もうこんな解像度設定画面はなくなっていく


新しいMacBook Proはレガシーデバイスからの決別だけでなく、高精細のRetinaディスプレイによってパソコンを次世代へと進化させようとしている。最近のAppleは、MacBook Airを投入すれば、Windows PC側が追従して薄型のスタイリッシュデザインのUltrabookを投入するなどトレンドの先達と化している。そしてMacBook ProのRetinaディスプレイモデルは、高精細液晶の先鞭をつける製品となるだろう。ただ一般的なアプリでは、文字表示にその効果を発揮しているが、本格的に効果を出すのは各アプリがRetinaディスプレイへ最適化してからだ。

■解像度を気にする必要の無い時代へ
MacBook ProのRetinaディスプレイモデルの画面設定画面を見るとわかるが、従来の“解像度”という概念が過去の設定との比較くらいの意味でしか使われなくなっている。例えば従来は、解像度をいくつに設定するかによって、画面上の情報量をコントロールできていた。これはCRTディスプレイなどでは有効な方法だったかもしれないが、各ピクセルがはっきりと表示される液晶などのディスプレイを使用した最近のパソコンでは、ほとんど意味のない設定だった。ほぼすべてのユーザーが、Windowsノートなどで一般的なWXGA(1366×768ドット)を搭載した液晶なら、1366×768ドットから変更することなく使用しているだろう。

解像度設定を変える必要があるのはプロジェクターへの接続時やゲームのプレイくらいだろう。全画面で3D表示をするFPSなどのゲームの場合、ゲーム側で解像度や映像表現の設定を変更できる。解像度を高めるとPC側に負荷がかかるので、スムーズにプレイできるように解像度や表示設定などを自分で調整することが多い。

これに対してMacBook Pro Retinaディスプレイモデルでは、解像度を変えることができない。可能なのは文字やUIのサイズを大きくしたり小さくすることで、画面上の情報量を増やしたり減らすような設定だ。デフォルトでは、MacBookなどで標準的な解像度だった1440×800ドットと同等の情報量を実現できる文字サイズで表示されているため、1画面あたりの文字の数などの情報量自体は変わっていない。しかし、Retinaディスプレイでは、解像度が増えているため、写真の表示が高精細になり、1文字あたりの情報量が増え、漢字などの複雑なアジア系言語もほぼ省略することなく表示できるようになった。

Windowsの文字表示は一般的にMacに比べると美しくないと言われているが、凸凹を目立たなくするアンチエイリアシングのかかったMacの文字表示を嫌う人がいたのも事実。しかし、Retinaディスプレイによってアンチエイリアシングが肉眼ではほぼ認識できなくなった。新しいiPad(第3世代iPad)で画面表示の美しさに感動した方も多いようだが、これをパソコンでも味わえることになる。

■アプリがRetina対応してからが本番
しかし現状では、対応するアプリがそれほど多くない。文字表示は基本的に多くのアプリで美しく表示されるが、本格的にその効果を発揮するのは一部のアプリのみだ。iPadの場合、主要なアプリの対応までおよそ1か月程度かかったが、OS X上で動作するアプリは大規模な物も少なくないため、どのくらいかかるかはわからないし、それが無償アップデートの範囲なのかも不明だ。

しかし、今後数か月のうちに多くのアプリがRetinaディスプレイに対応し、高精細画面をフルに活用できるようになるだろう。一般ユーザーとしては主要なアプリの対応がそろってからRetinaディスプレイ搭載Macを購入するのも悪くはない。


上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。


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