2011年のスマホシーンを振り返ったとき、外せないトピックスのひとつに「iPhone4Sの発売」が挙げられる。なにしろ、これまでソフトバンクモバイルが独占して販売してきたiPhone市場にKDDIが参入してきたことで、ユーザーにとっては選択肢が増えるわけで、まことに嬉しい限りである。

ズバリ“つながる”が売りのau版iPhone4Sだが、いったいどのくらい“つながる”のだろうか? 「下り最大~Mbps」などの理論値の神話が崩れつつある現在、肝心なのは「実測値」である。

今回、筆者は大阪出張の際にau版iPhone4Sを片手に通信速度計測アプリ「Speedtest.net」で、大阪各地の通信速度をチェックしてみた。そして大阪と東京のデータを比較してみたので、レポートする。

都構想などで最近なにかと話題の大阪であるが、通信インフラの拡充はどれほど進んでいるのだろうか。実際に計測してみると、意外な傾向・結果が見えてきた。

■新幹線内でのハードユースもOK!
au版iPhone4Sで使用される3G回線は、都市部ではほぼ穴がないほどにインフラが整備されているが、東京以外の地域ではどうなのか。大阪へ向かう際、東海道新幹線の中で速度を計測してみた。

小田原駅付近にて計測

名古屋駅付近で計測

京都駅付近で計測

高速移動中での計測なので、もちろん通常時よりも低い数値ではあるが、ほぼ圏外になることなく(トンネル内などは除いて)、実用的な速度が計測できた。新幹線内は低速ながら無線LANも飛んでいるので、3G回線と併用すれば車内での仕事や時間つぶしのネット閲覧などが捗りそう。

トンネルの多い新横浜から富士山付近までは新幹線内の無線を利用、それ以降は3G回線を利用、といったように使い分けると快適だ。

■大阪名所をめぐりつつ速度を計測
大阪での計測スポットは全4箇所。主要な繁華街のキタ(梅田)とミナミ(難波~心斎橋)に加えて、大阪市西側のユニバーサルスタジオジャパン(USJ)、と大阪市東側の鶴橋駅にて計測した。

★ミナミ(戎橋グリコ前)

ミナミは戎橋のグリコ前で計測。建物と人でひしめく雑踏の中だったが、下り1Mbps超の快適速度となった。

★JR鶴橋駅(駅近すぎるブックオフ)

ネット上で話題になったJR鶴橋駅の「駅近すぎるブックオフ」にて計測。ここではなんと下り2Mbps超えの速度!上り速度も安定して高い数値となっている。

★ユニバーサルスタジオジャパン

夕色とりどりのネオンが日常を忘れさせてくれるユニバーサルシティウォークにて計測。ここでも速い速い!下り1.5Mbpsとなった。USJは大阪西側の海沿いにあるのだが、しっかりとカバーされているようだ。

★キタ(ヨドバシ梅田)

イルミネーションで彩られたヨドバシ梅田にて計測。帰宅ラッシュの時間とあってターミナル駅の梅田は人でごった返している。しかしここでも下り753kbpsとそれほど速度を落とさなかった。上り速度は179kbpsと下がったが、メール送信等の簡単な操作には影響の出ないレベルだ。

★東京各地の速度

上り、下り共に安定的な数値となった。池袋のJR改札は下り速度が若干低下したが、池袋の同じ地点でWiMAX回線を利用して計測した ところ、同じように速度が低下した。改札のある場所が広大な駅ビルの地下であることが原因だろうか。

新宿、渋谷での計測は通勤ラッシュの時間帯だったが、しっかりと数値が出ているところはさすが“つながる”auと言える。

大阪、東京ともに安定的に快適な数値が出たが、特筆したいのは大阪の方が平均して高い速度を計測したことだ。もちろん、場所や時間帯によって速度は変化するので一概には言い切れないが、大阪では基地局やスポットの設置に細部まで配慮が行き届いているように感じた。

■まとめ:事実!大阪はau天国
都内でのau回線が快適なのは期待通りだったが、大阪での爆速はいい意味で期待を裏切る結果となった。特に、回線が混雑しがちな通勤・帰宅ラッシュでも使い勝手に支障のでないほどの速度が出たことは大きな収穫だった。

“つながる”auは“大阪でも東京でもいつでもつながる”auということなのだ!