次々に発表される市場調査を見ると、やはり東日本大震災の影響は大きかったのだと再認識する。被災地、被災者だけでなく、IT業界も大きな影響を受けている。

IT専門調査会社IDC Japanが調査した「国内ITサービス市場予測」からも、その影響がうかがえる。しかも震災直後の被害に加え、2011年夏に予想される広範囲の電力不足と、二重の影響が企業の慎重姿勢を強くしているとのことだ。

調査からは国内ITサービス市場が2011年には東日本大震災の影響により前年比1.8%減になる見込みだ。しかし、2012年位はプラス成長に転じ、2015年には市場規模が5兆3,455億円と、2010年から2015年の年平均成長率が1.6%になると予測している。

実は震災前には、2011年はリーマンショック以降の景気後退から立ち直ると見込まれていた。だが、震災の影響で3年連続のマイナス成長と予測されている。ただし、事業継続や震災対策に対する投資や、その一環としてデータセンターのアウトソーシングの利用、テレワークの浸透によるシンクライアントやデスクトップの仮想化といったITインフラは一部で拡大することも予測されている。

2012年以降は、震災の復興需要や抑制していた投資が再開する。しかし、クラウドといった低価格サービスへの移行、大手企業を中心としたITグローバル化で、成長率は3.0%前後にとどまると予測している。

IDC Japan ITサービス グループマネージャーの寄藤 幸治によると、「国内ITサービスベンダー各社は、復興~平時へのフェーズで起こる顧客嗜好の変化の把握やグローバルなITマネジメントなど新たな企業の課題を先取りしつつ、社内外、国内外のパートナーと協業して、新たなサービス、ソリューションの開発/提供を行うべきである」としている。

復興を目指す中で、企業のITに対する要求の変化に注目していくのがよさそうだ。

IDC Japan

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