたまりません(イィィヤッホォォウ!!)。ぬいぐるみのペンギンを抱き枕にしないと眠れないという、意外にお子様な一面も最高! 主人公であるはずの咲よりもキャラが立ってしまっているので、個人的には漫画のタイトルが『和-Nodoka-』になっても文句はありません(妄想です。小林先生すみません)。



ツンデレ&巨乳の"のどちゃん"。谷間にネクタイがはさまるというのがなんともドリーム! 等身大ポスターとか出たら10枚買う!



さらにもう1人、1年の麻雀部員である元気っ娘・片岡優希(かたおかゆうき)は、妹系のつるぺた(貧乳)担当。タコスが大好物で「~じぇ」「~じょ」というのが口癖。友達の原村和を「のどちゃん」と呼び、「のどちゃんは私の嫁だからな!」といった男目線な発言を時折炸裂させます。



他にも麻雀部のキャプテンが生徒会長だったり、制服のミニスカートの短さが尋常でなかったり(リアルなら絶対パンツ丸見え)、雀荘の手伝いでメイドのコスプレをしちゃったり、見どころ&ツッコミどころは多数。麻雀的には、咲の得意技が"嶺上開花(りんしゃんかいほう)"という点がかなりトンデモです。カンした後に牌山の嶺上牌でツモ上がるなんて、狙ってできるものではないのですが、どうやら咲は"豪運"だから可能みたいです。なんてうらやましい……。



まあなんだかんだ言っても基本は麻雀漫画なので、ゲームの麻雀ができる程度の基礎知識はあった方がより楽しめるでしょう。牌の組み立てをじっくり見せるというよりは、勢い重視のバトル系漫画に近い感じなので、めくるめく美少女雀師の一挙手一投足に萌えるというのも全然アリかと。麻雀漫画は硬派な作品から脱力系ギャグまで、元々表現の幅は結構広いのですが、萌え要素がこれほど注入された作品というのはなかなかお目にかかれないと思います回を重ねるごとに面白くなっているようなので、今後の展開に期待です。



ちなみに麻雀漫画と言えば、印象的なセリフも魅力のひとつ。

名作『アカギ』では、

「どちらかが完全に倒れるまで……。勝負の後は骨も残さない……!(赤木)」

「もうどうしようもない最低クラスのクズ……。狂人だ……狂人と意地を張り合ってどうする…?(安岡)」

「その恐れ…恐怖を…見たくて…見たくて見たくて………。もう…何人も…殺してしまったよ………!(鷲巣) 」



といった三途の川がチラつくセリフが飛び交いますが、



『咲-Saki-』では、

「全国に行けば、お姉ちゃんに会える!(宮永)」

「宮永さんと一緒に、全国に行くんだ!!(原村)」

「のどちゃんはおっぱいでイカサマしてるし!(片岡)」

といった感じです(平和だなぁ、だがそれがいい)。

ご参考までに。

■『ハチワンダイバー』作:柴田ヨクサル/発行:集英社

パッと見は、巨乳のメイドさんが活躍する将棋漫画です(とてもキャッチーで良いですね)。さてメイドさんというと「小柄で細身な妹タイプ」というのが定番ですが、この作品のメイドさんは「大柄でグラマーなお姉さんタイプ」という完全に真逆なイメージになってます。作者の柴田先生は、こういうタイプがお好みなんでしょうか(余計なお世話)。



読むとすぐに気付くのですが、この作品の主人公はメイドさんではありません(1巻の表紙はフェイク)。主人公は、かつてプロ棋士を目指しながらも夢破れた青年・菅田(すがた)。彼は将棋以外に能がなく、不本意ながらも賭け将棋で生計を立てる"真剣師"生活を送っています。働かずにパチスロで稼ぐニートの親戚みたいな感じです。賭け将棋(真剣)では連戦連勝で勝率はなんと10割! そのあまりの勝ちっぷりに、いつしか"真剣"を指してくれる相手は周りにいなくなってしまいます。



そんな時、どんな相手でも"倍層"で指すという通称「アキバの受け師」の噂を聞きつけ、菅田は秋葉原へ出向いていきます。ちなみに"倍層"とは、相手の賭け金の倍額を負けた時に払うルールのこと。仮に2万円賭けてきた相手に負けたら4万円払うことになります。これは腕に相当の自信がなければできません。



菅田は、このアキバの受け師(眼鏡っ娘)にあっさり負けてしまいます。将棋しか能がない男のプライドは傷つけられ、自宅に帰って「ありえない」「何かの間違いだ…」「この負けで人生ごとダメになる」と悶絶しまくります。そしてこのままではイカン! ということで一念発起。もう一度将棋の勉強をしようと決心するのです。



勉強の前にまずは部屋を片付けようと、掃除サービスの業者に電話をかけるのですが、そこでやってきたのが前述の巨乳メイド!! 頼んだ先がメイドさんのお掃除サービスだとは気付かなかった菅田は激しく動揺します。さらに目の前のメイドさんがあの「アキバの受け師」だと気付いて二度ビックリ! ここまでが1話の中盤までのストーリーです。かなり濃ゆい展開です。



いかにもニートな主人公が2巻でようやく表紙に登場。幸福が100m10秒フラットで逃げていきそうな薄幸オーラがビンビン。



残念ながら最新巻の2巻では受け師さんのメイド姿は見られないのですが、物語のテンションは、菅田と戦う真剣師が、自分が勝ったら受け師さんの「オッパイを揉む」と突然言い出すという意外な形で最高潮にハジけていきます。対する菅田も釣られて「ボクもオッパイで」と言い返し、立ち会った受け師さんの意志とは無関係に真剣勝負は進んでいってしまうのです。



この流れにとまどう受け師さんの恥ずかしそうな表情がサイコー!!!! これだけで単行本を買う価値があるといっても過言ではありません(断言)。ちなみに真剣師は100万円近い大金も一緒に賭けているのですが、勝負中の2人の興味はオッパイのみに精神集中(ある意味清々しい)。二次元であまりムチムチしてるのは基本的に苦手な私ですが、受け師さんは例外!



ちなみに柴田先生は、小学生の頃にプロ棋士をリアルに目指していて、激戦区の地元・北海道大会では、出れば優勝の実力者だったそうです。このあたりのバックボーンが、画面に迫力と説得力を持たせるのに重要な役割を果たしているのは間違いありません。将棋を指すシーンの描写もスピーディーで熱く、格闘漫画のアクションシーンに似た快感があります。おそらく将棋のルールがよくわからなくても楽しめるのではないでしょうか。これは本気でオススメできます。



余談ですが、1巻の最後に作品タイトルの意味が明かされ、2巻の後半に受け師さんの名前が明かされます。これは本編を読んでのお楽しみということで。





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レッド中尉(れっど・ちゅうい)

プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。


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