毎日のニュースから、ブログ、ショッピングまで、インターネットは我々の生活の一部となった。インターネット上には膨大な情報が溢れているが、必要な情報だけを素早く的確に見つけるために使われているのが検索エンジンと呼ばれるウェブサービスだ。

多くの人が情報の玄関として利用するポータルサイトで「検索サービス」は特に重要な機能でもあるが、大手ポータルサイトのひとつであるライブドアは、今回新しい検索エンジンの導入に踏み切った。

ライブドアは、ポータルサイト「livedoor」において、グループ会社であるネイバージャパンが提供する「NAVER」の検索エンジンを全面的に採用し、本日(2010年9月1日)より本格提供を開始したのだ。

NAVERの検索エンジンを採用することによって、ライブドアのサービスは、どのように変わるのだろうか。

検索サービスの責任者であるライブドア 窪島氏にお話しをうかがうことができた。

■ユーザービリティを重視したい
窪島氏は、livedoorにおいてNAVERの検索エンジンを採用する理由をこう語る。
「Yahoo!やGoogleの2大検索エンジンですと、ライブドアはポータルサイト『livedoor』として、ほかの検索エンジンとの差別化をしづらい状況にありました。これがこれまでの課題点のひとつ。もうひとつは、売り上げ重視で考えると検索結果に表示する広告の本数を増やさざるを得ないということがあり、ユーザービリティを重視するライブドアの企業理念からすると、これも今後の大きな課題点のひとつでした。

ポータルサイトとして差別化ができない、ユーザービリティを下げざるをえない、という2つの課題を解決する手段として、今回のNAVERへの切り替えを行ったわけです。」
ライブドア 窪島氏

ライブドアは、2010年5月10日にNHN Japanグループに加入して以来、グループとの連携を通じたサービス向上の実現に取り組んでいる。同社は、2010年6月の画像検索において既に「NAVER」を採用しており、採用後のユニークユーザーが約30%増加するなど、好調な伸びを見せている。そして今回、ポータルサイト「livedoor」の検索エンジンに、「NAVER」を全面的に採用することとなった。

同社が検索エンジンに「NAVER」を採用するに至った背景には、世界的な検索エンジン再編の動きがある。
米国では、マイクロソフトとYahoo!が今後10年間にわたって提携し、Yahoo!の検索技術をマイクロソフトの検索エンジンに統合する。Yahoo!においてはマイクロソフトの検索エンジン「Bing」を採用する。

一方、日本に目をむけてみると、Yahoo! Japanが2010年7月27日に、Googleの検索エンジンの採用を発表した。
また、モバイルではNTTドコモが、Googleの検索エンジンからグループ会社の検索エンジンへ変更を行った。
現在の日本市場では、事実上、Yahoo!とGoogleが2大検索エンジンが主流として採用されている。livedoorがNAVERの検索エンジンを採用することで、そこに第3の選択肢が生まれるというわけだ。

■量より質で勝負!成功体験を増やしたい
窪島氏に、NAVERを導入するメリットについて伺った。
「ウェブ検索をはじめ、画像やなど、それぞれの検索結果が一度に見られるという点が一番大きいですね。各検索には、それぞれの分野で独自に開発した検索アルゴリズムを使っています。それらをまとめて表示している点が、他社の検索にないところです。

ほかの検索エンジンで発見できなかったことが、NAVERの検索で見つかるというのが、NAVERが目指しているところでもあります。たくさんの検索結果を表示するのではなく、一発で欲しい情報に到達できる成功体験を如何に増やせるかが、大切だと考えています。

また、ライブドアがNAVERの検索を採用することで、NAVERの検索を使う機会が増え、ユーザーにも提案できればと思っております。」

■NAVERの統合検索の特徴
国内ポータルサイトではlivedoorが初となるNAVER統合検索の最大の特長は、統合検索を使った検索結果表示であり、調べたいワードをいれて検索すると、公式ページをはじめ、最新ニュース、ブログ、人気サイト、画像、Twitterでのつぶやき、などのあらゆるカテゴリの検索結果が表示される点だ。また、ユーザー参加型による集合知を活用したアプローチを採用し、ユーザー同士で検索結果を共有・集約していく参加型検索「NAVERまとめ」もある。

livedoorでは、今回の提携に合わせ、検索内容に応じて関連性の高いものを優先的に表示する「コレクションランキング」機能も導入した。
livedoorのNAVERによる検索結果

■ID連携によりユーザーの利便性が向上
livedoorでは、今回の検索技術採用のほかにも、livedoor IDで「NAVERまとめ」「pick」「Nドライブ」の「NAVER」が提供するログインサービスのすべてが利用できるID連携も9月1日よりスタートさせた。

窪島氏には、ID連携のメリットについて伺った。
「利便性という意味では、今まで全部別々にログインしなければなりませんでしたが、今回の提携によりシームレスに両社のサービスが使え、利便性が高くなりました。」

最後に、今後のlivedoorの展開と目標を、窪島氏はこう語る。
「今年の6月に画像検索でNAVERを採用してから、ユニークユーザーが30%くらい増えているので、livedoor利用者の検索機会を増やすのが、当面の目標だと思っています。具体的には、画像検索と同じ30%くらいの利用率のアップを目標にしたいと考えております。」

■「Jディレクトリー」登録サイトの検索結果枠を設置
今回のNAVERへの検索エンジン切替に伴い、統合検索結果において、「Jディレクトリー」登録サイトの検索結果枠を新たに設置する。

livedoorトップページからの検索ユーザーに対して「Jディレクトリー」登録サイトの検索結果を提供することによって、「Jディレクトリー」登録サイトへの送客効果がこれまで以上に期待でき、「Jディレクトリー」への登録審査サービスである「Jエントリー」の商品価値の向上に繋がるものと推察される。


ライブドアでは、検索サービスでのユーザーの利便性を追求していくことにより、ほかのポータルサイトとの大幅な差別化を図り、検索サービス利用の向上に努めていくとしている。

インターネット検索サービス「NAVER」
ポータルサイト「livedoor」