今年ガイドブックを執筆したビデオ編集ソフトは、ほとんどが3D映像の編集に対応していた。しかし、3D映像を誰もが撮影できるのかというと、専用のビデオカメラが必要と敷居が高い。そこで、3D専用でない、一般家庭用のビデオカメラでも、3D映像を撮れる方法があるので、それをご紹介しよう。

■視差による立体感
通常、一般家庭で利用しているビデオカメラでは、3D映像を撮影することができない。3D映像を撮影したい場合は、どうしても3D専用のビデオカメラが必要になる。

現在入手可能な3Dビデオカメラとしては、ソニーの「TD10 HDR-TD10/S」やビクターの「GS-TD1-B」のほか、パナソニックでは、オプションの3Dコンバージョンレンズ「VW-CLT1」を装着して3D映像を撮る機種などがある。しかし、これらはどれも高価なので、なかなか手が出せないのが実情だ。
ソニーの3D用ビデオカメラ「HDR-TD10」

ならば、通常利用しているビデオカメラで3D映像を撮ってしまおうというのが、今回の目的。ただし、撮影した映像を3Dにするには、ビデオ編集ソフトを利用する必要がある。なので、今回は、撮影方法を紹介し、次回、その編集方法についてご紹介したい。

まず、どのように撮影するかだが、そのためには3D映像の仕組みを理解することわかりやすい。映像が立体的に見えるには、左右の目で見ることにある。これは、左右の目が約6cm前後離れていることで、若干映像に違いが発生する。その違いが立体的に見える理由になるのが、この左右目の距離のことを「視差」という。そして、この視差によって、奥行き感や飛び出し感といった立体感が表現されている。

■1台のビデオカメラで撮る
1台のビデオカメラで映像を撮影する場合、この視差を利用する。すなわち、まず最初に右目用の映像として、通常に映像撮影を行う。次に、ビデオカメラを少し左に平行移動させ、映像を撮影すると、この映像が左目用になる。このとき、「少し」移動するのだが、この移動距離が約5cm前後だと、人の左右の目の距離と同じになる。これが視差となり、立体感を表現するための理由となるのである。

こうして撮影した映像は、微妙に左右にずれた映像になっている。これを、ビデオ編集ソフトを利用して3D映像に仕上げる。

ただし、この撮影方法には欠点が1つある。動きのあるものを撮影できないことだ。動かない人物や銅像、静止物など、止まっているものを撮影ずるにはよいが、子供や車など、動いているものを撮るには適さない。どうしても動いているものを撮影したい場合は、同じビデオカメラを2台並べて撮ればよいのだが、それなら3D専用ビデオカメラを買えばよいということになりかねないが…

3D映像の方式には、「サイドバイサイド方式」や「ラインバイライン方式」、「トップアンドボトム方式」といった種類がある。これらの映像を見るには専用のモニターとメガネが必要になる。このほか、赤と青のチャンネルを利用して3Dを実現する「アナグリフ方式」がある。こちらは、通常の2Dモニターでも表示できるが、赤と青のセロファン等で作ったメガネが必要だ。

●サイドバイサイド方式

●ラインバイライン方式

●アナグリフ方式


次回は、ここで紹介した方法で撮影した映像から3D映像を編集/生成する方法について解説しよう。

阿部信行 @ramunepapa [digi2(デジ通)]

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