世の中がぶっそうになり、子供の安全を大人が真剣に考えないといけない時代になってきている。子供にとっての経験は大事なので少しぐらい怖い目をした方が……、なんて考えは通じなくなってきている。



筆者にも中学生の娘がいる。大きくなって何事もひとりで解決できる強い人間になってほしいから、極力親は手を出さず自分で解決させようと思ってきた。しかし、知り合いの子供がマンションのエレベーターで知らない人に首を絞められたとか、公園で大人がナイフを持って子供を追いかけているのを見たとか、親の目の前なのに電車で娘の体に触れていった人がいたとか……、子供の力だけでは絶対に解決できないようなことが増えてきている。



子供にケータイは早いという意見がある。筆者もけっこうそう思っている。しかし、いざというときのために持たしておいた方が安心できるという理由から子供にケータイを持たせる親が多くなったことに関しては理解できているし、我が家もそうした方がいいのかも…というような気持ちにもなってはいる。



そんな背景から携帯電話会社各社は、子供向けのケータイを発売している。危険な世の中になり、前述したが子供にケータイを持たすのが普通の状況になってきていることを考えると、「やっと?」と言いたくなる感もあるが、数は少ないながらも出揃ったのはすばらしいことだ。そこで各携帯会社の子供向けケータイを紹介しよう。



今回紹介するのは、NTTドコモのキッズケータイ"SA800i"、auのジュニアケータイ"A5525SA"、SoftBankのコドモバイル"812T"の3機種だ。




■NTTドコモ キッズケータイ"SA800i"



正面から見たSA800i。多少厚めだがかなり小さめに作られている。開くとこんな感じ。液晶画面は2.2インチ。本体裏面。ブザーを作動させるためのスイッチがある。



●キッズケータイの安心機能

・防犯ブザー連動機能

裏側のスイッチを引くと防犯ブザーが作動する仕組み。その際、前もって登録しておいた連絡先に自動で緊急発信する。同時に位置情報を登録先のケータイに自動でメールを送信する。終話ボタンを押しても緊急発信、メール送信は終了しない。



・電源OFF検索機能

電源が切られた時点で、その場所を自動的にメッセージRでお知らせする。さらには設定した時間ごとに最大10回まで場所を通知する。ただし、そのサービスを利用するためにはドコモの有償サービス「イマドコサーチ」(後述)と契約する必要がある。



・直デン機能

ボタンを押して選ぶだけで電話やメールができる相手を5件登録しておくことが可能。できるのは電話、メール、テレビ電話、位置情報の送信。



・キッズモード

難しい漢字をひらがな表示させることができる。メニューやガイドなどもひらがな表示に変更可能。また暗証番号を親用と子供用の2種類設定ができ、セキュリティなどに関しては親しか変更できないようにすることができる。



●スペック紹介

カンタンにスペックを紹介しておこう。数値につく"約"は省略させていただいた。サイズは高97mm×幅50mm×厚27mm。重さは122g。連続待ち受け時間が静止時で370時間、移動時で270時間、連続通話時間が音声電話時で140分、テレビ電話時で90分である。



メインディスプレイはTFTで2.2インチのQVGA表示(横240ドット×縦320ドット)、最大6.5万色表示が可能だ。メインカメラは、有効画素数32万画素のCMOSカメラで、最大記録サイズが640×480ピクセルだ。サブカメラは有効画素数11万画素のCMOSカメラである。データBOX容量は25Mバイト。外部メモリ用のスロットは準備されていない。本体カラーはライムとチェリー、ミント、トリコ、アクアの5種類だ。



次に子供向けのドコモの取り組みについて紹介しよう。



●ドコモの取り組み

・イマドコサーチ

iモード端末または、パソコンでケータイ端末のある場所が確認できる。いつでも地図で端末の場所が確認できる「いますぐ検索機能」、設定した時刻にケータイ端末の場所を検索して結果を通知してくれる「スケジュール検索機能」、ケータイ端末が指定のエリア内にいるかどうかを確認して、居場所と共に通知してくれる「エリア監視機能」が利用できる。月額使用料210円(税込)、検索料5.25円/回(税込)の有償サービスだ。



・発信先や着信先制限/メール指定受信

ケータイ端末の電話帳機能を使って通話相手を制限する機能だ。発信では、登録した人のみ発信させる、または指定した人のみ発信させることができる。着信では、指定した人のみ着信できる、または指定した人のみ着信拒否できるように設定が可能。メールに関しては、指定したメールのみ受信できる、または指定していないメールは拒否するように設定することができる。



・サイトアクセス制限

子供に不向きなサイトに接続できなくするサービス。「キッズiモード」は、iモードメニューサイト以外は接続できないような設定にできる。「キッズiモードプラス」はiモードメニューサイトと出会い系・ギャンブル系などを除く一般サイト以外には接続できいないように設定できるサービスで、サイトへのアクセスを午後10時から翌朝午前6時まで制限できる「時間制限」サービスと組み合わせることができる。



・キッズiメニュー

子供向けのコンテンツだけを掲載しているiメニュー表示に変更できるサービス。



・タイプリミット

上限額で発信をストップするサービス。最初に上限額を決めておき、その上限額に達するとそれ以降の発信をできなくすることができる。



次は、auのジュニアケータイ"A5525SA"を見てみよう。

■au ジュニアケータイ"A5525SA"


正面から見たA5525SA。子供向けにしてはけっこう大きめである。開くとこんな感じ。液晶画面は2.4インチ。本体裏面。ブザーを作動させるためのスイッチがある。


●ジュニアケータイの安心機能

・防犯ブザー起動

裏側のスイッチを引くと防犯ブザーが作動する仕組み。その際、その場所の写真を撮影し、位置情報が確認できるURLと一緒に前もって登録しておいたペア相手のケータイにEメールを送信し、音声通話の自動発信も行う。そして約1分間隔で位置情報を自動測位し、約5分ごとに移動経路を更新する(ペア相手のケータイやパソコンで確認可能)。



・電源OFF起動

電源が切られた時点で、その場所の写真を撮影し、位置情報が確認できるURLと一緒にEメールをペア相手に送信する。そして約1分間隔で位置情報を自動測位し、約5分ごとに移動経路を更新する(ペア相手のケータイやパソコンで確認可能)。



・Cメール起動

ケータイ端末の場所を知りたいとき、ケータイ端末に特定の言葉のCメールを送ると、緊急通知機能が起動して、位置情報が確認できるURLが送られる。このときも移動経路の確認が可能だ。



・ジュニアモード

メインメニューや項目選択画面などをひらがなで表示する機能。発信制限やメール受信拒否などの各種制限機能もある。



●スペック紹介

カンタンにスペックを紹介しておこう。数値につく"約"は省略させていただいた。サイズは高102mm×幅53mm×厚26mm。重さは140g。連続待ち受け時間が430時間、連続通話時間が250分である。メインディスプレイはTFTで2.2インチのQVGA表示(横240ドット×縦320ドット)、最大26万色表示が可能だ。サブ液晶は1.0インチで96×64ドット表示、最大6万5千色表示可能なSTNカラー液晶画面である。



メインカメラは、有効画素数131万画素のCMOSカメラで、最大記録サイズが1,280×960ピクセルだ。サブカメラはついていない。データフォルダ容量は30Mバイト(最大1,000件まで、BREW共用)。外部メモリ用のスロットが準備されていて最大1GバイトのmicroSDカードに対応している。本体カラーはブルブルー、グリグリーン、ドレミレッドの3種類だ。



次にauの子供向けの取り組みを紹介しよう。



●auの取り組み

・安心ナビ

au端末やパソコンでケータイ端末の場所が確認できる。事前に見守る時間帯をセットしておくだけで自動で居場所を確認してくれる「いつでも位置確認」(情報量:月額税込315円)。指定したエリアへケータイ端末の出入りをお知らせする「エリア通知」やケータイ端末を持っている人の同意があれば居場所が確認できる「位置確認メール」などが利用できる。



・EZ安心アクセスサービス

悪質サイトにアクセスできないようにする。



・料金安心サービス

使いすぎるその前にお知らせしてくれる「お知らせコース」と一定額を超過するとお知らせしてくれ利用を規制する「ご利用停止コース」が用意されている。



3機種目は、SoftBankのコドモバイル"812T"を見てみよう。

■SoftBank コドモバイル"812T"


正面から見た812T。防犯ブザーを鳴らすためのスイッチは正面にある。開くとこんな感じ。液晶画面は2.4インチ。本体裏面。3.2Mピクセルのカメラと接写スイッチがある。


●コドモバイルの安心機能

・防犯ブザー×連動機能×防犯ランプ

ノブを引くと大音量のブザーが鳴動し、同時に防犯ランプが点灯する。その際、音声電話またはTVコールが発信される。TVコールに設定しておいた場合には、メインカメラで映る周囲の状況を見ることが可能だ。さらに自動的に現在地の位置情報付きメールを事前に登録指定おいた最大5件の宛先に送信してくれる。



・イドコロメール

あらかじめ曜日や日付ごとに出発・到着する場所と時間を登録しておくことで、予定通り出発したか、到着したかを指定した宛先に自動的にメールしてお知らせしてくれる機能。予定通りに出発、到着しなかった場合には現在地の位置情報付きメールを送信してくれる。



・簡単お知らせメール

下サイドキーの長押しで、あらかじめ指定しておいた宛先に位置情報付きメールを送信する。ケータイ端末を持っている人が場所がわからなくなった時でも、受信した位置情報付きメールから地図を表示して居場所を知ることができる。



・電話やメールの相手を制限

アドレス帳に登録した相手、または特別連絡先に登録した相手としかメールや通話ができないよう制限することができる。



・キッズメニュー

よく使う機能だけをわかりやすく表示する機能。難しい漢字はひらがなで表示してくれる。また、かんたん操作で電話が出来るクイックコール機能もある。



●スペック紹介

カンタンにスペックを紹介しておこう。数値につく"約"は省略させていただいた。サイズは高103mm×幅49mm×厚23mm。重さは118g。連続待ち受け時間が470時間、連続通話時間が190分、TVコール時で100分である。メインディスプレイはTFTで2.4インチのQVGA表示(横240ドット×縦320ドット)、最大26万色表示が可能だ。



メインカメラは、有効画素数324万画素のCMOSカメラで、最大記録サイズが2,048×1,536ピクセルだ。サブカメラは32万画素のCMOSカメラだ。データフォルダ容量は14Mバイト(最大1,000件まで)。外部メモリ用のスロットが準備されていて最大2GバイトのmicroSDカードに対応している。本体カラーはピンクとブルーの2種類だ。



次にSoftBankの子供向けの取り組みを紹介しよう。



●ソフトバンクモバイルの取り組み

・イチなび

SoftBank端末やパソコンから、ケータイ端末の現在地が確認できるサービス。GPS機能でケータイ端末の居場所が確認できる「イチなび検索」、指定日時に居場所を自動で検索し、メールで知らせてくれる「スケジュール検索」、ケータイ端末を持っている人が「イチなび」の設定変更をできないようにロックする「指定先操作ロック」などが可能。月額使用料210円(税込)、検索利用料5.25円(税込)/回の有償サービスである。



・Yahoo!きっず

キッズ向けコンテンツしか閲覧することが出来ないサービス。



・ウェブ利用制限

出会い系サイトなど、特定のURLへのアクセスを制限できるサービス。



・制限機能

通話やメールの使用量や時間帯を制限し、使いすぎを防止するサービスがこれ。



■Kijimoto's EYE:子ども用ケータイの充実はこれからか?



最初は、各ケータイの比較をしようかとも思ったのだが、比較をしてみて、それが自分の環境にピッタリということになっても、それを買うことになるわけじゃない。なぜなら、料金面、サービス面などを考えれば、結局は親と同じキャリアの端末を選ぶことになるだろうから。そう考えると、機能だけを比較しても意味がないのではないかと考えたのである。



今回、端末を購入し、取扱説明書、カタログなどをじっくり見て思ったのは、まだまだ取り組みが浅いなってことだ。端末自体も種類が少ないから、子供の選択肢は狭いことになる。ちなみに、もう子供と呼べる年代ではないが、うちの娘に「どれがいい」と聞いたところ、どれもぱっとしないと言われた。もっとかわいいのが欲しいと言うのだ。

いやいや、子供だって好みがいろいろあるのだよ。実際にショップ何件かに聞いてみたところ、子供向けケータイは売れてないと回答するショップも少なくなかった。



現状にただ文句を言っていてもしかたがない。しかし、遅ればせながらも各携帯会社がこういった取り組みをはじめたってことの方が親としてはありがたい。これからいろいろ端末も増えてくれば(筆者の希望的観測だが)、ますます子供向けのケータイは楽しく、充実してくるだろう。それをを期待したいものだ。





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編集部:木地本 昌弥

「パソコンですぐできる写真俳句」(毎日新聞社) 「その場で解決!ファイル操作とデータ管理」(技術評論社)など50冊以上の書籍を執筆。携帯電話やパソコン、IT関連から取扱説明書まで執筆ジャンルは幅広く、ITジャーナリスト・携帯電話評論家としてテレビやラジオ、講演もこなす。詳細は、著者のホームページ「我流珍述」プロフィールページまで。



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