小型なのに高音質のFR-Portのデモをするヤマハ株式会社 エレクトロニクス事業本部の新井明技師補


パソコンメーカー各社はPCの付加価値を高めるために、基本機能以外の様々な部分を強化している。その中の1つがサウンドだ。ソニーやオンキヨーなど社内にオーディオ部門を持つパソコンメーカーもあるが、パソコンに特化している企業の場合、オーディオ関連企業と提携することも多い。

その中でも、1980年代からおよそ30年もの長きにわたってPCの音質改善に取り組んでいるのがNECとヤマハだ。パソコンの中で特にノートパソコンは、様々な制約があるため音が比較的良くない印象を持つ人も多いと思う。モバイル用途のノートだと音は鳴ればいい程度で小さなモノラルスピーカーが申し訳程度に搭載されているモノもあるくらいだ。

しかし、音質的には厳しい環境にあるノートでもサウンドにこだわる製品は、意外と悪くないレベル、というより中々の音が聞ける。そんなNECとヤマハの音へのこだわりを聞く機会に恵まれたので紹介しよう。

NECがヤマハとサウンド面で協同で取り組み始めたのが、およそ30年ほど前、1984年の「PC-6001mkIISR」や翌年の「PC-8801mkIISR」からだ。当時のNECのパソコンはビープ音しか出せず、1万円台のファミコンに20万円以上もする高級品であるパソコンの音が負けていた。

そこで、ヤマハのFM音源チップ「YM2203」を搭載。これによってパソコンで音楽が楽しめるようになり、ゲームの質が一気に変わった。これによってごく一部のマニア向けでしかなかったパソコンが、ゲームやDTMユーザーを取り込むことができた。

現在もNECはスピーカーなどでヤマハと協業関係にあり、YAMAHAサウンドシステムを搭載している製品がいくつかある。そのヤマハのこだわりのスピーカーについて見てみよう。

SR-Bass(画像奥)の試作品


液晶一体型の比較的大きなオールインワン型では、「SR-Bass」ウーファーを搭載。SR-Bassはスピーカーエンクロージャー(スピーカーの共鳴箱)の一種で、バスレフ方式のパッシブラジエータ方式といわれるモノだ。その中でも、空気バネとSRの略であるスイングラジエータの重量の共振を利用したモノを指す。

スピーカーエンクロージャの各種方式


パッシブラジエータ方式ではドロンコーン方式もある。ドロンコーンは共振点を下げるために振動板を重くすると、重い振動板の支えを堅くする必要があり効率が落ちる。その点SR-Bassは振動板を重くしても、振動板自体はエンクロージャーと一体化しているため小型でも効率が良い。

この方式はパッシブラジエータとしては小型だが、薄型のオールインワン型やノートパソコンに搭載するには大きいため搭載できない。そこで、これまで存在しなかった超小型のバスレフ「FR-Port」というバスレフ方式を開発したことで、ノートパソコンのような小型の筐体にでも高音質を楽しめるようになった。

FR-Portの構造


FR-Port実機の内部


FR-PortはFlat Radialという、横から見ると平ら(Flat)で、上から見るとラッパ状(Radial)になっているポート部分のことで、その形状によってヘルムホルツ共振を利用する。ノートパソコンは、一般的にスピーカーがパンチングメタルの中に隠れているため音圧が低下する。しかし、FR-Portであれば、このような状態でもポートの形状がラッパ状になっていることで、空気の流れが一か所に集中しないのでパンチングメタルなどで隠れていても音圧が低下することがない。

このようにさまざまな制約があるPCで音を改善する努力は今後も続いて行くだろう。そもそも高クロックで動作しているCPUやGPUはノイズの塊と言ってもいいくらいだ。

いままでも音楽CD、ビデオCD、DVDビデオ、テレビの録画・視聴といったPC上でサウンドが欠かせないものを取り込んできたPCだがBlu-ray、地デジ放送に加えてネット動画など、音を楽しむ機会はより増えてくるが、サウンド機能の充実はさらに重要になっていく、もちろんNECのヤマハの努力は今後も続いていくことだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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商標: ヤマハ
(2005-09-16)