ここ20年、台頭する中国に対し、長らく地盤沈下が続いた日本。アジアの拠点都市も東京から上海、シンガポールへと移行してきましたが、中国の深刻な環境汚染、アベノミクスによる大胆な規制緩和などにより、東京の復権が注目されています。

こうした中、東京都は、アジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点のよりいっそうの集積をめざし、新たな外国企業誘致プロジェクトを実施する「アジアヘッドクォーター特区」を立ち上げます。東京の中心エリアにおいて、新たに進出する外国企業に対する優遇税制を創設するとともに、容積率の緩和など大胆な規制緩和、都市交通の24時間運行などを準備しています。こうした中で注目されるのが、地価上昇の思惑もあり不動産、電鉄、倉庫などの広義の不動産関連銘柄です。

対象は幅広いのですが、今回は大手不動産株に絞って、注目銘柄を解説してみたいと思います。


■三菱地所<8802>
ビジネスの中心「丸の内」の大家さんといえば同社です。1998年に「丸の内再構築」を掲げ、以来10年は第一ステージとして「新丸ビル」など同地区の立て替えを推進。08年以降は第二ステージとして、約120ヘクタールに及ぶ「大手町、丸の内、有楽町」全エリアで都市再開発を加速しています。現在は第二ステージ、第6弾プロジェクトとして「大手町連鎖型都市再生プロジェクト事業」に参画。同事業を通じ、グローバルなビジネスセンターである丸の内エリアの機能強化を進め、アジアのヘッドクォーター拠点の誘致をめざしています。

また東京都港区芝エリアでは、オフィスビルの開発を進めています。2002年以降に都市再開発を強めているが、これでオフィスビルは累計30棟に達します。

このほか、グループ各社の情報を集約し、マンション購入や売却などの相談にワンストップで対応する窓口を都内に開設、顧客の利便性を高めてサービスの質を向上をめざしています。また、米系不動産投資大手などと連携して物流施設の開発にも乗り出しています。

海外展開では、中国やシンガポールや商業施設の開発事業を進める計画です。私募REIT(不動産投資信託)では、「日本オープンエンド不動産投資法人」の資産規模が600億円台から1000億円を突破。2015年には2000億円以上への成長を狙っています。

■三井不動産<8801>
三井不動産は霞が関ビルなど、既存の主力ビル約60棟の改修も進めています。5年で200億円を投資し、エレベーターや非常用電源などを最新ビル並みに向上させる計画です。東日本大震災後重視されてきている、事業継続計画(BCP)に対応したものです。

物流施設事業にも参入します。2000億円を投資し、埼玉県内などの都市部を中心に約20棟のセンターを建設、インターネット通販の需要を取り込む狙いです。

地域電力供給にも携わる予定です。東京・日本橋で東京ガス<9531>と組んでのサービスを始める計画で、地下に発電機を設置して既存のオフィス街を「スマートシティ」(省エネ性に優れた街区)に改造するモデル地区にします。総事業規模は数千億円規模で、ここで培った技術とノウハウは千葉県柏市など各地の再開発にも応用するもくろみです。

 私募REITである「三井不動産プライベートリート投資法人」も好調。今年に入ってからの物件購入で、こちらの資産規模も1000億円を超えました。海外に関しては、前期(13/3期)からの6年間で総額5000億円を投資します。これは、過去6年間の3倍強となるものです。

■大手不動産はアベノミクスの本命銘柄
不動産市況の本格的成長には、日銀による「異次元緩和」だけでは足りません。6月に策定予定の成長戦略がしっかりと描かれることは、不動産業界に対するさらに確かな風となることでしょう。日本の都市環境は、成長するアジア各国と比べても、広さや質の点で不十分点が残っています。都市開発にも国際競争力が求められているわけで、不動産業の果たす役割はますます重要になっています。

大手不動産各社はアベノミクスの本命銘柄との位置づけから、昨年11月以降急上昇となっていますが、「国策に売りなし」の格言通り、まだまだ上値の余地は大きいと思われます。押し目はしっかりと拾っておきたい銘柄群です。中期的な株価の動向に注目してみたいと思います。

(小沼正則)

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