個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第二十八回

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■はじめに
先日、楽天Kobo向けEPUB電子書籍に関する制作ガイドライン的なもの「Kobo ePub Specifications」が公開されました。

Koboは元々カナダの会社で、それを楽天が買収、子会社化したという経緯があります。

また、Koboには「Kobo Writing Life」という個人出版ソリューションもありますが、現在のところ日本では正式にサービスがリリースされているわけではないようです。

実は正直なところKobo関連はあまり詳しくないのですが、楽天Koboが日本でオープンした当初は日本でもKobo Writing Lifeが利用でき、それで出版された個人の電子書籍もありました。

その後、いつからかKobo Writing Lifeのトップページにアクセスすると、楽天Koboのトップページにリダイレクトされるようになりました。

楽天KoboのサイトにもKobo Writing Lifeに関する記述は見当たらないことから、少なくとも現在のところ日本では正式には利用できない状況と考えています。

ただ、以前取得したKobo Writing Lifeのアカウントは一応生きているし、ログインして管理ページに入ることもできなくはありません。

そんなことで、少々よく分からない状況ですが、今回取り上げるKobo向けのガイドラインは海外向けのKobo Writing Life利用者および、KoboにEPUB書籍を収める出版社・制作会社向けのものと考えています。

前置きが長くなりましたが、このガイドラインが英語なので今回は主だったところをまとめてみようと思います。遠からず正式に日本でもリリースされることを期待しつつ。

なお、ミスなど発見された方はお知らせいただけると幸いです。

■Kobo EPUB(KEPUB)の仕様
・閲覧環境
まず、Koboの閲覧環境として大まかに以下のものが挙げられています。
1.E-インクデバイス
2.デスクトップ(Windows(Windows 8を除く)/Mac)
3.Android
4.iOS
5.Windows 8(タブレット、スマートフォン、デスクトップ)

多様な環境があるので、ある仕様や機能は一部の環境でしかサポートされないものもあることを理解しておくことが重要です。

・EPUBのバージョン
KoboがサポートしているEPUBのバージョンはEPUB 2.0.1とEPUB 3.0(のサブセット)です。欧米では縦書き、ルビ、右開きなどは不要なので、大概の書籍はEPUB 2.0.1でカバーできてしまいます。どちらかというと、EPUB 2.0.1はEPUB 3の制作に慣れていない欧米向けという位置づけのような気がします。

日本語の書籍を制作する場合にあえてEPUB 2.0.1を利用する理由はありません。

・拡張子
個人的にKoboで特徴的だと感じる点は、拡張子によって利用されるレンダリングエンジンが変わる、という点です。

基本の「.epub」ではAdobeのエンジン、「.kepub.epub」にするとWebKitベースのエンジンが使われます。

日本語EPUBの場合には「.kepub.epub」にしておくのが良いようです。また、固定レイアウトの場合には拡張子を「.fxl.kepub.epub」とします。固定レイアウトで拡張子が「.kepub.epub」だと、表示領域一杯に表示されず変な余白ができます。

・画像
サポートされている形式はJPEG、PNG、GIFで、SVGはサポートされない環境があるとのこと。カラーモードはRGBが必須で、CMYKは使えません。

縦横サイズの制限は明記されていないようですが、容量の制限は3MBとされています。

また、CSSで画像サイズを指定する場合は単位に「px」(ピクセル)は使わず、「%」(元画像に対する割合)を使うよう記載されています。これは多様な閲覧環境の表示領域サイズに対応するためのもので、一般的なEPUBでも同様ですね。

・目次
EPUB 3の場合、目次用の「nav.html」を使用し、それが無い場合にはEPUB 2.0.1用の目次ファイル「toc.ncx」を使用するとのことです。

この記述が、単にEPUB 3用の目次ファイルを優先して使用し、次にEPUB 2.0.1用のNCXファイルを使う、ということなのか、ファイル名まで固定なのかが不明瞭です。

実際に試せばよいのでしょうが、今回はそこまでやっていません。

・閲覧環境ごとの使用可能なフォント
以下元記事からのコピペですが、環境ごとの使用可能フォントです。

・Android:Droid Sans Serif, Droid Serif
・デスクトップ:A-OTF Gothic MB101 Pr6N R, A-OTF Ryumin PR6N R-KL, Arial, Ariel Narrow, Arial Unicode MS, Calibri, Calibri Light, Cambria, Cambria Math, Constantia, DFKai-SB, Georgia, KaiTi, Lucida Sans, Palatino Linotype, Meiryo, Meiryo UI, MS Gothic, MS Mincho, MS PGothic, MS PMincho, SimHei, Times New Roman, Tahoma, Trebuchet MS
・E-インクデバイス:Amasis, Avenir Next, Caecilia, Georgia, Gill Sans, Kobo Nickel, Malabar, Gothic, Ryumin, Dyslexie, OpenDyslexic
・iOS:Avenir, Baskerville, Cochin, Georgia, Helvetica, Optima, Palatino, Trebuchet, Verdana
・Windows 8:Cambria, Calibri, Georgia, SegoeUI, Times New Roman, Trebuchet MS, Verdana

・埋め込みフォント
埋め込みフォントもサポートされていますが、サポートされているフォントはTTFとOTFのようです。

リフローの場合、読者が閲覧環境のフォントオプションを利用して埋め込みフォントを表示できます。例えば、iOSアプリではフォントオプションで[オリジナル]を選択します。

特に、固定レイアウトでは埋め込みフォントを利用しない場合、閲覧環境によってフォントが変わってしまい、制作者の意図した通りの表示結果にならない場合があるので、埋め込みフォントの利用を検討するようアドバイスしています。

・脚注・後注
「epub:type」属性を利用して脚注・後注のEPUBセマンティクスを適用した場合、E-インクデバイスとiOSアプリではリンク先の注の内容をポップアップテキストで表示します。他の環境では通常のリンクと同様の動作をします。

・ビデオ・音声・Media Overlays
ビデオと音声は現在のところ、iOSとAndroidのアプリでサポートされています。

Media Overlaysについても両者でサポートされていますが、Androidでは固定レイアウト書籍のみで利用でき、読み上げ箇所の文字の強調はサポートされていないようです。

iOSでは文字の強調のために「kobo-smil-highlight」というクラスを使用できます。

・JavaScript
JavaScriptもiOSとAndroidのアプリでサポートされています。

ただし、Androidアプリでは固定レイアウト書籍のみでサポートされます。iOSアプリではリフロー書籍、固定レイアウト書籍の両方でサポートされます。

ただし、基本的にJavaScriptが動作しないとコンテンツが成立しないような形は避けることをオススメします。

・データ容量の制限
実際には「制限」というほど厳しくはなく「推奨」のようですが、画像ファイルは既に紹介した通り3MB、EPUBファイルは1GBとなっています。

■最後に
1か月ほど前に、知り合いからKobo向けの電子書籍の制作に関するご質問をいただいたことがあります。それは、固定レイアウトの書籍が画面一杯に広がらない、というものだったのですが、当時解決することはできませんでした。

それからほどなくこのガイドラインが発表になり、目を通してみたところ固定レイアウト用の拡張子に関する記述を見つけました。

結果的にそれがビンゴだったのですが、このような独自の仕様に関する問題は「知らなければ解決できない」ものです。

そんな、個人的経験もあり今回はKoboの制作ガイドラインを紹介してみました。

■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi

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