ソニーNEX-5RとキヤノンEOS M


スマートフォンの普及は、コンパクトデジタルカメラ市場に影響を与えている一方で、ミラーレス一眼が注目を集め、ますますデジタルカメラの主流としての地位を固めている。つい最近でもソニーが、海外で発表したミラーレス一眼「NEX-5R」「NEX-6」を年内に国内に投入するとして、その正式発表が待たれている。

ミラーレス一眼は、持ち運びができるような小型サイズながら、デジタル一眼レフのようなレンズ交換や高画質な撮影が手軽にできることが人気を集めている理由でもある。

デジタル一眼より手軽さで人気のミラーレス一眼だが、光学ファインダーのためのレフレックスミラーを利用していないというだけで、実は厳密な規格がないために各社のカメラ仕様は統一されてはいない。特にカメラの画質を決定するといってもよい心臓部である撮像素子センサーは、約1/2.3サイズクラスからデジタル一眼と同じAPS-Cサイズまで様々だ。

マイクロフォーサイズ規格のオリンパス、パナソニック、ニコン、ペンタックス、フジフィルム各社からミラーレス一眼が発表されているが、ついにキヤノンが参入したことで、ミラーレス一眼の「小型で軽量・デジタル一眼のような高画質」という特徴も新時代を迎えようとしている。
ソニーNEX-5RとキヤノンEOS M


■画質は画素数だけでなく、センササイズが重要
一般的に画質というと画素数が取り上げられるが、今後ポイントなるのが画質の要となる撮像素子(センサ)のサイズだ。同じ画素数なら、センサが大きいほうが画質がよいことはいうまでもない。しかし、いかに画素数が高くても肝心の撮像素子が小さければ、記録できるデータは少なく、暗部や細部の画質は十分に得られない。撮像素子が大ききれば、記録されるデータは多くなり、より細部や暗部まで高画質な画像が得られることになる。

レンズの差もあるが、スマートフォンやコンパクトデジタルカメラの画素数が高くても、同等のミラーレス一眼で撮影した写真のほうが細部まで描写できているのも、撮像素子のサイズのためだ。35mmフルサイズ は36.0×24mm、APS-Cは22.5×15mmとなる。人気のオリンパスPENやパナソニックのLUMIXシリーズのマイクロフォーサイズは17.3×13mm、一般のコンパクトデジタルカメラやスマートフォンでは8.8×6.6mm(2/3インチ)と、センサのサイズ差は一目瞭然だ。

APS-Cサイズは、フィルムカメラ時代に作られたカートリッジタイプのフィルムの規格だが、35mmより1まわりほど小型ながら高画質を得られ、生産コストを安くできることから一般のデジタル一眼レフカメラで採用されている。当然、ミラーレス一眼でも、APS-Cセンサを採用している機種のほうが画質的に有利になる。

すでにAPS-Cセンサを採用しているソニーNEXシリーズに続き、もっとも遅れての参入となったキヤノンのEOS MがAPS-CサイズのCMOSセンサを採用したことで、ミラーレス一眼でも、撮像素子のセンササイズによる画質差が機種選びの大きな要素になっていきそうだ。

APS-Cサイズのメリットは、画質面でだけでなく、画角が35mm判より狭いことで、望遠では短い焦点距離のレンズが利用できるので、小型化できる。またコンパクトカメラより焦点距離が長くなるため、背景をぼかす効果も大きく利用できる。さらにマウントアダプタを利用することで、デジタル一眼レフのレンズを利用できるのもメリットの一つだ。


■どっちを選ぶ? 日本発売に期待のソニーNEX -5Rと今秋発売予定のキヤノンEOS M
こうしたAPS-Cセンサの高画質を活かせるにはもちろんだが、最新機能や拡張性でもライバルとなりそうなのが、日本発売が期待されるソニーNEX-5Rと今秋発売予定のキヤノンEOS Mだ。

最新のNEX-5Rは、APS-CサイズのAPS-HDセンサを採用し、スイングパノラマやHDR撮影などのほか、Fast Hybrid AFにより一眼レフカメラのように高速なAFが利用できる。また、交換レンズ式カメラでは初となるWi-Fi機能を搭載し、PlayMemories Mobileアプリを利用してスマートフォンやタブレット、PCに静止画・動画の転送が可能となる。さらに、既に4機種目となるNEXシリーズには、サードパーティ製のマウントアダプターも多数あり、各社のレンズが利用できるのも、大きなメリットだ。
ソニーNEX-5R

一方、キヤノンEOS Mのメリットは、何といってもマウントアダプターを利用することでキヤノンのEOS用EFレンズやEF-Sレンズを装着できるほか、アクセサリなどお流用できるので、すでにキヤノンカメラを所有しているユーザーには、大きなメリットになる。また、後発なので、画面タッチでの撮影など、新しい機能を最初から搭載している点だ。
キヤノンEOS M

気になるバッテリーライフだが、NEX-5Rは約330枚(CIPA)、「EOS Mは常温23度で約230枚(低温0度で約200枚)と、スタミナはNEX-5Rにやや分があるようだ。

スペック上では、それぞれにすぐれた特徴を持つ両機種だが、懸念点はすでに5機種目となるソニーNEX-5Rに比べ、キヤノンのEOS Mが初機種であるという点だ。一概には言えないが、デジタルカメラに初号機種では、多少の予期しない問題が発生するケースがある。


果たして、どちらに軍配が上がるだろうか。

ソニーNEX-5R
キヤノン「EOS M」