パソコンを自作するユーザーにとって、CPUやビデオカードとともに重要なPCパーツがマザーボードだ。いくら高性能なCPUを用意したとしても、その性能を遺憾なく引き出せるマザーボードでなければ、CPU本来のパフォーマンスを発揮することができない。

自作、メーカー製を問わず、デスクトップPCの世界では、まさにマザーボードの善し悪しがパソコンの性能を左右すると言っても過言ではないのだ。それほど重要なマザーボードを提供するメーカーのひとつが「ギガバイトのPC道場」でも紹介している大手マザーボードメーカーであるGIGABYTEだ。

同社は常に最新技術を盛り込んだマザーボードを提供しており、つい最近もAMD A75チップセットを搭載したマザーボード を、AMDの解禁日に合わせて発売したばかりだ。

マザーボードは、どのようなタイミングで開発・提供しているのだろうか。またGIGABYTEのマザーボードには、一貫した特徴があるのだろうか。

アジア地域においてマザーボードとセールス&マーケティング部門を統括する、GIGABYTE マザーボード事業部 セールス及びマーケティング部門 アソシエイト バイスプレジデント ビンセント・リュウ(Vincent Liu)氏にお話をうかがうことができた。

■独自技術が盛り込まれたZ68搭載マザーボード
2011年5月31日から6月4日までの5日間、台湾 台北市において、アジア最大級のコンピューター見本市の視察ツアー「COMPUTEX TAIPEI 2011」が開催された。まずは、同イベントで発表された新製品についてうかがってみた。
GIGABYTE マザーボード事業部 セールス及びマーケティング部門 アソシエイト バイスプレジデント ビンセント・リュウ(Vincent Liu)氏

編集部:「COMPUTEX TAIPEI 2011」で発表したマザーボードの中で、とくに注目の新製品は何でしょうか?
ビンセント氏:GIGABYTEのマザーボード製品では、インテルのZ68プラットフォームを搭載したラインナップです。とくに注目の機能が「Intel Smart Response テクノロジー」であり、SSDとハードディスク(HDD)をうまく繋げることで、ストレージのデータ転送速度を約60%高速化する機能が大きな特徴です。

弊社としては、消費者により使いやすい製品を提供することを、とくに重要視しています。「COMPUTEX TAIPEI 2011」全体でいうと、スレートPC(タブレット端末)が注目されていたのではないかと思います。

編集部:スレートPCの日本での展開はあるのでしょうか?
ビンセント氏:日本での発売もあるかもしれませんが、GIGABYTEの日本法人である日本ギガバイトはマザーボードに主力を置いたビジネスを展開しています。

編集部:ところで、新しいマザーボードは、いつもどういったタイミングで投入されるのでしょうか?
ビンセント氏:新製品を出すときには、いろいろなタイミングがあります。基本的にインテルの新しいチップセットが出るときには、新しいアーキテクチャーが盛り込まれるなどの大きな変化があります。

たとえば、Z68チップセットやSandy Bridgeなどです。弊社は常にそうした最新技術を研究しており、USB3.0やm-SATAなど、ユーザーにとってより良い機能だと判断すれば、その技術を新製品に盛り込んで販売します。
mSATA搭載Z68マザーボード

編集部:今、ちょうどm-SATAの話が出てきましたが、最大のメリットはどこにありますか?
ビンセント氏:m-SATAの技術は、すでにノートブックで使われています。ノートブックはデスクトップパソコンよりもストレージの容量をあまり必要としないので、省電力や速度面でハードディスク(HDD)よりも有利なSSDを使う製品があります。

そういった有利な面をデスクトップPCのマザーボードにも付け加えようということで、Z68搭載の新製品では、インテルのSSD部門と協力して、m-SATAを開発しました。

編集部:Z68には、m-SATAが付いてない製品もありますが、m-SATAモジュールは日本でも購入できるのでしょうか?
ビンセント氏:パソコンショップで普通に販売されてます。
m-SATAモジュール

編集部:Z68搭載マザーボードは他社も販売していますが、GIGABYTE製品でとくに注目の機能は何ですか?
ビンセント氏:弊社のZ68搭載マザーボードは、従来のH67とP67の両方の特長的な機能を搭載している製品です。注目すべき点は、3つあります。

まずひとつめは、製品数が多く、ラインナップが充実している点です。Z68搭載マザーボードは、日本に投入しているものだけでも、全12製品あります。これはユーザーにたくさんの選択肢を与えるためです。

2つめはインテルと協業してオンボードSSD(m-SATAモジュール)を開発している点です。m-SATA(小さなSSD)はインテルがとくに推している技術です。おかげさまで、今回、m-SATAを搭載できるマザーボードを世に送り出すことができました。

3つめは「EZ-Smart Response ユーティリティ」です。先ほど、ご説明いたしましたSSDとHDDを組み合わせることで、SSD並みの速さを実現できるという点です。

この機能をより使いやすくするために、弊社では「EZ-Smart Response ユーティリティ」というソフトウェアを独自で作り、「インテル Smart Response Technology」によるSSDキャッシュの機能をより使いやすいものにしました。

手前味噌ですが、こういった技術を開発できるのは、弊社の技術力の高さがなせる技だと思っています。


■GPU性能に優れたA75マザーボード
日本ギガバイトは2011年6月27日、AMDの最新チップセットとなる、AMD A75チップセットを搭載したマザーボード4製品を発表した。新製品となるA75マザーボードの魅力はどこにあるのだろうか。
A75マザーボードについて語る、GIGABYTE マザーボード事業部 ビンセント・リュウ氏

編集部:A75マザーボードのセールスポイントについて教えていただけますか?
ビンセント氏:A75の最大の特長は、CPUとくにGPU(ビデオ)の性能です。A75はCPUとともにGPUを内蔵したチップ(APU)です。APUの40%がシリコンダイアグラムでできていて、GPUの性能が非常に良いものとなっています。

あくまで目安ですが、米ドルで60~70ドルくらいのグラフィックスカードよりも高性能なグラフィックス性能を備えています。弊社のマザーボードでは、このAPUをメインストリームからローエンドまでのすべての製品で利用できるわけです。

編集部:GPU以外で何か特長的なものはありますか?
ビンセント氏:GPU以外で特長的なものとしては、オーバークロック機能があげられます。通常、APU対応のマザーボードでは、Futuremarkのベンチマークソフト「3DMark」でグラフィックス性能を測定すると、3,000ポイント程度の数値しかでません。

これが弊社のマザーボードを使用した場合、6,000ポイントくらいの数値が出ます。さらにオーバークロックすることで、1万ポイントを超えることもできます。これはGIGABYTE A75製品の最大の特長と言えます。

オーバークロック機能は、弊社のA75マザーボードでとくに注目すべきものです。AMDは弊社のマザーボードを300枚ほど購入して、世界中のメディアや販売店に配っているくらいです。ですから、弊社としてもA75に力を入れていますし、数量的にもたくさんの供給を計画しています。
優れたオーバークロック特性を持つ、A75搭載マザーボード

編集部:日本のPCユーザーは、A75搭載マザーボードがいつ登場するのかが気にしていると思います。日本での発売時期は、いつですか?
ビンセント氏:弊社では、6月27日の解禁日に合わせて、すでに出荷を開始しています。日本でも解禁日には、店頭で入手できるはずです。

編集部:A75搭載マザーボードでは、Z68の「EZ-Smart Response ユーティリティ」のような特別なユーティリティを付ける予定はありますか?

「EasyTune 6」というオーバークロックユーティリティを付属します。「EasyTune 6」を使えば、誰でも簡単かつ安全にオーバークロックを行うことができます。

編集部:ベンチマーク以外には、どんな特長がありますか?
ビンセント氏:グラフィックス性能に優れている点があげられます。「Hybrid CrossFire」と呼ばれる機能は、内蔵グラフィックスと外部グラフィックス(ビデオカード)を組み合わせることで、通常よりも70%くらいグラフィックス性能を向上させることができます。


編集部:最後に日本のPCユーザーにメッセージを頂戴できますか?
ビンセント氏:日本のPCユーザーは、非常に優秀で専門分野に強いユーザーです。というのは、製品の選び方をよく知っていますし、製品を使ったあとのフィードバックもとても詳細で驚きました。

ですから、弊社は良いパフォーマンスを持った製品を投入し、良いサービスを提供することによって、もっと日本のユーザーを満足させることができるように全力を尽くしたいと考えております。

2011年の下半期でとくに注目すべき製品群は、インテルでいうとZ68プラットフォーム、AMDでいうとAMD 990FX(Bulldozer)+A75(Llano)が注目すべき製品群となります。弊社は、性能面で積極的に向上していきたいと考えております。

現在、弊社は製品の完成度に加え、オーバークロック技術、EZ-Smart Response 、ON/OFFチャージなどの特許取得技術でも、弊社は非常に優れており、業界をリードする機能をマザーボード市場で展開しています。下半期も弊社のマザーボードを選べば間違いなしと言いたいです。

編集部:本日は、ありがとうございました。

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