マイクロソフトは史上最高の売り上げを記録したそうだが、コンシューマー向けパソコンの世界では、スマホやタブレットの急激な台頭によって市場が奪われて行き、今後さらに厳しい状況が続くと予想されている。

そうした中でも低価格路線や、NECとレノボのように製造拠点を統一するなど、各社独自の施策で生き残りをかけている。ソニーがバイオ部門の生き残りをかけて、様々な施策を考えている中で、部門売却のニュースが流れたりと何かと騒がしいことからも、コンシューマー向けPCを取り巻く状況が厳しいことがわかるだろう。

昨日も紹介したように、こうした厳しい状況で生き残りをかけて特徴的な取り組みをしているのが富士通だ。同社は「らくらくフォン」など高齢者向けの携帯電話で一定のシェアを獲得しているが、そこで培った経験をパソコンに投入し「らくらくパソコン」を展開している。らくらくパソコンは、文字通りパソコン初心者およびシニアやハイミドル層向け製品だが、サービスとハードウェアにもこだわった製品としてGRANNOTEがあることを昨日紹介した。



■キーボードへのこだわりだけじゃないGRANNOTE
先日、GRANNOTEが搭載するキーボードへのこだわりについて紹介した。GRANNOTEのハードウェアのこだわりはこれだけでない。

Windows 8.1によって変わったマルチタッチ操作により、ノートパソコンに搭載されているタッチパッドが大型化し、デザイン的にすっきりするように左右のボタンがパッドと一体化している製品が増えてきた。GRANNOTEはパッド本体のサイズは大きめにとりながら、あえて独立した左右ボタンを採用し、見た目の区別に加えてしっかりとした押し心地を得られるようにしている。

キーボードやタッチパッドは好みが分かれるパーツである。GRANNOTEは、ターゲットとしているシニアやハイミドルのユーザー層に、機能的にしっかりとした作りのハードウェアを提供することを目的にしているためデザインよりも機能を優先しているため使い勝手はかなり良い。



最近、遠近両用メガネの必要性を、若干感じるようになった筆者だが、GRANNOTEはこうした世代独特のニーズに応える機能も搭載している。人間は加齢によって体の様々な機能が低下する。パソコンに関連したところでは聴力や視力だ。聴力が低下すると、同じ音でも年代によって聞こえ方が異なるため、低下した聴力でも聞き取りやすくなるようなモード「あわせるボイス」機能が搭載されている。

また、低下した視力向けの機能としては、文字の拡大なども簡単にできるようになっている。さらに色の見え方も年齢とともに変わることがあるそうで、青空などがより鮮やかに見えるような「インテリカラー」設定といった調整機能も搭載されている。

このあたりは、ユーザーの年代を入力することで、自動的にその世代に合わせた設定にできるようになっている。もちろん、まだまだ自分は若い!と思っている人向けに自分の好みに合わせて設定できるようになっている。

こうした機能は、富士通の「ヒューマン・セントリック・エンジン(HCE)」によるもので、同社のスマートフォンで使われている技術をパソコンに応用したものだ。

筆者は、これらの機能の良さがまだまだ実感できない年代だが、若い世代はキーボード入力にもあまりこだわらないし、小さい音も聞き取れるし、画面は表示されてればいいといった感覚でPCを使っている人が大半だろう。GRANNOTEは、そうしたユーザーでも、もちろん十分に使えるようになっている。そしてシニア層でも使いやすくなっているといった点で、対応できるユーザー層の広さ、言い換えれば懐の広い製品であるといえるだろう。

今後、日本は高齢化社会へと変化していくのは確実で、それを見越して動き出している富士通のGRANNOTEは、先を見越した先見性で他社の先を行っている。今後どのように進化していくのかにも注目したい。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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