海外であまり人気のないニンテンドー3DS。ハードが普及しないことにはタイトルを売って利益を出すゲームソフト開発ベンダーの参入が少なくなってしまうため、タイトル不足によってさらに売れないという悪循環が発生してしまうことになる。せめて新タイトルを遊んでもらえるように任天堂が欧米向けに廉価版携帯型ゲーム機「Nintendo 2DS」を発表した。

ニンテンドー3DSの特徴の1つになっている3D立体視機能を省き、折りたたみ構造を止めたことで、従来機より40ドルも安い製品となった。これはニンテンドー3DS普及のカギとなった強化されたすれ違い通信や「とび森」といった
キラータイトルがあった日本市場に対し、うまくすれ違えない外国との事情の違いといったことがある。Nintendo 2DS登場の背景にこうした違いが大きく関わっているのだ。



■人気タイトルの多い日本市場のいっぽうで海外で売れない3DSシリーズ
任天堂は、日本市場向けに基本無料の「だるめしスポーツ店」というダウンロードソフトを提供している。このソフトで遊べるゲーム自体の出来が良いのは当然としてゲーム内に「ゲームを購入する行為」が組み込まれており、その行為自体がゲームプレイの一部になっている。

たとえばゲーム内で売られているソフトを値切る交渉も、ゲームプレイの遊びの1つだ。実際プレイしてみるとこれはなかなか新しい感覚だ。携帯型ゲーム機は、パズドラ大人気といったこともあり、スマートフォンに押されていると言われている。確かにスマートフォン向けのゲームには基本無料のアイテム課金ゲームや100円程度で購入できる低価格ソフトが無数に揃っているが、残念ながら全タイトルがおもしろいわけでもない。

「だるめしスポーツ店」はゲーム自体のクオリティが高く、初心者からゲームに慣れた人も楽しめる。課金システム自体がゲームになっている点も含め、さすが任天堂と思わせるゲームだ。

ちなみに、このゲームの中で「ホンテンドー4DS」というゲーム機が登場する。このようなソフトが出てくるなら任天堂のゲーム機も安泰と思えるが、日本はともかく欧米では先述したように日本ほど3DSシリーズが売れているわけではないのだ。



先述したように携帯型ゲーム機はスマートフォンの普及によって影響を受けていると言われ、日本では比較的順調だが欧米では苦戦が続いている。その理由がスマートフォンかどうかはともかく、欧米では世代が古くても価格が安いハードが売れる傾向にあるということだ。その結果日本ではゲームのハード新モデルが発売された翌年には、販売割合のほとんどが、その新機種となるが、欧米では依然として古い製品が売れ続けるのである(任天堂ヒストリカルデータより)。

ヨーロッパでは3DSの販売割合が増えているものの北米では、旧モデルとなるニンテンドーDSやDSiシリーズの販売割合が依然高い。北米では旧世代機のニンテンドーDSシリーズは、100ドル程度から販売されているが3DSは、170ドルからだ。ソフトは1本30ドルから40ドル。ソフトと本体を含めて200ドル(約2万円)を超える。200ドル以下か、それ以上かがクリスマス商戦では重要のようで、200ドルより安い製品が好まれる傾向にある。

2DSの価格は約130ドル。2DSと同時発売のポケモン新作などと合わせて購入した場合でも、3DS本体と同等の170ドル程度で収まるようになっている。年末は新型の7インチタブレットも人気になるだろうが、こちらは機種にもよるが200ドル前後かそれ以上となっている。

例えば子供の場合、ポケモンの新作で遊びたいだろうから、タブレットよりもポケモンの新作が遊べる2DSや3DSの方が人気になるのは確実だろう。任天堂としてはこにゲーム機をきっかけに、3DSシリーズを欧米で勢いづけたいところだろう。ちなみに日本では、すでに3DSが十分すぎるほど普及しているため、3DSより機能が劣る2DSが販売されることはない。というより販売される必要性が低いと言える。

2DS向けの人気タイトルが出てくることで、海外製のゲームソフトが日本市場に参入することで新たな刺激となり、3DSを含める市場がさらに活性化することを大いに期待したい。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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