モーションポートレート株式会社 佐々木大地さん

- 笑う、怒る、泣く、しゃべる 顔写真が生き返る最新技術 【3D化する顔写真たち】-

メガネ店や美容室で写真から3D映像を瞬時に作成して、メガネをかけた顔やヘアスタイルを変えた後のシミュレーションを体験した人もいるのではないだろうか。これらの技術は、ソニーの研究所から生まれたモーションポートレート社が開発した「モーションポートレート技術」を利用して実現されている。

近年、デジタルカメラの顔認証やスマイル認証、メガネや美容室でのシミュレーションなど、人の顔を使った技術の進歩はめざましいものがあるわけだが、モーションポートレート技術は、たった1枚の画像から人の3Dモデルを瞬時に作成し、インタラクティブにユーザーが顔の向きや表情を動かすことができる技術である。

このモーションポートレート技術を応用したiPhoneアプリ「PhotoSpeak」が注目を集めている。

「PhotoSpeak」は、たった1枚の顔写真を3D化し、自由に動かして好きな表情を作れるだけでなく、iPhoneで録音した音声データでしゃべらせることまでできるiPhoneアプリだ。

「PhotoSpeak」は、ここまでiPhoneで出来るの?と驚かされた人も多いだろう。
そこで、「PhotoSpeak」の開発者である佐々木大地さんに、いろいろとお話を伺ってみた。

■「PhotoSpeak」は絞って絞ってシンプルに作った
佐々木さんは、「PhotoSpeak」をいつから開発しようと思っていたのだろうか?

モーションポートレート株式会社が誕生したのは2007年7月。すでにiPhoneは米国で発売されており、モーションポートレートの技術をiPhoneやスマートフォンに入れようという話は、当時からあったという。

実は、「PhotoSpeak」は同社初のiPhoneアプリではなく、正面を向いた顔写真1枚から脳内動画を作成する「Brain Controller」というiPhoneアプリがあったという。「Brain Controller」は、技術的には非常に高度な処理をしているものの、残念ながらまだヒットには至っていないが、この開発でiPhoneアプリ開発の手応えをつかんだ佐々木さんは、「次はもっと面白いものを作ろう!」と決意。そして生まれたのが、「PhotoSpeak」である。
正面を向いた顔写真1枚から脳内動画を作成する「Brain Controller」

佐々木氏に開発にあたって一番苦労した点をうかがってみると、
「本当にシンプルにどこまで、(モーションポートレートの機能を)絞れるかを追求した結果が『PhotoSpeak』になります。」という答えが返ってきた。「PhotoSpeak」には、「3Dで動きのあるもの」「口パクを入れる」という2つのモーションポートレートの機能に絞って作られている。

iPhoneは直感的なインターフェイスでユーザーに受け入れられた端末だ。だからこそ多機能なアプリケーションよりも、シンプルでわかりやすいアプリケーションでなければユーザーに受け入れられないという。

佐々木さんは「PhotoSpeak」は、「削って削って、(モーションポートレートの)最小限の機能を搭載したアプリなのです。」と、笑いながら話してくれた。

現在の「PhotoSpeak」は、一番シンプルな写真から3D映像を作成して動くだけという機能をベースに録音再生機能から構成されている。これに隠し機能である画面を何回かタップすると、眼鏡を付けたりアフロヘアーにしたりする機能が盛り込まれている。

動画:顔写真を自動的に3D化し、しゃべらせることができる「PhotoSpeak」(YouTube)

■iPhoneでも軽く動くモーションポートレート技術
「PhotoSpeak」は顔写真から3Dモデル化して動かす仕組みだが、ここでひとつ疑問が出てくる。
3Dのようなグラフィックスや動画処理は、本体のCPU処理に負荷がかかるし、メモリーも消費する。iPhoneのようなモバイル端末では、大きな負担になりそうだが、どのようにして軽快なアプリに仕上げたのだろうか。
「PhotoSpeak」の反響について語る、佐々木さん

そのあたりを佐々木さんにうかがってみると、
「モーションポートレート技術で3D化さえしてしまえば、それほど多くのポリゴンを使っておりませんので、iPhoneではそんなに大きな負荷にはならないのです。」という答えが返ってきた。

■反響の大きさとフィードバックの速さに驚く
こうして公開された「PhotoSpeak」は、わずか1日で1位にランクイン。プレスリリースを出した直後からダウンロードが一気に伸びて、1ヶ月以上にも渡ってトップ25にランクインしたという。ダウンロード数も、わずか1ヶ月で5万ダウンロードを記録している。

佐々木さんは、
「インパクトがやはり強かったのですかね。Yahoo!トピックスなど、多くのニュースサイトにも取り上げられたのが大きかったです。」と語ってくれた。プレスリリースを出したことで、メジャーなニュースサイトに面白いiPhoneアプリとして取り上げられたそうだ。

こうした反響は、アプリ開発にも大きな影響をおよぼしたという。
「こんなバグがあるという報告や、ユーザーからのフィードバックが早いことに驚きました。YouTubeに動画をアップロードする機能も、ユーザーからの要望を反映させたものなんです。」と、佐々木さんは、ユーザーとの距離が近くなったことを嬉しそうに語ってくれた。

■反響に応える楽しさ -iPhoneがスゴイと錯覚するユーザーも-
「PhotoSpeak」は、多くのユーザーに驚きを持って迎えられたという。
ユーザーから寄せられた反響をうかがってみると、写真が3Dとなって動くという点にユーザーは一番驚いたそうだ。

佐々木さんは、
「よく、『PhotoSpeak』をみせると、PhotoSpeakがスゴイね。ではなく、iPhoneはスゴイね。と言われたりします。きっとiPhoneの売り上げにかなり貢献していると思います。」と、苦笑しながら話してくれた。
実際、「PhotoSpeak」を見てiPhoneが欲しくなった人もかなりいたそうで、iPhoneの機能と思ってしまう人も多いという。

「PhotoSpeak」では、録音した音声を口パクのように再生することができるが、ユーザーからは「テキストでしゃべるようにして欲しい」といった要望も来ているのだそうだ。

佐々木さんは、追加機能でYouTubeへのアップロード機能を搭載したことについて、こう語ってくれた。
「ユーザーが本当にやりたいことを考えたとき、『PhotoSpeak』を誰かに見せびらかしたいんじゃないかなと考えたんです。そこでYouTubeへのアップロード機能を付けるのが一番ユーザーの希望に近いと考えたんです。」

メールに添付する方法も検討したそうだが、容量の問題や特定の人にしか見せられない。その点、YouTubeなら手軽に多くの人と自分がつくった動画を共有することができる。YouTubeに対応させたことで、海外のiPhoneユーザーからのアップロードが増えるなど、大きな反響があったそうだ。

■しっかり食べて、寝て、スポーツで汗をかいて飲みに行く
「PhotoSpeak」を開発した佐々木さんは、普段はどんなクリエイターなのだろうか。
私生活についても、うかがってみた。

クリエイターには珍しい? 睡眠時間は8時間、しっかりとるタイプだという。
「9時か10時には起きて、夜は1時までに寝ます。しっかり寝ないと働けない人なので...。」と、苦笑しながら語ってくれた。ちなみに佐々木さんの直属の上司は、朝7時に出社して3時半には退社するという。規則正しい生活は、上司譲りのようだ。

食事についても、「食べないと頭がまわらないですね。」と、意外に健康的な回答が返ってきた。
朝ご飯はつまむ程度だが、食事はしっかりとるそうだ。お酒も好きなのだそうだが、最近は健康に気を遣ってほどほどにしているという。

健康に気を配る佐々木さんはスポーツ好きでもある。ゴルフとバスケットが好きなのだそうで、バスケットは毎週やっているというから驚きだ。スポーツで汗をかいて飲みに行くというのが最高に気持ちいいという。

■今後は、もっと良いiPhoenアプリ開発を
これまで、佐々木さんは、キャンペーン制作関係の業務をこなしながらiPhoneアプリを開発してきたが、「PhotoSpeak」が大ブレークしたことで社内でも大手を振ってiPhoneアプリの開発に取り組めるようになったという。
プライべートの生活について語る、佐々木さん

「今、早々にやりたいことは、『PhotoSpeak』のユーザー同士で3Dデータと音声を送るメッセージ機能です。ネットのサーバ経由でデータを受け取れるというのものです。」と、「PhotoSpeak」を使ったユーザー同士のコミュニケーションも展開したいという。また、現在はiPhoneのアプリ展開だけだが、 Androidなどのスマートフォンへの展開も検討しているという。

最後に将来の夢をうかがってみると、
「iPhoneアプリをどこまで発展させられるかですね。スマートフォン系で大きなことをしてみたいです。」と語ってくれた。「PhotoSpeak」の第二弾、第三弾もすでに考えているという佐々木さんは、どこまでも前向きなクリエーターだ。

ちなみに、仕事以外にチャレンジしたいことは、「宇宙旅行」だそうだ。

「PhotoSpeak」製品情報
モーションポートレート株式会社

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