筆者がもっとも尊敬する投資家は、世界長者番付の第1位のウォーレン・バフェット氏(米国・バークシャー・ハサウェイ会長兼最高経営責任者=CEO)です。

投資を行おうとする場合、その対象はさまざまにあります。現在のように株式相場の上昇が目立ってくると「デイトレ(デイトレーダー)で一攫千金(いっかくせんきん)」などといった本が書店に並ぶようになります。そのデイトレの主な対象となるのが株式とFX(外国為替証拠金取引)です。

デイトレのすべてを否定するわけではありません。ですが、経済や投資の基礎について理解しないまま、デイトレにのめり込むことは、投資の本質からはずれた「投機」になりかねません。あのアダム・スミスも、投資と投機を厳密に区別しています。

■株式投資は「プラス・サムの世界」
投機の世界は、基本的に「誰かの勝ちは誰かの負け」というゼロ・サムゲームです。麻雀にたとえれば分かりやすいのですが、勝った人、負けた人、4人の収支を合わせれば必ずゼロになります。パチンコや競馬なども同じで、言葉は悪いですが、結局は胴元だけが安定的に利益を得る仕組みになっています。

こうした世界で勝ち続ける、あるいは資産を築くということは非常に困難です。可能性はゼロではありませんが、統計学の教えでは、それは単なるマグレです。サクセス・ストーリーの本もたくさん出ていますが、マグレの要素が大部分で、こうした本に群がるのは滑稽以外の何ものでもありません。

ゼロ・サムでは皆が成功できるはずはありませんが、プラス・サムの世界なら皆が成功する可能性は高まります。このプラス・サムの世界こそ、株式投資の世界なのです(むろん「常に皆が成功する」わけではありません)。

■6兆円の資産家の金言
ウォーレン・バフェット氏は、資本主義社会における株式という資産が、本来、上昇を宿命づけられた資産であるということをもっともよく理解している投資家です。

彼は高校、大学時代に新聞配達などで稼いだ数万ドルを元手に、コカコーラやジレット、ディズニー、アメリカンエクスプレスなどの優良株への投資で、現在、6兆円以上の資産を築いている人である。

彼の有名な言葉に「株式市場というのは、愚かな人が、愚かな取引をする場でしかない」というのがあります。日々の値動きに熱中するということは、投資ではなく、投機であるということでしょう。

株式投資ではありませんが、二宮尊徳(農政家。かつては多くの小中学校に銅像が立っていました)は、「近きを謀(はか)る者は、春植えて秋実る物をも、なお遠しとして植えず。ただ眼前の利に迷うて、蒔(ま)かずして取り、植えずして刈り取ることのみに眼をつく。ゆえに貧弱す」と、貧弱の本質を喝破しています。農業でも投資でも、あるいはビジネスにおいても、近くの利を追えば結局は無残な結果が待っており、利を得るためには遠く、大局を見通さなければならないということです。

大局を見通すためには、マクロ経済など「基礎」の理解が欠かせません。それでも、初心者が投資で成功するのはそう簡単なことではありません。次回からは、投資商品についての解説を行っていきます。

(小沼正則)

※デイトレーダー 株式や債券などで1日に1回~複数回の取引を行い、利益を積み重ねる売買手法

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