米「出口戦略」への警戒、中国の金融システム不安などから大きく下げた東京市場だが、ようやく落ち着きを取り戻してきた。毎度のことではあるが、この下げ局面では、大型株よりも小型株の下げが厳しかった。

しかし、玉石混交で売られただけに、業績面での安心感のある小型株においては、リターン・リバーサルの動きが出るものと判断する。以下、大幅に下落した銘柄の中から突っ込み安妙味十分と判断した4銘柄を取り上げてみたい。

■エン・ジャパン
エン・ジャパン<4849>はインターネットによる大手求人情報サイト。安倍政権発足以降の経済の好転で雇用環境も改善する中、2013年3月期は「[en]社会人の転職情報」を中心に成功報酬型求人広告の拡販を進めた。昨年末には、正社員を希望する女性向けのサイト「[en]ウィメンズワーク」を新設、従来からの「[en]派遣のお仕事情報」などもリニューアルした。定額制の研修サービス「エンカレッジ」を中核とする教育・評価事業も、2013年3月期に2期ぶりに黒字化している。

今後は、海外展開をいっそう強化する。すでにアジア太平洋に6つの拠点を開設済みだが、4月にはベトナムの大手求人サイト運営会社を完全子会社化を発表しており、戦略にブレはない。

株価は5月17日高値22万1000円から6月7日安値11万6400円まで、半値水準まで売られる大暴落となったが、業績の回復を加味すれば、超割安。ここへ狙い目と判断する。

■パイプドビッツ
参議院選挙が近づいているが、パイプドビッツ<3831>は、ネットを使った政党・政治家向けサービス「政治山」を提供して注目を集めている。ネット選挙の解禁を踏まえ、意識調査「政治山リサーチ」や悪質な書き込みを監視する「政治山ネットセキュシティ」などが支持を受けている。同社が手がけるのは政治関係だけではない。小規模事業者向けのクラウド型会計ソフト「ネットde会計」も評価を得ており、住信SBIネット銀行(三井住友信託とSBI HD<8473>の共同出資)と連携することで、同銀行の「総合振込サービス」特別優待プランを始めてもいる。

株価は5月高値から調整も、75日線が下値を支持。上昇トレンド継続でここは押し目買い好機だろう。

■UBIC
UBIC<2158>は、企業内の電子データを調べる訴訟支援事業を行う日本唯一の企業。きっけかは、米国で2006年、裁判時に互いが求める証拠を開示する「ディスカバリー制度」の手続きが明確化され、電子証拠があるのに「出せない」とは言えなくなったこと。米国で訴訟を提起されれば、日本の本社にある証拠もすべて開示対象になるが、電子メールや契約情報など必要なデータをシステムから取り出すのは大変な作業であり、機密情報との選別も必要になる。同社のサービスはこの需要に応えるもので、日本版SOX法(上場企業会計改革および投資家保護法)など企業の内部統制にも関係するだけに、高い成長が期待できる。

ちなみに、同社は今年5月に米NASDAQ市場にADR(米国預託証券)を上場。日本企業がNASDAQに上場を果たすのは、IIJ(インターネットイニシアティブ)<3774>以来実に14年ぶりとなる。これは同社が一貫して訴えてきた、「アジアで勝つために、米国で勝つ」との重要な布石となる。

株価はここ2年、ほぼ一貫した下げ基調であるが、そろそろ底値模索となりそう。中長期で楽しみな銘柄で、ここは拾い場と判断する。

■アコーディア・ゴルフ
アコーディア・ゴルフ<2131>は2011年まで米ゴールドマン・サックスの不動産投資ファンドの傘下にあった、国内首位のゴルフ場運営企業。ゴルフ場への来場者数は東日本大震災の影響を克服、入場者数・売上高とも増加傾向に転じている。客単価の増加、とくに既存ゴルフ場の底上げが共通する課題だ。アコーディアは低価格でカジュアルなゴルフ場経営で定評がある半面、来客が多く混雑しがちなことが課題。

業界2位のPGM HD<2466>によるTOB(株式公開買い付け)がしのぎ切ったが、収益力の向上と併せ、株主対策が従来以上に重要になってこよう。

株価は6月安値9400円を底に急反発。ここは押し目を待って買い出動したい。

(小沼正則)

※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

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