前回紹介したように北米大陸は、日本とはカーナビの考え方が異なっている。なぜなら道路が単純で比較的わかりやすいことや、カーナビを車の外からわかるように置いておくと盗まれる危険があるといった事情がある。

日本では、ダッシュボードに収納できるインダッシュタイプのカーナビが以前から普及しているが、アメリカでは高級車を除くと、盗難防止対策として取り外しが簡単なオンダッシュタイプのカーナビが一般的だ。そして、このタイプのカーナビの価格は1万円程度と非常に手ごろになっている。

さらに最近は、スマートフォンの進化によってカーナビ自体が不要になりつつある。特にアメリカを訪れて車をメインの移動手段として用いる際、カーナビが必要だと思った場合、カーナビをレンタルするか、そうじゃなければスマートフォンやタブレットのナビ機能を使うといった選択肢がある。そこでスマホやタブレットをカーナビとして使い場合の実際の使い勝手はどうだろうか。


コストを考えると、スマートフォンのデータ通信サービスをうまく選べば、カーナビを借りたり購入するよりはスマートフォンをカーナビ代わりに使うほうが安いケースがあることを紹介した。

スマートフォン用のカーナビアプリはいくつかある。おなじみのGoogleマップは無料で利用できる。日本で使ったことがあるのであれば、アメリカでも基本的に使い勝手も同じなのでわかりやすいだろう。仮にスマートフォンでGoogleマップを利用した場合通信料金以外のコストがかからない。

2~3,000円で購入できる車載用ホルダーとシガーソケットから利用する充電用アダプターがあれば、スマートフォンでも電池の不安もなく一般のオンダッシュタイプのカーナビと同じように利用できる。道案内は、紙の地図よりもわかりやすいし、これだけあればとりあえず問題ないレベルで使える。



しかし、これが道路が入り組んでいて複雑な大都市でスマホをカーナビとして使う場合、1万円台程度のカーナビと比べると利便性は落ちる。例えばスマートフォンの向きだが、縦置きが基本になっており、横向きにすると画面の方向切り替えがうまくいかずに、ぱっと見で全く逆方向の案内をしてしまうように見えるケースがある。画面の向きをしっかり設定する必要がある。また、直接携帯電話回線の電波を受信して基地局などの情報もつかんでいればいいのだが、Wi-Fiホットスポット経由で利用する場合などは、位置情報の精度がイマイチになるケースもあるようだ。

さらに、アメリカの都市部は、片道7車線などの日本の倍以上という車線数が多い高速道路が多く、一般道でも片側4車線くらいの道路が普通にあったりする。

このような道路は、ジャンクションやインターなど高速道路の乗り降り時に、事前にどこの車線を走っているかが重要となる。道路にもよるが、4か所くらいに分岐して、それぞれが別ルートだという場合がある。分岐する直前に車線を間違えていることに気づくと、場合によっては一気に複数車線を変更する必要が出てきて無理に車線変更するのは非常に危険だ。

安全運転するには、ジャンクションなどの数キロ手前から、余裕を持って次のルートにあわせた車線で走る必要がある。



専用カーナビの場合、次のジャンクションの分岐点にあわせ、事前にどの車線を走るのが適切かをアドバイスする「レーンアシスト機能」がある。無料で使えるGoogleマップにはこの機能がないため、スマートフォンをカーナビ代わりに使う場合、高速道路の標識を注意深くみて、車線を自分で判断する必要がある。

その地域の高速道路を何度も走っているためすでに慣れていて、確認程度にスマートフォンのカーナビ機能を使うなら、このような機能は不要な場合もあるかもしれないが、たいていは、現地の道路に慣れていない場合がほとんどだろう。となると現時点では1万円程度の専用カーナビでもスマートフォンのナビ機能よりは使い勝手はよいということになる。

アメリカの地方都市といったあまり道路が複雑ではない地域やアメリカでの運転にある程度慣れているなら、スマートフォンのカーナビ機能を専用ナビ代わりに使うのは悪くはない。しかし、例えば旅行者がロスアンゼルスのような道路が複雑な大都市で使う場合は別。現時点ではスマートフォンを代用するよりもカーナビを利用する方がおススメだと言える。専用ナビにするかスマホで代用するかは結局、どこを走るのかを事前にチェックしてから判断する必要があるだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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