- ブログポータル「BLOGOS」がメディアの未来を変える -
インターネットは今や、テレビやラジオ、新聞に並ぶ情報メディアとなっている。そうしたインターネット社会の中で、「情報発信・議論のきっかけ」となりうる良質な時事分析、オピニオンを含むブログを、livedoor ニュース編集部が整理・紹介するサイトが「ブログポータル「BLOGOS(ブロゴス)」、」だ。

2009年10月にオープンした「BLOGOS」は、当初は約60名だった参加ブロガーも、1年を経過した2010年10月には累計250名を超え、月間約1,400万ページビューのサイト規模に成長し、現在は既存とは違った、オピニオンや情報の厚さが反響を呼んでいる。そんな「BLOGOS」の1周年を記念したイベントが開催された。

ライブドアは2010年11月30日、都内 新宿住友ホールにおいて、「BLOGOS1周年記念シンポジウム メディアの未来像を考える~進化するネットメディア 変化するマスメディア~」を開催した。

シンポジウムでは、BLOGOS1周年を記念し、メディアに造詣の深いパネリストとして、アゴラ編集長 池田信夫 氏(57歳)、ジャーナリスト 田原総一朗 氏(76歳)、ジェイ・キャスト 代表取締役 蜷川真夫 氏(72歳)を招き、報道・論壇メディアとしてのネットメディアのこれから、ビジネスからみたネットメディアのこれからについてを語り合った。

■ネットがテレビにとって変わる時代へ
シンポジウムは、既存とネットのメディアについての話題から始まった。

池田氏は「よくも悪くも17年間、テレビは変わっていない。本当はテレビにもチャンスがあったと思う。」と、衝撃的な発言をした。池田氏は1993年までNHKに勤務していたが、その頃から今までテレビの体質は変わらず、インターネットへの対応は後手後手にまわっているという。

海外では、BBCがビデオ・オン・デマンドを開始しており、いつでも好きな番組が見られるようになっている。「このギャップを埋めるのは、少し大変だと思います。」と、現在のテレビに対する意見を述べた。
アゴラ編集長 池田信夫 氏

田原氏は、東京12チャンネル(現・テレビ東京)のディレクターとして、ジャーナリストとしての第一歩をスタートして以来、常に業界の一線で活躍してきた。田原氏は東京オリンピックの前の年に岩波映画製作所からテレビ局へ移ったが、その理由について「テレビがいい加減なメディアだからですよ。」と、驚くべきコメントをした。

入局前、テレビ朝日の若いディレクターに幼稚園の番組の構成をたのまれ、田原氏が思いつくまましゃべったところ、その案で行きましょうという話になり、台本は今晩中、番組はあさってと、当時としては驚くべき進行の早さだった。というのも、岩波映画製作所では10回も20回も企画会議があったという。田原氏は、「こんないい加減な世界があっていいのか。何でもできる。これは魅力的だ。」と考え、入局に至ったというのだ。

現在、どの局もコンプライアンスに大変注意を払っており、そこが駄目だという番組は放送することができない。
たとえば、係争中の被告や有罪が確定した被告は、テレビでは放送できないという。同様の理由で、堀江貴文氏もテレビに出演することができない。「既存メディア(テレビ)がやることを、ネットがやり始めた。逆転してしまった。これは大変だぞ。」と、ネットメディアに対する考えを述べた。

ジェイ・キャスト 代表取締役 蜷川真夫氏は、朝日新聞社の社会部記者として活躍しし、「AERA」の編集長をつとめたこともある。蜷川氏は「自分で原稿を書くのが一番いいかな。編集というはちょっと面倒くさいし、取材して書く面白さがあるから、肉体労働でもいいかな。」と、新聞記者になるキッカケを語った。当時、新聞はメディアの中でも全盛時代だったという。

新聞は、その時代、その時代で他のメディアを気にするメディアだそうで、「テレビが面白い番組を流すと、新聞の中でテレビのような面白い記事が書けないか。週刊誌が面白いと、新聞で雑誌のような記事は書けないか。よそのメディアに影響されて、新聞はあるべき姿を失っている。」と、自分の考えを述べた。将来、インターネットがかなり優勢して、その中でニュースや情報が流されることを考え、ジェイキャスト・ニュースを立ち上げるに至ったそうだ。当初は、画像や動画ものせられなかったわけだが、今日ではそういう問題もなくなった。まさにネットの時代というわけだ。
ジャーナリスト 田原総一朗 氏

■尖閣ビデオが投げ掛けるメディアの問題
ネットといえば、尖閣ビデオの第一報がテレビや新聞ではなく、ネットであった点が記憶に新しい。

なぜ、ネットで最初に公開されたのか?

池田氏によると、「現場は絶対、出したいというだろう。しかし、法務部のOKが出ないと、放送できない。テレビ局は役所に免許を握られているので、違法なものを流すと、免許を取り消されて大変なことになる。新聞と一緒に出すようにしようと。それくらい、これは微妙な問題だったんですね。」と、既存メディアの問題点を明らかにした。

それに対して、蜷川氏は「うちは夜中の段階でわかっていたんですね。すぐ記事として流しました。ジェイキャストニュースは普通のニュースもやるけれども、切り口を変えた記事を伝えるのもコンセプトにしていますから。」と答えた。
ジェイ・キャスト 代表取締役 蜷川真夫 氏

ジェイキャストでは、動画で流したいので、バックアップもとったという。「違法ではないのか」という意見が社内であったが、蜷川氏によれば、ネットのメディアであるからには、動画を見せる必要があり、これは当たり前の行為だというのだ。

MCのBLOGOS編集長 大谷氏の「ネットではなく、テレビ局に持ち込んだ場合、どのような対応になったのか。」に対して、田原氏は「YouTubeの情報を最初に流したのは、NHK。民放はわかっていたけど、違法なものをやっていいかなと。一番大胆だったのが、一番臆病なNHKだったんですよ。」と、独特の口調で語ってくれた。民放はNHKの放送を確認してから、自局での放送を行ったわけだ。

「それから裁判に関わった人間を出しちゃいけないんですよ。つまり、容疑者になるから。知る権利と、どっちが大事だかと言ったら、知る権利のほうがはるかに大事。」と、テレビ局の問題点を明らかにした。また、民主党の代表選挙の話を持ち出し、編集方針のために真実を語ろうとしない新聞もだらしないという。

現在のテレビや新聞は、法務部が許可したものでなければ、ニュースとして流すことができない。また裁判中の事件でも、刑事事件にならなければ、報道しないという姿勢がある。検察の流す情報をそのまま鵜呑みにする既存メディアには、多いに問題があるというのだ。メディアは独自取材を行い、たとえ逮捕される可能性があったとしても、それを報道する。これがメディア本来の姿であるという。

ブログポータル「BLOGOS」を含めたネットメディアの可能性と、既存メディアについて、あらためて考えさせられるシンポジウムだった。

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