先日、声優の堀江由衣さんが音楽バラエティ「HEY!HEY!HEY!」出演を果たしました。最初その話を聞いた私は「いったい"ほっちゃん"の心境にどんな変化が?」と非常に驚いたものです。実は私は、彼女が以前同番組からのオファーを断ったことがあるという話を聞いていたのですが、それだけに今回の出演は本当に意外でした(断った詳しい理由は不明です)。いよいよ声優も本格的に世間に打って出る時代が到来したいうことなのでしょうか。今回はそんな声優の顔出しTV出演の事例を「HEY!HEY!HEY!」を参考に考察してみます。



■水樹奈々(生年月日:1980年1月21日)

「HEY!HEY!HEY!」出演年月日(2005年10月31日)



●ランクインCD解説

2005年10月31日付オリコンシングルチャート2位に「ETERNAL BLAZE」がランクイン。同曲はTVアニメ「魔法少女リリカルなのはA's」OPテーマ。水樹さんは、同番組のキャラクター「フェイト・テスタロッサ」の声優として出演。ちなみに1位はDEF.DIVA(※1)の「好きすぎて バカみたい」(※2)。



この声優個人名義による「オリコンチャート2位」という記録は、シングル・アルバムを通じて声優業界の歴代最高位。この記録は現在に至るも破られていません。初動枚数は23,233枚で、これは1位のDEF.DIVAの記録(26,353枚)とわずか3,120枚の差。確かに2位というのは快挙なのですが、あの週の状況なら1位も十分狙えただけに惜しい気がします(運がいいんだか悪いんだか……)。



●紹介ナレーション

「水樹奈々。17歳でTVゲームの声優としてデビューし、その後アニメの世界でも活躍。アキバ系の間で絶大なる支持を得て、カリスマ的存在として確固たる地位を築く。2000年には歌手としてCDデビュー。ここでも着実にファンを獲得し続け、今年の1月にはついに武道館ライブという偉業を成し遂げる。そして本日付の最新オリコンチャートに彼女の12枚目のニューシングルが見事2位にランクイン。今最も注目すべきアーティスト水樹奈々。いったいどんなトークを繰り広げるのか?」



●番組内の出来事

水樹さんが白のワンピースで登場すると同時に「奈々ちゃーん!! 奈々ちゃーん!! 奈々ちゃーん!!」コールで男だらけの会場は猛烈ヒートアップ。本人の紹介映像では、TVアニメ「魔法少女リリカルなのは」の戦闘シーン、武道館ライブの模様、PV映像などが流されました。ダウンタウン両名は、彼女の持つオリコン2位や武道館ライブの実績に感心しきり。



やがてトークは男臭い観客の話題になり、

(浜田)「どうなんですか? 常にこんなんが来るんですか? いわゆるアキバ系……」

観客爆笑。

(水樹)「はい、ライブで盛り上げてくださって、ハイ」

(浜田)「うっとおしいでしょ」

観客爆笑。

(水樹)「そんなこと思ってないです! 思ってないですよ!」

というお約束な流れで進行……。



その後、浜ちゃんに「萌え系決めゼリフ」をフラれ、「ひとしお兄ちゃん、だーいすきっ!」とアニメ声を披露。松ちゃんは思わず「おおーっ! なるほどねー」と感心しつつ微笑(会場は大盛り上がり)。さらにファンからもらったオリジナルのフィギュアも披露(ボトルキャップ大の2頭身萌え造形)。それを見た浜ちゃんは「こんな能力あるんなら、もうちょっとなんか……」、松ちゃんは「このチカラをね、何かに懸けてみないかっていう話なんですよ!」と口惜しそうにコメントしていました。



(※1)DEF.DIVA:読みは「デフディヴァ」。安倍なつみ、後藤真希、石川梨華、松浦亜弥の4名からなる、ハロー!プロジェクトのヴォーカルユニット。



(※2)CDシングル「好きすぎて バカみたい」:シングルの初動売り上げは26,353枚。これはオリコン1位の売り上げ最低記録である。これによって浅香唯が持っていた「C-Girl(1988年5月23日付)」での記録28,270枚は、約17年5ヶ月ぶりに更新される結果となった(本人達にとっては別に嬉しくないであろう"珍記録")。

■平野綾(生年月日:1987年10月8日)

「HEY!HEY!HEY!」出演年月日(2006年7月3日)



●ランクインCD解説

2006年7月3日付オリコンシングルチャート5位に「涼宮ハルヒの詰合」がランクイン。同シングルはTVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の挿入歌「God knows...」「Lost my music」「恋のミクル伝説」を収録。平野さんは同番組で主役の「涼宮ハルヒ」の声優を務めています。ちなみに1位は浜崎あゆみの「BLUE BIRD」。



●紹介ナレーション

「平野綾。話題沸騰中のTVアニメ"涼宮ハルヒの憂鬱"の主役・涼宮ハルヒの声優を務める彼女。4月にリリースした彼女が歌う同アニメのOPテーマがオリコン10位。さらに5月にリリースしたEDテーマは5位にランクインするという快挙。そして今回も同アニメのシングル"涼宮ハルヒの詰合"が見事5位にランクイン。今人気急上昇中の平野綾。その魅力を徹底解剖しちゃいます」



●番組内の出来事

パブリックイメージの黒髪が今見ると懐かしくて泣けてきます(現在は茶髪&ギャル化)。衣装は、紺色と白のストライプなシャツ&ミニスカート&黒ニーソックスで萌えは控えめ。観客は何故か圧倒的に女性が多く、登場時は黄色い歓声が上がっていました。



本人の紹介映像で使用されたのは、TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のワンシーン、同番組のOPテーマ「冒険でしょでしょ?」のPV、EDテーマ「ハレ晴レユカイ」のイメージ映像。さらに、スタジオ収録による本人のライブ映像では「God knows...」を熱唱。



紹介映像で流れた歌声と、素の話し声(高音のアニメ声)が全然違うのに驚くダウンタウンに対し、彼女は「でも、全然、あの、こういう声じゃない声も出せるんですよ~」とおそるおそるアピール。直後に色っぽい声で「ダメでしょ、浜田さん」というセリフが披露され、そのあまりのギャップに「(浜田)おおっ」「(松本)すげー」とナチュラルに2人は驚いていました。



さらにトークはファンの話に進み、

(浜田)「ファンにあだ名を付けてるんですか? あなた」

(平野)「そーですね。ファンの方と接する機会というのが最近すごく多くなったので。あのー、顔と名前をなるべく覚えようと思って……」。

(浜田)「じゃあもう結構、しょっちゅう来てくれる人なんや」

(平野)「そーですね」

(浜田)「例えばどういうあだ名を付けたことがあるの?」

(平野)「えと、よくシマシマの手袋みたいなのをされてる方とか……」

(松本)「どんなヤツやねん!!」

観客爆笑。

(松本)「まずそいつが知りたいわ!! 何でシマシマの手袋で来るん?」

(平野)「あの、ラスカルさんとか……」

という具合に会話はスイングしていったのでした。



その後、ダウンタウンにもあだ名を付けるという流れになり、浜田=ハマティス少尉、松本=マツモティーヌ大佐、と命名完了。その軍人チックなあだ名に対し、ダウンタウン両名は思わず敬礼ポーズを決めてしまったのでした(めでたし×2)。



ちなみに、この放送があった週はTVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の本放送が最終回を迎える週でもありました。ハルヒの盛り上がりのある意味絶頂期にドンピシャで出演したということもあり、全国のアキバ系はTVに完全に釘付けとなったのです。

■堀江由衣(生年月日:1976年9月20日)

「HEY!HEY!HEY!」出演年月日(2007年5月14日)



●ランクインCD解説

2007年5月14日付オリコンシングルチャート8位に「Days/Say cheese!」がランクイン。同シングルにはTVアニメ「ながされて藍蘭島」OPテーマ「Days」とEDテーマ「Say cheese!」を収録。堀江由衣さんは同番組のヒロイン「すず」の声優として出演。ちなみに1位は嵐の「We can make it!」。



●紹介ナレーション

「97年声優デビュー。"ほっちゃん"の愛称で親しまれ、アニメやゲーム界で絶大な人気を誇る彼女。98年にはCDデビューを果たし、歌手としても精力的な活動を展開。そんな彼女の7枚目のシングルが今回オリコンチャートで見事8位にランクイン。今夜は堀江由衣の魅力を徹底検証しちゃいます」



●番組内の出来事

登場時はファンの盛大な拍手でお出迎え。いきなり松ちゃんに「ちょっとファンはメガネが多くないですか?」と指摘され、ほっちゃんは「それがキラキラしてキレイな時があるんです」という、キャリアに裏打ちされた絶妙な切り返しを披露。強引に松ちゃんを納得させてしまいます。



そしてトークは声優界の"暗黙の了解"へと発展

(松本)「えーと、年齢なんですけども……」

(堀江)「アッ17歳です(即答)」

観客から大歓声。ダウンタウン両名は苦笑い。

(松本)「本人談、自称17歳?」

(堀江)「はい!」

(松本)「そんなこというなら、僕自称13歳…」

観客爆笑。

(堀江)「自由にしてイイっていうルールが…」

(浜田)「え? 何のルール?」

(堀江)「声優界では…」

(浜田)「あ、声優界ではいいんですか?」

(堀江)「はい。声優界ではある程度いったら17歳っていってイイっていう」(※3)

(浜田)「ある程度!? ある程度いったら17歳!?」

(堀江)「はい」

(松本)「あらそうなんですか…。いいたい放題なんですね」

というガチンコすぎる会話が全国に向けて発信されたのです。



その後、ほっちゃんがライブで行う"掛け合い"をダウンタウンとファンが一緒に行うという、2度と見られないであろう異常事態に発展。



その掛け合いの内容は、

(ファン)「回って~」>>堀江1回転>>(ファン)「カワイイ~」>>(堀江)「みんなの方がカワイイよ」>>(ファン)「ほっちゃんにはかなわな~い」>>(堀江)「照れるな~」>>(ファン)「そんなに照れるなよ~!!」>>(堀江)「私は?」>>(ファン)「最高~」

でワンセット。



この一連の流れを実際にダウンタウンが、ヤケクソ気味で思いっきり目が泳いでましたが、とにかくやり切ったのであります(プロ根性に脱帽)。松本さん、浜田さん、本当にすみませんでした(思わず陳謝)。



(※3)17歳でOK:これは声優・井上喜久子を代表とする「17歳教」に入会すると、v永遠に17歳を自称できるという声優界の慣習に沿った発言。「17歳教」は代表曰く、宗教ではなく「ギルド(組合)」。なお、入会すると自動的に出身地はお花畑となる。堀江由衣は井上喜久子から正式に入会を認められている。



■総括

番組内でのイメージは、水樹奈々さんは「アキバ系のカリスマ」、平野綾さんは「人気急上昇中のアイドル」、堀江由衣さんは「声優界のベテランアイドル」といったイメージで扱われていたように思います。なお、3人の中でダウンタウンが一番萌えていたのは平野綾さんで確定かと。



CDが売れたこと以外に3人に共通していることは、全員が苦労人であるということでしょうか。水樹奈々さんは演歌歌手を目指して上京しながら、鳴かず飛ばずの日々を過ごしいたことは有名です。路上で歌っても聞いてもらえなかったり、地方のアニ●イトでレジ打ちを頼まれたこともあると聞きます。平野綾さんは9歳で芸能界に入ってからブレイクするまで9年もの年月を要しました。堀江由衣さんは、妥協を許さない仕事の鬼(いい意味で)として業界では有名です。自分がファンに求められているイメージを守るために日夜奮闘しながら「ほっちゃん」しているのです。



スポットを当ててもらえる人間というのは、それなりの努力をしているものだということが彼女らを見ていると分かります。我々アキバ系は、彼女らのよき理解者としての自負を持ちつつ、これからもただひたすらに応援していくのみであります。30歳でも40歳でもアイドルをやりたいのなら、黙って応援します。してみせましょう。それがアキバ系の生きる道なのだからっ……(遠い目)。





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レッド中尉(れっど・ちゅうい)

プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。


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