日本最大のポータルYahoo! JAPANを運営するヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)とランキングと口コミのグルメサイト「食べログ」を運営する株式会社カカクコム(以下、カカクコム)は、ユーザーの利便性とサービスの質の向上、また、両社のパートナーシップによるいっそうのビジネスの拡大を目的とし、業務提携を行うと発表した。

この提携によってYahoo! JAPANは、トップページを始めとしたYahoo! JAPAN内のグルメジャンルに関するコンテンツ類を中心に「食べログ」への誘導を開始することになる。グルメ関連の記事には、食べログで内にある関連したコンテンツへの誘導のためのリンクが盛り込まれるようになるという。



さらに「食べログ」内の情報をYahoo! JAPANの検索結果や「Yahoo!ロコ」内でも表示するようになる。当初はPC版での連携から開始し、スマートフォンでの連携も順次進める予定になっている。

グルメのランキングと口コミ情報において圧倒的No.1を誇る「食べログ」との連携により、Yahoo! JAPANを利用するユーザー及び「Yahoo!ロコ」に加盟している飲食店に新たな付加価値を提供するとともに、グルメ領域情報のさらなる充実とサービスの発展に努めるとしている。

業務提携の具体的な内容は以下の通り。

1.「食べログ」の一部データを活用した、Yahoo!JAPANでの「食べログ」に対するプロモーションの実施(PC版より展開し、順次スマートフォンでの展開を予定)

2.上記プロモーションに起因する「食べログ」の広告収益の配分

3.上記プロモーションに起因する「食べログ」スマートフォン版での有料課金ユーザー獲得に対する収益の配分

4.プロモーション対象ユーザーに対する「食べログ」サイトからのYahoo!JAPAN への戻りリンクの設置

以上が発表の内容だが、リリース内容からは見えてこないが、検索最大手とグルメ口コミ最大手が提携することで、プラスの効果を生み出したいという両社の思惑が見て取れる。例えばYahoo!JAPAN内で、食べログ同様の独自コンテンツを作ったとしても、食べログに追いつき、そして追い越せるかどうかはまったくの未知数だ。それならすでに一番であるモノを持ってきて使ってしまおうという発想である。

これは食べログだけに限らないが、いわゆる“口コミサイトの弊害”という問題がある。例えば食べログに登録しているユーザー(お店)を狙ったマーケティング業者による有料でのランキング操作や良い口コミを大量に書き込むステルスマーケティングが問題になったことがある。

これは口コミや星取りによるランキング評価が実際のそれとは乖離しているという状態を作ってしまう危険性があった。カカクコムとしては、一部ユーザーに持たれている悪いイメージをYahoo!JAPNとの業務提携によって、払しょくしたいという狙いがあってもおかしくない。もちろんリリースには、そのようなことは、まったく書かれていない。これは筆者の個人的な見解である。

ステマ問題が出てから業者によるステマを可能な限り排除してきた食べログにとっては「あのYahoo!JAPAN」が信用しているんだから、といった食べログに対する信頼度を向上させることができるわけだ。

いっぽうYahoo!JAPANとしては、業界トップの口コミサイトのデータが扱えるわけだ。Webサイトの運営での広告収入が厳しくなってきた現在、こうした業務提携は、今後も増えてくることが予想される。このサービスがきちんと動き出してから、筆者もチェックしたいと思っている、またPCユーザーからどういった反応があるかが楽しみだ。

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