シャープが4Kパネル(3840×2160ドット)を採用した液晶テレビ「AQUOS」を発表した。2月にホームシアター向けの「ICC PURIOS」を発表していたが、今回発表したのは家庭用の一般向けモデルとなる。60型と70型の2モデルで、70型はTHX 4Kディスプレイの認証も取得している。発売日と市場想定価格は、70型が6月15日発売予定で85万円、60型が8月10日発売予定で約65万円だ。


■4Kパネルによる3つの課題を解決
4Kパネル採用により新シリーズとなるが、欧米などで4KはUltra HDなどと言われており、ここからUD1シリーズという名称になったようだ。各製品のモデル名は70型が「LC-70UD1」、60型は「LC-60UD1」となる。

シャープは5月21日に行われた発表会で、4Kテレビ投入の背景を次のように解説した。日本はアナログ停波に伴いテレビ市場が落ち込んでいたという状況にあったが、それも2011年に底をつき、今後は市場が安定していくと想定しているそうだ。

テレビの需要は縮小しているものの50型以上の金額構成比は20%を超えるなど、むしろ大画面テレビの市場状況は悪くないのだそうだ。今後も4Kといった大画面テレビを普及させていくためには、いくつかの課題があるという。

それが

1)画素の荒さ(アップコンバート時の画質劣化)
2)写り込みによる視認性の悪さ(グレア液晶によるテカテカ感)
3)設置場所(サイズの巨大化によるスペース圧迫)


であり、この3つの問題を解消したのが今回の4K AQUOSになるという。



フルHDの4倍の解像度のパネルを搭載しているための画素の荒さについては、画像を4Kにアップコンバートする「AQUOS 4K Master Engine PRO」により高画質化も実現することで解消を目指した。さらに70型はTHK 4Kディスプレイの認証も取得しいているという。



画面への写り込みは、低反射と高コントラストを両立するモスアイパネルを採用することで低減しているという。モスアイパネルは、微細な突起が無数にある蛾の目の構造を液晶パネルに応用した製品で、この表面加工技術により画面への写り込みが軽減されてる。



設置場所の問題は、スピーカーなどの設置場所を工夫したことで、同社のスピーカーが画面横にあった2005年の57型モデルの165.2cmと比較しても、70型で157.8cmと小型化を実現している。



4Kパネルを生かした機能としては、SDカードからデジカメの静止画データを表示するフォトフレーム機能を搭載し、4Kコンテンツがほとんど存在しない中でも高画質パネルを活用できるようになっている。また、DLNAサーバー機能なども搭載し、最新のハイエンドテレビとして十分な仕上がりになっているようだ。

1インチが1万円以上と、まだまだ高価だが、実用になる製品が登場してきたことで、他社からも、続々と4Kパネル搭載のテレビが登場してくると思われる。庶民の手に渡るようになるには、あと数年はかかりそうだが2013年は4K時代の本格的な幕開けといっていい年になるかもしれない。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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