スマートフォンに搭載されるカメラ機能が急速に高機能&高画質化している。従来はコンパクトデジカメ(以下、コンデジ)よりは劣る画質や機能だったが、最近のスマホではコンデジと同等かそれ以上のレベルまで向上しているだ。これはコンパクトデジカメと同じサイズの撮像素子(イメージセンサー)、またはコンデジに搭載されているものと同じ撮像素子を搭載したスマートフォンが登場しているためだ。



■撮像素子の大判化で高画質化
カメラの画質を決めるハードウェア上の大きなポイントはレンズとイメージセンサーだ。これにソフトウェアのノウハウがぎっしり詰まったJPEG生成技術が組み合わさってデジカメ機能で撮影された画像ができあがる。ハードウェア的には、とらえる光量および光の階調(明暗)をなるべくリニアにとらえることができるレンズと大判の撮像素子で画像全体をとらえることができれば画質は高くなる。

デジタルカメラはレンズを通して撮像素子が光をとらえる。もちろんレンズの性能も重要だが、持ち歩いて雑に扱われる可能性の高いスマホに高機能なレンズを搭載するというのは現実的ではない。そこでスマホにおけるカメラ機能は、レンズにあまり力を入れられない分、レンズからの光をとらえる撮像素子の性能が画質を決める重要な要素となっている。そのセンサーも裏面照射式といった新しい方式のセンサーが開発され性能が年々向上してきている。そして画素数が同じなら撮像素子のサイズが大きいほど光をとらえる面積が増えるため、基本的に画質は良くなる。

デジイチことデジタル一眼レフカメラでは、フルサイズと呼ばれている一眼レフの35mmフィルムと同じサイズのセンサーが最も大きい。キャノンの場合だと36×24mmのサイズとなる。ミラーレス一眼によく使われているAPS-Cは23.5×15.6mm(ソニーの場合)。マイクロフォーサーズは17.3×13mm。ニコンのミラーレスや最近はハイエンドコンパクトデジカメにも使われている1型は13.2×8.8mmといった大きさだ。

ただ、コンパデジの場合、撮像素子のサイズを大きくするとカメラ自体のサイズも大きくする必要があるため画素数は多くても小さめの撮像素子を搭載することが多い。ハイエンドモデルでもサイズが7.6×5.7mmの1/1.7型、一般的にはセンサーサイズが5.9×4.4mmとなる1/2.3型が使われている。この1/2.3型がスマートフォンでも使われるようになってきた。

■スマホの高画質化でコンデジは淘汰されるか?
従来のスマートフォンのカメラは4.8×3.6mmの1/3型やこれよりも小さなセンサーを採用した機種が多かった。2013年頃からより大型のセンサーを搭載するようになり、例えばソニーのXperia Z1は一般的なコンデジと同じ1/2.3型のセンサーを搭載している。今後発売されるXperia Z2も同サイズのセンサーを採用する。1/2.3型と1/3型を比べると、縦横で1mm程度の差でしかないが、面積では1.5倍とかなりの大型化になる。画素数が同じなら光の量を1.5倍多くとらえられるようになるため画質向上に大きく貢献する。

このようなセンサーサイズの大型化は、ハイエンドスマートフォンを中心に進んでいる。日本ではハイエンドスマートフォンを中心に売られているが、そろそろ本当にちょっとしたスナップ写真程度ならデジカメは不要になりつつあると言えるようになってきた。

コンデジには、スマホでは不可能な光学の高倍率ズーム機能、スマホより細かいプログラムAE、撮影シーン選択、記録メディアいっぱいになるまで撮影できるし、撮影のためだけにバッテリーが使える。光量の大きいストロボ、高速シャッター、細かなマニュアル撮影機能など、スマホにはない魅力がたくさんある。しかし、「メモ的に撮影したい」「デジカメを取り出してる時間がない」といったケースでの「ちょっと撮影」的な機能はスマホのほうが利用されるようになってきたと言える。コンデジにはコンデジのメリットがあるはずなので、スマホに駆逐されないよう頑張ってもらいたいところだ。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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