モバイルコンテンツの発展を支援してきた社団法人モバイルコンテンツフォーラム(通称MCF)が先日月例定例会を開催した。

テーマは、「スマートフォンにおけるユーザー動向」だった。IT業界は、まさにスマートフォン一色となった今、震災後のタイミングにも関わらず、多くの参加者がいた。スマートフォンの注目度が伺えるような定例会であったのだ。

そこで、今回はMCF定例会の内容から、スマートフォンの動向について迫ってみよう。今後のスマートフォンビジネスの参考にしていただければ幸いである。

■ユーザーの価値観が変わってきている
アスキー総合研究所によると、新しい日本人として、ネットを通じて人とつながりを持つソーシャルネーティブが台頭していき、全世代はビンボーハッピーに向かっていくという。知人や友人を通して、とにかくタダで済ませる社会をインターネットが後押ししているからだ。しかも、こういった人々はスマートフォン志向が高いという。

Androidユーザーは、営業職、技術者、学生が多く、普及期はまだ来ていない感じだ。対して、発表当時にMacユーザーが大半だったiPhoneは、いまや主婦層などの一般ユーザーにまで広がっている。
そう、iPhoneを購入したいというユーザー層は、20代後半ギャルが10%と一番多く、Androidを購入したいというユーザー層は、ガンダム世代の30代後半の男性が一番多く12%となっている。となると、今後のスマートフォンは当面、女性はiPhone、男性はandroidという傾向になりそうだ。

では、ビンボーハッピーをどうとらえるか。

モノ志向から無形物志向になるという意味では、コンテンツ産業にとってはプラス材料であるが、どんなコンテンツにお金を払うかという価値観が変わって来ていることに注意すべきであろう。

■アプリマーケットの乱立でかえって力をつける2大巨頭体制
iPhone、Android、マイクロソフトのプラットフォーム系に続いて、デバイス系、通信キャリア系、テレビ系など、たくさんのアプリケーションプラットフォームが乱立している。その中でも、iPhone、Androidの2大巨頭が依然として強い力を持っている。
Androidにいたっては、アプリケーションが25万本、四半期の出荷台数は3000万台と、iPhoneに肉薄してきている。

インプレスR&Dによる調査によれば、ダウンロードの頻度は無料アプリが月に3、4本が多く、有料アプリは月に1、2本。便利系とゲーム系は上位だという。年配ユーザーにつれて音楽や電子書籍が高くなってきている。

1カ月のアプリの消費金額は500円以下と年々下がる傾向にあり、一般層にユーザーが広がったため、アーリーアダプターのユーザーが相対的に減って来たと解釈できるのだ。アプリ内課金の購入経験は17%ではあるが、認知度は85%ではあるので、コンテンツプロバイダーの積極的な試みが期待できる。

よく利用する無料アプリは、ウェザーニュース、BB2C、乗り換え案内、Twitter、Evernote、産経新聞、GoogleMAPが上位を占める。それに対して、有料アプリは、Good Reader、大辞林、ATOK Pad、さいすけ、乗り換え案内が上位となっている。

今後利用したいアプリのジャンルは、ユーティリティ、仕事効率化、電子書籍、ナビゲーションの順であり、仕事効率化のアプリは、現状ダウンロード経験が少ないというギャップから、多いに期待できるジャンルだ。

ちなみに、モバイルアプリの満足度は62%で、裾野の拡大とともに年々低下しているというから、今後は「質の戦い」をディベロッパーは強いられることになるだろう。

事業として収益をあげられていると答えた業者は14%。去年の1%から大幅に改善されたことにも注目だ。

実施しているアプリのマーケティング活動は、62%がブログ紹介、50%がリリース、42%がレビューサイトに応募、37%がYouTubeにアップ、インターネット広告は11%となっており、去年より軒並み活発化している。

全くマーケティング活動をしていないという12%にならないよう気をつけていただきたいものだ。

企業のAndroidマーケットへの評価は去年に高かったが、今さらながら、今年はiPhoneマーケットの評価を抜いたといういうのは面白い。一方で、Appleは、サポート体制などの、ビジネス的な信頼を獲得しつつある。

■世界のスマートフォン事情と注目の動き

コムスウェアによると、アメリカにおけるスマートフォンシェアは28%となり、EU5カ国では32%、とりわけスペインでは37%と高い。アメリカではAndroidが去年末にブラックベリーを超えてトップOSとなり、イギリスとフランスでは、Appleがシンビアンを超えてトップOSとなった。

欧州ではiPhoneの出荷台数は一段落したが、日本はiPhone5の登場でまだまだ伸びるそうだ。おそらくiPhoneが牽引してスマートフォンブームを支え、それに乗じてAndroidも伸びるだろうとのことだった。

興味深いのは、Facebookの伸長とともにアマゾンによるモバイルコマースが伸びているという。
このタイミングでAndroid Appstoreを開設したアマゾンの動きには注目だ。

■iPhoneはケータイとパソコンの中間を狙って成功
慶応大学の田中准教授は、iPhoneのユーザー調査を通じて、もともとケータイしか持っていない層とパソコンを使いこなす層とにわかれており、Appleは戦略的に、ケータイでもパソコンでもない、その中間をついたと説明した。

興味深いのはこれからのAndroidがどうなるのかというところだ。結論からいうと、PCの延長としてのAndroidか、ガラケーの延長としてのAndroid、両派にわかれるという。

今までパソコンを主としてビジネスをしてきたウェブサービスプレイヤーにとっては、オープンな空気を求めて、iPhoneよりもパソコン寄りのAndroidデバイスを待望している。

逆に、ガラケーを主としてビジネスをしてきたコンテンツプロバイダーにとっては、自由に広がってしまったiPhoneよりも一部の事業者に閉ざされたAndroidデバイスを待望している。

一言でAndroidといっても、ビジネス的には、ますます混迷を深めている。
たまたま先に市場を作ってしまったiPhoneがベンチマークになっているが、これがトラウマにもなっているようだ。


以上、MCF定例会でのメモである。

目の前のユーザーばかりに対峙していると、大きな着眼点を忘れてしまう。
こんな時には、業界の知見者が集まるところに顔を出してみるといい。

MCFはiモード立ち上げ当初からケータイビジネスを牽引してきた集まりではあるが、既存ビジネスへの危機意識は高く、最近では日本Androidの会と提携したり、海外ビジネス展開の窓口も行っている。

岸原代表は「モバイル業界は、日本でも唯一といってもいいほど伸びている業界で、世界にもチャレンジできる分野なのだから、どんどんチャレンジしてほしい」という。

ぜひ、興味ある方はMCFのイベントに参加してみてほしい。

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