アップルが発表した次世代のMacBook Proは、様々なデバイスをレガシー化してしまった。Blu-ray対応をしないまま光学ドライブが廃され、HDDも搭載されなくなり、有線LANもFireWireも本体から排除されてしまった。画面解像度の変更という概念から、文字やUIサイズの変更へと大きく変わった。まさに次世代MacBook Proにふさわしいアップデート内容だ。

レガシー(legacy)とは、遺産や過去から受け継いだ物、過去の遺物などといった意味だが、コンピューターの世界でレガシーデバイスと表現する場合、それは新しい技術に取って代わられた古い技術を意味する。アップルは過去いくつかのタイミングで、様々なデバイスを(アップルにとって)レガシー化してきたが、今回のMacBook Proのアップデート内容も、そのレガシー化の1つとなるだろう。

■何が無くなったのか?
今回発表されたのは、Retinaディスプレイ対応のMacBook Pro(以下、次世代)と、従来モデルの改良型のMacBook Pro(以下、旧世代)だ。旧世代の最新モデルは、光学ドライブを搭載するなど従来と同じデザインで、最新プロセッサーを搭載するなど、性能自体が強化された。

一方、次世代は液晶画面にRetinaディスプレイを採用し、光学ドライブを排し、有線LANやFireWireすらも本体から取り除かれ、HDDからSSDへと完全移行、メモリーの増設もできなくなった。バッテリーの取り外しは、旧世代から対応していなかったが、バッテリーを交換して長時間利用したいと考えるMacBook Proユーザーは全体からすれば少数派との判断なのだろう。

そしてメモリーやHDDやSSDも、本体購入時に搭載されている容量から増やすような行為は、バッテリーの取り外し以上に一般的にはあまり行われていない。メモリーが取り外しできるようになっていると、コネクターや基板を増やすなどの理由から本体サイズがもう少し大きくなってしまうといったことを嫌ったのだろう。

■HDDからSSDへ
SSDはHDDに比べ、アクセス速度などのパフォーマンスは非常に高いが、信頼性と高コストが問題だ。単純にSSDにするだけなら、旧世代と同様にHDDと同一サイズのSSDを搭載すればいいが、MacBook Airと同様の薄型製品に向けた物を採用し、HDDの搭載をしない(できない)デザインになっている。

現時点でコストはHDDとは比べられないほど高くなっている。将来を考え、今が完全に入れ替えるタイミングと判断したのだろうが、そのコストを躊躇せずにユーザーの負担とさせるところにアップルらしさがあると言えるだろう。もちろんアップルもコストを考えていないというわけではなく、同一デザインの筐体を数年間使用したりもするが、今回の完全SSD化は、数年後にはコストやパフォーマンス面などが気にしなくていいほど落ち着いてくるといった将来性を見込んでのことだと考えていいだろう。

■レガシーデバイスが必要なら今が買い
今回、旧世代と新世代が併売されているが、近い将来、旧世代モデルがラインアップから外れるのは確実だろう。それが次のMacBook Proが登場するタイミングが、いきなり市場から消えるかはわからない。現時点で、レガシーデバイスが本体に内蔵されていた方が便利だというユーザーは、今購入しておいたほうがいいかもしれない。

MacBook Pro

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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