電子書籍サービスが始まると、一般的に注目されるのはそのハードウェアと書籍数だ。

実際、書籍を読むためのハードウェアはその電子書籍サービスの象徴となり、書籍数が多ければ良さそうにみえるが、本当に重要なのはそこでどのようなサービスが展開されるかだ。

■サービス内容が重要
電子書籍サービスは、読むための物理デバイスよりも、書籍の充実や、展開されるサービス内容の全体的なサービス内容こそが重要だ。
電子書籍サービスと言うよりも、電子インクや液晶などを使用した表示デバイスや、サービス内容などすべてを総合して「電子書籍プラットフォーム」と呼んだ方がいいだろう。

現行の主要な電子インクを使用した電子ブックリーダーは今よりも書き換え速度を速くし、特にアジア圏では高解像度化が必要となっているが、技術の進歩で数年後には実現されるだろう。
しかし、本当に重要なのはその電子書籍プラットフォームで展開されるサービス内容だ。

■どんな付加価値が提供されるか
大きく分けると以下の2つだ。

書籍の充実
読書を電子化したことによる付加価値の提供

書籍の充実は、どんな書籍をどれだけそろえているかだ。青空文庫プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg)で提供されているような、著作権が切れたものも数に加えている場合があり、あまり参考にならないものも多い。
そもそも、日本では様々な利害関係によりまだ本格的に始まっているとはいえない状況でもある。
楽天のKobo、アマゾンのKindleなど世界でも主要なサービスの国内展開が始まれば、これらのプラットフォームに提供する出版社なども増えていくだろう。今後どう展開しているかが注目される。

■どんな付加価値が提供されるか
電子化した事による付加価値はサービスによって様々だが、最も進んでいるといえるAmazon Kindleの例で言えば、Kindleの電子インクデバイスだけでなく、PCやスマートフォンなどデバイスを選ばず読書をできる環境が用意されている。さらに、それらのどの端末で読んでいたとしても、読んでいた場所を自動的に同期するWhispersync機能がある。
また、他の読者が重要と思ったところをハイライト表示するPopular Highlights機能などはSNS的な機能を電子化で読書体験とうまく組み合わせたものだ。
それ以外にも、そのプラットフォームで誰でも出版ができる環境、Kindle Direct Publishingなどは、読者から見るとバリエーションも豊富になり興味深いだろう。

電子書籍プラットフォームでは、一つのデバイスや書籍数だけでなく、このような全体のサービス展開を確認した上で、利用するかどうかを検討する必要がある。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。

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