インテリアだけでなく、パーティーグッズ、お店のPRなどで活躍するNeonSign


iPhoneアプリの開発は苦悩の連続だ。初めてアプリを作る人であれば、その苦労は計り知れないだろう。これからiPhoneアプリを開発する人のために、レインボーアップススクール10期生で、ユニバーサルアプリ「NeonSign」の開発者である曽布川和久さんが、アプリ開発の苦悩と格闘の日々を赤裸々に語ってくれた。

■やらない後悔より、やる後悔
2008年夏、徹夜で表参道の行列に並び、ソフトバンク 孫正義さんと握手し、iPhone3Gをゲットした時から全てが始まった。それまではApple製品と言えばiPod程度しかなかったが、家の中がみるみるリンゴマークだらけになっていった。そして、ついに「そうだ!iPhoneアプリを作ろう!そしてあわよくばぼろ儲け!」と思い立ったのだ。

私が「iPhoneアプリを作りたい!」と言った時の周りの反応は、「iPhoneアプリで成功するのは、ほんの一握り」「アプリが大量に出ているので、ダウンロードしてもらうだけでも大変」「それ絶対儲からないよ」だ。一般的なユーザーの認識として正しいだろう。

しかし、実際にアプリ開発をしたことがない人たちの意見でしかない。そこで、「やらない後悔より、やる後悔を選びます」と、アプリ開発を決めたのだ。

さらに、「自分が本当に作りたい物を、使ってくれる人のことを第一考えて作り、ダメなら自己責任」と言う勝負をしたかったのも大きな理由のひとつだった。

■果たして何を作ったらいいのか?
できることを形にするだけでは売れないだろう。自分は個人であり、初心者であり、できることは限られている。一方、世界中には、ありとあらゆるテクニックを駆使した素晴らしいアプリが大量に配信されているのだ。開発リソースの少ない個人が戦うには、頭の中からひねり出すアイデアが大事だと思った。

よいアイデアが思いつかなかったところ、犬の散歩中に偶然ネオンを見かけた(パチンコ店だが)。その時、「そうだ、これをアプリにしよう!」とひらめいた。

学生の頃、アメリカンな雑貨屋で踏み切りのように点滅するランプや信号、アメ車のイラストが描かれたパブミラーなどを買って部屋に並べていたのを思い出したのだ。iPhoneやiPadを充電スタンドに載せておくだけではもったいない、部屋のインテリアにしよう。

■何をこだわり、何を捨てるかが重要
プログラム部分は参考書やネットの情報をたよりに何となくできた。問題はネオン画像自体の作成と、アプリ全体のデザイン、どこにどれだけのこだわりを持たせるかなどだ。これはやって見ないと何が正解か分からないのだが、ここでRainbowAppsというiPhoneアプリ開発スクールを見つけた。

プログラミングの講習も大事だ。しかも、開発者仲間ができるかもしれない。先人たちの体験を聞けるかもしれない。そこで、スクールへの参加を決めた。このスクールでEagleの藤永氏をはじめとする他のクリエーターたちの貴重な経験や、現在のアプリ開発における貴重な情報を得ることができたのだ。

■出し惜しみはしない方がいい
ついにアプリが完成し、iPhoneにのみ対応と言う状態で2011年1月25日にリリースした。ネオン用の画像を100セットとちょっと搭載したが、手書き機能は未実装だった。

できれば完全版(現在のVer2.0相当)で出だしたかったが、同じようなコンセプトのライバルアプリが登場したこともあり、自分の決めた最低ライン「ネオン100種類以上」を達成したため、リリースを決めたのだ。しかし、1週間も経たないうちにランキングから消えた。

「アプリはリリース直後が最も注目度が高いので、バージョンアップで喜んでもらうと言う方法もありだが、できれば未完成状態でのリリースは避けた方がよい」という、スクールで出会った先人のクリエーターからの名言を痛感した。

念願の手書き機能を実装したVer2.0リリースは3月5日だった。有名なサイトにレビュー掲載依頼をお願いしまくった。10本以上の依頼を出したが、掲載してもらえたのは2件だった。しかし、その効果は大きく、この週で100本近いダウンロード数を記録し、カテゴリランキングも瞬間最大で25位程度まで上がったことを確認した。

アプリを直接見てもらうと評判はとてもよい。レビューの評価も概ね好評なのだ。やはり認知が足りないのかと思った。
念願の手書き機能実装と、iPadユニバーサル化を果たし、活用の幅を広げたVer2.0

発売以来、リリース、iPad対応(2/6)、Ver2.0リリース(3/5)に山がある

■思い切って無料セールを目指す
そんな折、仕事の打ち合わせでガールズバーへ行く機会があった。すると思った以上に評判がよい。「えー!何それー?かわいいー!」「名札の代わりに使いたい!」と言う意見や、「手書きが楽しい!」と延々書き続ける女性もいた。

7名の女性がiPhoneユーザーで、「購入したくなるか?」と聞いたところ、「有料は買わない。無料ならぜひ欲しい!」と言った意見をもらうが、1名は「すぐに購入する」(接客的な対応もあるかもしれないが)と答えた。反応を見る限り、このアプリは口コミを狙えそうな気がした。

ここまでのアプリのダウンロード数は数百本程度しかない。口コミを狙うにはあまりに少なかった。値下げはあきらめ、思い切って無料セールによる配布数の増加を目指した。

■5日間で6万本ダウンロード
無料化直後より値下げ監視系サイトでPRされ、自分で値下げセールのお知らせ等をするまでもない程の大きな反応があった。Twitterでは世界的にツイートされた。3G回線でダウンロードできないこのアプリが1万本ダウンロードされるとは思いもしなかった。

5日間で世界トータル6万本近いダウンロードがあった。念願のUSストアでトータル1万本近いダウンロードがあり、14件のレビューが付いた上、レーティング(評価)もよかったため、What's hotという人気コーナーでも紹介された。ただし、USストアの層の厚さから、レーティング4.5(5が最大)でもWhat's hotでは上がったり消えていたりしている。

日本は無料化の翌日に1万本以上のダウンロードがあり、iPhone無料総合で11位、iPadエンタメでは最終日まで1位キープし、総合4位となった。ランキングは無料化後2日目がピークとなり、急激に下がった。もし次回、別のアプリでやるなら3日間程度がよいと感じた。

■無料化ってどうよ?
無料化してダウンロードされるのは、開発者として惜しい気もするが、監視サイト経由で無料ダウンロードしているユーザーは、有料ではほぼ間違いなく買わないだろう。

だから、無料でダウンロードされても損ではなく、むしろ口コミの可能性を広げてもらえると考えた。英語対応や、海外ユーザーからの反応等、貴重な体験をすることができたのは大変によかった。

この後、有料アプリとして実際に上がっていけるのかは、まだまだ不透明であるが、より多くのユーザーに使ってもらい、今までとは桁違いのフィードバックを得たことは大変によいことだったと感じる。

また、「ぼろ儲けが」できなかったとしても、実際に見知らぬユーザーが使っていて、喜んでいる姿を目にできる機会があれば、それは何物にも代え難い喜びであると思う。
3月末からの直近の推移。4月10日を境に完全に消滅(いわゆる埋もれました状態)。無料化直後の反応はご覧通り。夢の総合1桁まで後一歩

USエンタメ無料で50位(瞬間最高25位)を記録した日のダウンロード数は6000本以上であった

まだまだ改善の余地も残る「NeonSign」だが、このような紆余曲折を経て作成したので、一度お試し頂ければ大変嬉しく思う。長文になってしまったが、これからアプリ作成をしてみようと思っている多くのクリエーターへの一助になれば幸いだ。

NeonSign



[Image] QRコードアプリ名:NeonSign
価格:230円
カテゴリ:エンターテインメント
開発者:Regulus
(C) Kazuhisa Sobukawa
バージョン: 2.0
条件:iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 4.0 以降が必要
iTunes Store: http://itunes.apple.com/jp/app/neonsign/id414609263?mt=8

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