最近、海外の動画投稿サイトなどを見ていると縦長の動画を見かけるようになった。明らかにiPhoneやAndroid端末のスマートフォンで撮影した動画だ。なぜならビデオカメラで撮影した場合、上下左右は固定されるようになっているからだ。

しかし、スマホで撮影した動画は、スマホを縦にした状態で撮影し、それを再生すると縦長の動画として再生されるようになった。このようにデジカメ代わりというだけでなくスマホで動画を撮影するという人が増えてきている。




昨日まではスマホのカメラ機能がコンデジと同等レベルまで向上してきたことをお伝えした。理由として1/2.3インチとイメージセンサーのサイズが大きくなってきたことであると説明した。デジカメに対して動画撮影機能を見てみると、実はスマホのほうがすでに安価なビデオカメラを性能で超えつつあるのだ。

一般的なエントリーモデルのビデオカメラは、スマホに搭載されるイメージセンサーよりもかなり小さく、画質といった点で見るとスマホで撮影した動画のほうが安価なビデオカメラを追い越している場合が出てきた。

■動画撮影にも当てはまる画質とセンサーサイズの関係
デジカメのイメージセンサーサイズを大型化することで、画素数が同じなら1画素あたりの面積が大きくなり、光(情報)をとらえる量が増え、結果として画質が高くなることは説明したと思う。動画撮影が主目的のビデオカメラは、光学ズーム性能や手ぶれ防止機能といった画質以外の性能が求められており、さらにコンパクトであることが必要なのでレンズや本体が小さく作れる小型のセンサーが使われる。

エントリーモデルのビデオカメラのセンサーサイズは、例えばソニーの「HDR-CX535」と、パナソニックの「HC-V550M」は1/5.8インチだ。これはスマートフォンのXperia Z2や一般的なコンパクトデジカメで使われている1/2.3インチと比較するとかなり小さい。

もちろん、ビデオカメラでもより高性能なハイエンドモデルは大きめのセンサーを採用している。ソニーの「HDR-PJ800」は1/3.95インチ、パナソニックの「HC-V750M」は1/2.3インチ。ソニーの最上位モデルで、例えば4K対応の「FDR-AX100」は1インチという大判センサーで、スマホを大きく凌駕するサイズという製品もある。

もちろん、動画の場合、画質は単純なセンサーサイズではなく、センサー自体の性能、画素数、レンズなど複数の要因で決まる。しかし、さすがに大きなサイズの差がある場合、スマホのカメラ機能の性能向上で、センサーサイズが小さいことが影響して、画質だけで見るとビデオカメラの動画の画質がスマホに抜かれているケースが出てきた。

つまり、ビデオカメラには何時間も撮影できる長時間撮影や光学による高倍率ズームなどスマホでは真似できない機能を備えているので、そうおした機能を重視している人はビデオカメラを購入すればよいが、そうしたことを気にしない人のほうが増えてきておりスマホで動画撮影を行う人が増加した。それが冒頭で説明した縦長動画が増えてきた理由である。

ただ、一般のユーザーにとってスマホで動画を手軽に撮影できるようになったことは、メリットと言えるわけでビデオカメラが今後、スマホに対してどうやって対抗していくのか、それともスマホが低価格ビデオカメラを飲み込んでしまいハイエンドだけが残るのか、といったことを慎重に見ていく必要があるだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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