街頭のビルに設置された大型ディスプレイ、電車内で運行情報を知らせるディスプレイなど、デジタルサイネージ(電子看板)が、徐々に町中に広がりつつある。果たして、このまま広がっていくのだろうか?
2020年のスレートPC市場を予測するなど、IT分野の市場動向を予測してきた富士キメラ総研の調査から、デジタルサイネージの動向が明らかになった。

デジタルサイネージと聞いてもピンとこない人がいるかもしれない。
東京の山手線に乗ったことがある人なら、ドアの上にディスプレイ、天気やクイズ、CMを流していることを知っているだろう。また、新宿駅前のビルには大型ビジョンが付いていて、広告を流していることが知られている。そう、このようにディスプレイを活用した電子データによる情報告知や広告などを行うシステムをデジタルサイネージと呼ぶのだ。

デジタルサイネージの最大のメリットは、複数拠点へのリアルタイムな一括送信・管理ができ、時間帯、設置場所に応じた表示の切り替えが簡単にできることが挙げられている。そのため、通常のポスターなどと比べて、貼り替え作業の手間を削減でき、タイムリーで効果的な情報が表示できるのだ。

富士キメラ総研によると、デジタルサイネージ市場全体が2010年には741億円(前年比112.3%)になる見込みで、2015年は1493億円(09年比226.2%)へと広がると予想している。その中でも注目しているのがコンテンツ制作/配信サービス市場で、2010年は前年比83億円市場(前年比123.9%)が見込まれ、2015年には175億円、2009年比で261.2%まで拡大しそうな勢いだ。

これは、ディスプレイや配信システムのコストが下がり、ユーザー層が拡大し、需要が増加するため。今後も、配信委託ユーザー数、広告媒体数/事業者の増加で市場が一層拡大しそうなのだ。当初はディスプレイメーカーやシステムメーカーがハードを中心に市場を形成してきたが、これからは導入しているシステムを使ってコンテンツの制作、配信、運営などのサービス事業者が増加していくと、富士キメラ総研は予想している。

これからも交通広告が市場をけん引していきそうだが、従来のLED看板から代替した安価なサイネージシステムや電子POPの小型ディスプレイなどにより、中小規模の小売店舗への導入も増加するなど、ユーザーのすそ野もまた着実に広がっていると、富士キメラ総研は分析している。交通・金融機関から、量販店、コンビニのチェーンなどへの導入が進みはじめているのだ。

富士キメラ総研

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