SNSを標的にしたサイバー犯罪の増加が警告されているが、スマートフォンも急速な拡大にあわせて、サイバー犯罪に狙われるようになった。いままでの携帯電話と違い、パソコンに似たシステムを導入し、自由にアプリケーションをインストールできることがスマートフォンのメリットとなっているが、このメリットがサイバー犯罪にとっては格好のターゲットとなる。

これに対応できるように、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)セキュリティセンターは、スマートフォンに関するウイルスの脅威と、対策方法をまとめている。

■スマートフォンがサイバー犯罪の標的に
スマートフォンは自由にアプリケーションをインストールできる。見た目は携帯電話だが、中身(機能)はパソコンに近い。だから、パソコンと同様に、コンピュータウイルスの被害にあう可能性があるのだ。
国内を見ると、今までの携帯電話についてはウイルス感染などの報告はほとんどなかった。それは、携帯電話は、機種ごとに仕様が異なるほか、自由度を制限することでセキュリティを高めているため、ウイルスに感染しにくいからだ。

しかし、スマートフォンは違う。スマートフォンは海外製を含む多くの機器で共通の仕様となっている。同じOSを搭載した機種も多く、海外で作られたウイルスが、そのまま国内のスマートフォンにも感染する可能性が高いのだ。
スマートフォンはアプリケーションを追加できる点が特徴となっている。しかも、アプリケーションの開発情報が広く公開されているため、携帯電話に比べてウイルスが登場する危険性が高いのだ。
スマートフォンはパソコンと同様に、ウイルスの脅威にさらされているだけでなく、今後ウイルスが増加していくとIPAでは予測している。

■どうすれば守れるのか?
Android OSを標的としたウイルスはすでに登場している。発見されたウイルスは、アプリケーションにウイルスが混入させられた状態で流通していたため、そのアプリケーションをインストールすると、最悪の場合、スマートフォンを乗っ取られてしまう可能性があるという危険なものだった。
このような被害を予防するには、信頼できる場所から、正規版のアプリケーションを手に入れることが大切だ。Android Marketは、個々のアプリケーションについて、マーケットへの登録時の事前審査はない。ただし、悪意のあるアプリケーションなど、Android Marketのポリシーに違反するものは削除される仕組みがあるため、一定の信頼があると考えられる。また、改造版や海賊版を配布しているようなWebサイトの利用については注意を促している。
アプリの評価やコメント、ダウンロード回数などは、安全かどうかを判断する手掛かりになる。また、メールの添付ファイルにも注意が必要だ。

■「提供不明のアプリ」設定のチェックを外す
Android の設定画面に「提供元不明のアプリ」という項目がある。この項目のチェックを外しておくと、Android Market以外で入手したアプリケーションのインストールが阻止できる。操作を誤るなどして不正なアプリケーションをインストールしてしまわないよう、このチェックを外しておくことを進めている。

さらに、アプリケーションのインストール時の「アクセス許可」に注意した方がいい。
Androidアプリケーションは、そのアプリケーションがスマートフォンの中のどの情報/機能へアクセスするかを、「アクセス許可」を求めるという形で宣言する。これを確認しないでアプリケーションをインストールすると、被害にあうウイルスもあったのだ。要求される「アクセス許可」が不自然な場合や、疑問に思う点があれば、インストールを中止したほうがいいだろう。

最終的に安心を求めるなら、セキュリティソフトを導入することだ。主なパソコン用セキュリティベンダーがAndroid向けのセキュリティソフトを販売している。海外版のみの場合もあるが、日本への導入を検討しているベンダーもある。

Windowsを標的にしたウイルスは、何年もかけて巧妙化、悪質化が進んできた。そのノウハウや手口がスマートフォンへ応用される可能性は高い。だからこそ、スマートフォンはウイルスにかかりやすいということを認識し、パソコンと同様に常に必要な予防策を心がけることが大切なのだ。

情報処理推進機構(IPA)

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