■はじめに
前回はEPUB変換サービス「でんでんコンバーター」を使って、テキストファイルをEPUBファイルに変換してみました。ただし、テキストファイルに何の設定も行なっていないので、自動生成される目次は不十分なものでした。本文の表示も一定で、見出し部分が分かりにくいものでした。
今回は「でんでんコンバーター」で変換するテキストファイルに、ページ分割などの指定を入れてみます。この指定は、「でんでんコンバーター」が理解できる「でんでんマークダウン」という記法で行います。
でんでんマークダウンで指定した箇所は、対応するHTMLタグに置き換えられます。でんでんマークダウンでの指定を行う際には、基本的なHTMLの知識があると役に立つので少しだけ紹介します。
■HTMLのタグについて
今回、でんでんマークダウンでの指定に関連する範囲について、HTMLの解説をしておきます。そもそも、HTMLは文書の構造を「タグ」と言われるマークで定義するものです。
例えば、HTMLでは見出しを大きさによって6段階指定できます。1番大きな見出しは“h1”というタグを使います。タグは開始タグと終了タグで該当する範囲を囲みます。h1タグであれば、次のように記述します。
<h1>大見出し</h1>
先頭の“<h1>”の部分を開始タグ、末尾の“</h1>”の部分を終了タグと言います。電子書籍では、書籍タイトルを1番の大見出し、章を中見出し(h2)、節を小見出し(h3)として定義するのがスタンダードな方法の1つです。通常の本文の部分はpタグで囲みます。pタグは「paragraph」から由来するので、和訳して段落と呼びます。
このあたりをまとめると、電子書籍のコンテンツは次のような構成でマークされることになります。
<h1>書籍タイトル</h1>
<h2>第1章:章タイトル</h2>
<h3>1-1:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
<h3>1-2:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
…
<h2>第2章:章タイトル</h2>
<h3>2-1:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
<h3>2-2:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
…
という感じです。
前回から使っている、サンプルのテキストには節にあたる見出しはないので、見出し用はh2までの利用になります。
■でんでんマークダウンを追加する
前回のサンプルテキストに見出しのマークを追加します。でんでんマークダウンでは、見出しを定義する場合に「#」で囲みます。また、「#」の数で見出しの大きさを指定できます。例えば、大見出し(h1)にしたいときには次のように設定します。
# 大見出しの文言 #
中見出し(h2)にするには「##」で囲みます。
## 中見出しの文言 ##
でんでんコンバーターでは、「#」(h1)は書籍タイトルに定義するために使用し、本文中の見出しには「##」(h2)以降を使用することを推奨しています。段落を分割するには、段落の間に空白行を追加します。
例えば次のように空白行を入れておくと…
1行目の文章
2行目の文章
変換後には以下のようなHTMLタグになります。
<p>1行目の文章</p>
<p>2行目の文章</p>
この書式を利用して、前回のサンプルテキストに見出しと段落のマークを設定すると、次のようになります。
## ■はじめに ##
前回はAppleの電子書籍ストアiBookstoreでの電子書籍配信について、その手順の紹介をスタートしました。
折しも6月10日(米国現地時間)に開催されたWWDC 2013では、2013年秋にリリース予定のMac OS X Mavericks(OS X Mountain Lionの後継版)に、Mac用のiBooks(電子書籍リーダーアプリ)が搭載されることが発表されました。
現在iPadやiPhone、iPod Touchといったモバイルデバイスでしか利用できないAppleの電子書籍サービスがMacでも利用できることになります。
利用環境の広さではKindleには及びませんが、今後の展開に期待したいところです。
さて、前回と重複しますがiBookstoreでの販売について大まかな流れとしては次のプロセスとなります。
・販売用アカウントの作成・設定
・電子書籍コンテンツ(EPUBファイル)の作成
・電子書籍コンテンツの配信手続き
前回は「A.販売用アカウントの作成・設定」のアカウントの作成部分を紹介しました。今回はアカウント作成後の設定部分について説明します。
## ■契約に関する設定 ##
iTunes Connectアカウントを取得すると、コンテンツ管理サイトiTunes Connectにサインインできるようになります。
iTunes Connectでは、契約・税・銀行口座などの設定を行う必要があります。
各設定を行うにはiTunes Connectトップの[Contracts, Tax, and Banking]をクリックします。
まず契約に関する設定を行います。
1.[Add New Legal Entity]ボタンで契約者の情報を追加します。契約者の情報は氏名と住所です。
2.作成した契約者を[Legal Entity]に指定します。
3.[Request]ボタンをクリックします。
同意確認の画面に切り替わるので、同意すれば契約に関する手続きは終了です。
これで問い合わせ情報([Contact Info])、口座情報([Bank Info])、税情報([Tax Info])を設定できるようになります。
見出しを設定すると、でんでんコンバーターで変換したときに目次の項目として自動的に追加してくれます。以下はReadiumで表示したところです。
本文を表示すると、見出しの部分が大きく表示されているのが分かります。
■リスト(箇条書き)とファイル分割のマーク
でんでんマークダウンについて、もう少しご紹介しましょう。サンプルテキストの中にリストの部分が2箇所あります。1つは行頭に「・」が配置されている通常のリスト。以下、該当部分です。
・販売用アカウントの作成・設定
・電子書籍コンテンツ(EPUBファイル)の作成
・電子書籍コンテンツの配信手続き
もう1つは番号が振ってある順序リスト。以下、該当部分です。
1.[Add New Legal Entity]ボタンで契約者の情報を追加します。契約者の情報は氏名と住所です。
2.作成した契約者を[Legal Entity]に指定します。
3.[Request]ボタンをクリックします。
今までは、テキストでリストを表現してきましたが、HTMLにはリストをマークするためのタグがあり、でんでんマークダウンにもそのための記法が用意されています。
通常のリストはリスト項目の行頭を「+ 」(※+の後ろに半角スペース)で始めます。元々自分でつけておいた行頭の「・」は削除します。マーク例は次のようになります。
+ 販売用アカウントの作成・設定
+ 電子書籍コンテンツ(EPUBファイル)の作成
+ 電子書籍コンテンツの配信手続き
順序リストはリスト項目の行頭を「1. 」のように半角数字+ドット+半角スペースで始めます。マーク例は次のようになります。
1. [Add New Legal Entity]ボタンで契約者の情報を追加します。契約者の情報は氏名と住所です。
2. 作成した契約者を[Legal Entity]に指定します。
3. [Request]ボタンをクリックします。
HTMLファイルを分割したいときには分割したい場所に「=」を3つ以上連続で記述します。HTMLファイルがあまり長くなると表示が遅くなるなどの問題が発生することがあるので、章単位などで分割しておくのがよいでしょう。
サンプルテキストの2つめの見出しの前で改行する場合には次のように記述します。次の例では「=」を8つ重ねています。
…
前回は「A.販売用アカウントの作成・設定」のアカウントの作成部分を紹介しました。今回はアカウント作成後の設定部分について説明します。
========
## ■契約に関する設定 ##
…
ファイルが分割されると、リーダーアプリでは改ページされてページの先頭から表示されます。以上を追加して、変換したEPUBファイルは次のように見えるようになります。まずはリストです。
続いて順序リスト。それから、ファイル分割により2つめの見出しがページ先頭から始まっているのも確認できます。
さて、今回はここまでにしておきましょう。次回も引き続き、でんでんコンバーターを使っていきます。画像の埋め込みや、CSSを使った体裁の調整などを行なってみようと思います。
■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi
■ITライフハック
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今回、でんでんマークダウンでの指定に関連する範囲について、HTMLの解説をしておきます。そもそも、HTMLは文書の構造を「タグ」と言われるマークで定義するものです。
例えば、HTMLでは見出しを大きさによって6段階指定できます。1番大きな見出しは“h1”というタグを使います。タグは開始タグと終了タグで該当する範囲を囲みます。h1タグであれば、次のように記述します。
<h1>大見出し</h1>
先頭の“<h1>”の部分を開始タグ、末尾の“</h1>”の部分を終了タグと言います。電子書籍では、書籍タイトルを1番の大見出し、章を中見出し(h2)、節を小見出し(h3)として定義するのがスタンダードな方法の1つです。通常の本文の部分はpタグで囲みます。pタグは「paragraph」から由来するので、和訳して段落と呼びます。
本文の文章………………
このあたりをまとめると、電子書籍のコンテンツは次のような構成でマークされることになります。
<h1>書籍タイトル</h1>
<h2>第1章:章タイトル</h2>
<h3>1-1:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
<h3>1-2:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
…
<h2>第2章:章タイトル</h2>
<h3>2-1:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
<h3>2-2:節タイトル</h3>
<p>本文………</p>
…
という感じです。
前回から使っている、サンプルのテキストには節にあたる見出しはないので、見出し用はh2までの利用になります。
■でんでんマークダウンを追加する
前回のサンプルテキストに見出しのマークを追加します。でんでんマークダウンでは、見出しを定義する場合に「#」で囲みます。また、「#」の数で見出しの大きさを指定できます。例えば、大見出し(h1)にしたいときには次のように設定します。
# 大見出しの文言 #
中見出し(h2)にするには「##」で囲みます。
## 中見出しの文言 ##
でんでんコンバーターでは、「#」(h1)は書籍タイトルに定義するために使用し、本文中の見出しには「##」(h2)以降を使用することを推奨しています。段落を分割するには、段落の間に空白行を追加します。
例えば次のように空白行を入れておくと…
1行目の文章
2行目の文章
変換後には以下のようなHTMLタグになります。
<p>1行目の文章</p>
<p>2行目の文章</p>
この書式を利用して、前回のサンプルテキストに見出しと段落のマークを設定すると、次のようになります。
## ■はじめに ##
前回はAppleの電子書籍ストアiBookstoreでの電子書籍配信について、その手順の紹介をスタートしました。
折しも6月10日(米国現地時間)に開催されたWWDC 2013では、2013年秋にリリース予定のMac OS X Mavericks(OS X Mountain Lionの後継版)に、Mac用のiBooks(電子書籍リーダーアプリ)が搭載されることが発表されました。
現在iPadやiPhone、iPod Touchといったモバイルデバイスでしか利用できないAppleの電子書籍サービスがMacでも利用できることになります。
利用環境の広さではKindleには及びませんが、今後の展開に期待したいところです。
さて、前回と重複しますがiBookstoreでの販売について大まかな流れとしては次のプロセスとなります。
・販売用アカウントの作成・設定
・電子書籍コンテンツ(EPUBファイル)の作成
・電子書籍コンテンツの配信手続き
前回は「A.販売用アカウントの作成・設定」のアカウントの作成部分を紹介しました。今回はアカウント作成後の設定部分について説明します。
## ■契約に関する設定 ##
iTunes Connectアカウントを取得すると、コンテンツ管理サイトiTunes Connectにサインインできるようになります。
iTunes Connectでは、契約・税・銀行口座などの設定を行う必要があります。
各設定を行うにはiTunes Connectトップの[Contracts, Tax, and Banking]をクリックします。
まず契約に関する設定を行います。
1.[Add New Legal Entity]ボタンで契約者の情報を追加します。契約者の情報は氏名と住所です。
2.作成した契約者を[Legal Entity]に指定します。
3.[Request]ボタンをクリックします。
同意確認の画面に切り替わるので、同意すれば契約に関する手続きは終了です。
これで問い合わせ情報([Contact Info])、口座情報([Bank Info])、税情報([Tax Info])を設定できるようになります。
見出しを設定すると、でんでんコンバーターで変換したときに目次の項目として自動的に追加してくれます。以下はReadiumで表示したところです。
本文を表示すると、見出しの部分が大きく表示されているのが分かります。
■リスト(箇条書き)とファイル分割のマーク
でんでんマークダウンについて、もう少しご紹介しましょう。サンプルテキストの中にリストの部分が2箇所あります。1つは行頭に「・」が配置されている通常のリスト。以下、該当部分です。
・販売用アカウントの作成・設定
・電子書籍コンテンツ(EPUBファイル)の作成
・電子書籍コンテンツの配信手続き
もう1つは番号が振ってある順序リスト。以下、該当部分です。
1.[Add New Legal Entity]ボタンで契約者の情報を追加します。契約者の情報は氏名と住所です。
2.作成した契約者を[Legal Entity]に指定します。
3.[Request]ボタンをクリックします。
今までは、テキストでリストを表現してきましたが、HTMLにはリストをマークするためのタグがあり、でんでんマークダウンにもそのための記法が用意されています。
通常のリストはリスト項目の行頭を「+ 」(※+の後ろに半角スペース)で始めます。元々自分でつけておいた行頭の「・」は削除します。マーク例は次のようになります。
+ 販売用アカウントの作成・設定
+ 電子書籍コンテンツ(EPUBファイル)の作成
+ 電子書籍コンテンツの配信手続き
順序リストはリスト項目の行頭を「1. 」のように半角数字+ドット+半角スペースで始めます。マーク例は次のようになります。
1. [Add New Legal Entity]ボタンで契約者の情報を追加します。契約者の情報は氏名と住所です。
2. 作成した契約者を[Legal Entity]に指定します。
3. [Request]ボタンをクリックします。
HTMLファイルを分割したいときには分割したい場所に「=」を3つ以上連続で記述します。HTMLファイルがあまり長くなると表示が遅くなるなどの問題が発生することがあるので、章単位などで分割しておくのがよいでしょう。
サンプルテキストの2つめの見出しの前で改行する場合には次のように記述します。次の例では「=」を8つ重ねています。
…
前回は「A.販売用アカウントの作成・設定」のアカウントの作成部分を紹介しました。今回はアカウント作成後の設定部分について説明します。
========
## ■契約に関する設定 ##
…
ファイルが分割されると、リーダーアプリでは改ページされてページの先頭から表示されます。以上を追加して、変換したEPUBファイルは次のように見えるようになります。まずはリストです。
続いて順序リスト。それから、ファイル分割により2つめの見出しがページ先頭から始まっているのも確認できます。
さて、今回はここまでにしておきましょう。次回も引き続き、でんでんコンバーターを使っていきます。画像の埋め込みや、CSSを使った体裁の調整などを行なってみようと思います。
■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi
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