レノボがゲーム用途に特化したデスクトップパソコンを発表した。ゲームPCは海外では認知されており、一定層の需要が見込める市場になっている。日本でもデルのALIENWARE(エイリアンウェアー)などがある。

今回レノボが日本に投入するゲーミングPCブランドは「Erazer」(イレーザー)という。そのシリーズの中で中世騎士の鎧のようなデザインモチーフにした筐体の「Erazer X700」が販売される。ニッチな市場と思われる日本市場で、なぜこのタイミングでゲーミングPCを投入するのだろうか? Vそこにはレノボの「プロテクト、アタック」という戦略があった。


レノボの世界戦略の基本は「プロテクト・アタック」だ。日本語だと「防御と攻撃」という意味になる。現在、レノボが最も強い市場は中国で、この市場をプロテクトしつつ、他の市場にアタックをかけるといった具合だ。

日本市場になると、ThinkPadがビジネス向けとして圧倒的に強いため、ここをプロテクトし、コンシューマー向けへのアタックとしてのゲーミングPCの投入ということになるわけだ。

もちろん従来からあるIdeaPadやIdeaCentreブランド認知度の向上や、製品の付加価値の向上も目指す。ブランドアンバサダーとして中田英寿氏を起用した広告で認知度向上を図り、付加価値ではUltrabookのIdeaPad U310、コンバーチブルUltrabookのIdeaPad Yoga 13を投入するなど、製品の魅力向上に取り組んでいる。
その付加価値向上の流れを強くするためのゲーミングPCブランド「Erazer」というわけだ。

Erazerは元々ドイツのMedionがヨーロッパで展開していたブランドだ。日本でNECと協業するのと同じタイミングの2011年にレノボがMedionを買収した。

これによってErazerはヨーロッパに続き、中国、日本へと参入、ここからレノボのゲーミングPC分野へのアタックが全世界で始まったと言える。



日本におけるレノボのPCでゲームも可能な製品としては、IdeaPad Y700、IdeaCentre Kシリーズなどを提供していた。これは従来のパソコンの延長上の製品でゲームも楽しめる程度でしかなかったが、今回の製品は完全にゲーミング仕様になっている。

CPUやGPUなどはゲーミング用にハイスペックな物を使用しているのは当然として、キーボードやマウスは、自分好みの物を使用するゲーマーが多いため、標準で付属していない。といった具合にゲームに特化した仕様になっている。

しかし、日本では専用ゲーム機や、スマートフォンや3DSなどの携帯機などが人気で、ゲーミングPC自体あまり盛り上がっていない。ない市場なら作ってしまえ!という積極的な攻勢は認めるが、このアタックが成功するかは、数年後には判明するだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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