デジタルカメラをめぐる環境は激変し続けている。デジタル一眼レフカメラはキヤノンとニコンの2強を、ソニーやパナソニックなどが追っている。2011年1~5月の集計では、キヤノンが43.3%、ニコンが40.5%と上位2社で8割以上を占めている(BCN調べ)。2強に立ち向かうため、2006年、ソニーがコニカミノルタのカメラ事業を手に入れたことも記憶に新しいところ。
一方、コンパクトデジタルカメラは市場が伸び悩んでいるだけでなく、価格下落が激しく、独特のコンセプトや付加価値を持たないと勝ち残っていけない。さらにこの市場は、携帯電話がライバルとなり、大幅な拡大が望めなくなってきている。

そのような状況の中、リコーがHOYAのPENTAXイメージング・システム事業を買収することを発表した。リコーによるPENTAX買収はどのような狙いがあるのだろうか。
最新ニュースを振り返るITフラッシュバックでは、リコーによるPENTAX買収をピックアップした。


リコーの基盤事業は複写機/複合機などを中心とした画像ソリューションだが、創業時以来数々のカメラも開発してきている。1995年にはいち早くデジタルカメラを発売したほどだ。しかし、デジタルカメラ市場は厳しさを増している一方で、歴史は浅く、技術革新や進化の可能性が高いのだ。そこで、リコーは光学技術やネットワーク技術などの強みを生かしたコンシューマ事業を強化するために成長機会を探っていたという。

一方のPENTAXは、日本で初めて一眼レフカメラを開発するなどカメラ市場を常にリードし続けてきた。もちろん、ファンの支持も根強い。しかも、ハイエンドコンパクトデジタルカメラに軸足を置いたリコーとの重複も少ないのだ。

さらにPENTAXは、今後成長が見込まれるミラーレスタイプのデジタル一眼レフ「PENTAX Q」を、6月に発表したばかり。デジタル一眼レフカメラの2011年5月の販売実績(BCN調べ)を見ても、トップ10内に、オリンパス「OLYMPUS PEN Lite E-PL2」が3位、パナソニック「LUMIX DMC-GF2」が5位、ソニー「NEX-5」が7位、オリンパス「OLYMPUS PEN Lite E-PL1s」が9位と4機種がランクインしている。2008年に立ち上がったばかりのミラーレスが、すでにここまで拡大してきている。このミラーレス市場では、デジタル一眼レフカメラで出遅れたメーカーが力を持つ。コンパクトでありながら一眼レフの利点も併せ持っていることで、初心者にも使いやすい。そう、女性への訴求力もあるのだ。

今後、デジタルカメラの主戦場はミラーレスに移っていくことが予想される。ミラーレスの新機種を発表したばかりのPENTAXをリコーが買収することは、このミラーレス市場での力強い武器も手に入れることになるのだ。

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