オリンパスの初代CAMEDIA


オリンパス経営陣による多額の損失隠しが明らかになった。同社は東証の監理ポストに入れられ、国内外の司直による捜査も進行している。デジタル機器のユーザーになじみ深い、オリンパス製デジカメやICレコーダーの先行きはどうなるのか?

■粉飾決算は重大犯罪
オリンパスは、1990年代から有価証券投資等による損失(報道によれば1400億円以上)を、ファンドに移すなどの手法を使って隠していた。その穴埋めには、海外企業買収にかかわる資金が流用されていた。詳細は、司直をはじめ第三者委員会が調査中であるが、すでに前会長、副社長、常勤監査役の関与が発表されている。

要するに、企業が四半期ごと、年度ごとに発表する有価証券報告書の記載が虚偽であったわけで、これは、金融商品取引法に違反する重大な犯罪である。オリンパスの上場廃止が懸念され、株式市場で連日のストップ安になっているのも、当然なのである。

一部報道では、刑事責任は追及されず行政処分にとどまり、同社の上場は維持されるのではないかとの観測もある。だが、この場合は日本企業のガバナンス(統治)が世界的に疑われることになりかねない。個人的見解だが、行政処分にとどまるという見解には賛成しかねるし、そうすべきではない。

■オリンパスは医療機器メーカー
デジタルユーザーにとって、オリンパスはデジタルカメラの「CAMEDIA」、ICレコーダーの「VoiceTrek」の発売元として知られていることだろう。だが、世界的には医療機器メーカーとして知られ、胃カメラなどで使われる内視鏡では、世界の75%という圧倒的なシェアを誇る「ガリバー」的存在である。デジタルカメラやICレコーダー事業も、内視鏡ほどではないが利益を生んでいる。

この点からすれば、オリンパスは世界的な優良企業だ。株価が下がった現在、内視鏡におけるライバル企業(富士フイルム、HOYA、独・シェリーなど)をはじめ、ありあまる資金の使い道に困っている投資ファンドなどにとっては、絶好の「買い時」だ。もっとも、手を出すのはまだ早いだろうが。

■事業分割もあり得る
「買い手」にとって魅力があるのは、自己の企業にとって利益になる事業分野だけである。そうすると、上場廃止の可能性とともに、オリンパスの一部事業が売却される可能性はある(損失の穴埋めが必要)。ただし、グループ企業が多額の負債を抱えた旧セゾングループのように、完全に解体されることはないだろう。

保有企業が変わる可能性は排除できないが、デジタルユーザーにとって、オリンパス(ないしその系譜を引く)製品が使えなくなるということはないと思われる。


大島克彦@katsuosh[digi2(デジ通)]

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