エボラブルアジアのラボ型開発でわかった、低コスト・高品質のシステム開発」「ラボ型開発でリスクを回避!エボラブルアジア、オフショア開発セミナー&説明会レポ」といった記事で紹介しているが、ベトナムに拠点を置き、インドや中国よりも安い価格で上質なオフショア開発サービスを提供しているエボラブルアジアが新構想を発表した。

同社はベトナムにおけるラボ型オフショア開発事業(Webシステム及びネットワークシステムの設計、開発、保守・運営)及びオンライン旅行業を展開している。同社の新構想は「Evolable Asia Town 構想」という。いったいどんな構想なのかが気になる。



■依然として続く日本国内のエンジニア不足
発表会はエボラブルアジア日本法人代表吉村英毅氏のプレゼンから始まった。吉村氏はオフショア開発の現状と同社のソリューションについて語った。

ここ数年間、日本におけるエンジニアの需給バランスは、崩れたまま改善の兆しすらない。そのためエンジニア給与の高止まりが続き、同時に優秀なエンジニアが「採れない」ステータスも続いている。にもかかわらず各企業のIT投資ニーズは、依然として極めて高い状況で推移している。

■エンジニア不足を補いたいがオフショア開発への不安もある
日本におけるシステム開発市場は10兆円と言われ、そのうちオフショアに出ているのは末端の1%、およそ1000億円に過ぎない。たとえば欧米では、システム開発市場がアメリカ・EU合わせると約100兆円と言われる。

オフショアに流れるのは約10兆円と、ほぼ日本のシステム開発市場と同額だ。市場に対する比率で言うとオフショアは10%と日本の10倍となっている。

この理由は「安かろう、悪かろう」という現在のオフショア開発とはかい離したイメージがいまだに強いところにある。具体的には日本向けのオフショア開発黎明期に日本語のコミュニケーション不足や指示の行き違いにより当然のごとく発生した失敗経験がある。

さらには注文だけを丸投げした結果「バグだらけで日本で作った方がかえって安かったし早かった」といったオフショア開発の間違った利用方法による失敗経験もあったためだ。

ただし、こういった失敗談の多くは中国でのもので、かつ失敗の中身の大部分は開発過程の一部がブラックボックス化してしまい、結果として品質維持、詳細設計の製造への徹底が不十分である、ということが判明している。

■オフショア開発への不安を解消する「ラボ型」開発
吉村氏によると、エボラブルアジアによるベトナムでの「ラボ型」開発ソリューションがそうした日本人のオフショア開発に対する不安を解消するという。

同社では、ラボ型オフショア開発モデルを採用している。具体的にはクライアントごとに完全専属チームを提供し、チームヘの作業指示・進捗管理はクライアントのプロジェクトマネージャーが直接行う。

これには3つの特徴がある。

1)エンジニアの採用からクライアントが関わり、チームビルディングを行ってもらう。エンジニアを教育し、作業の指示をし、進捗管理していくという意味では、ラボ型ソリューションは、クライアントが直接海外に開発子会社を作ることと極めて近くなる。

2)ただし、実際に自社の開発子会社を作ろうとすると、少なくとも100名以上は現地においてエンジニアを雇用しないと、コスト、生産性の両面で効率化されない。しかし、現地での採用経験がなければ、優秀なエンジニアを集めることができない。

エボラブルアジアはベトナムIT企業の中でも屈指(主要なIT人材採用媒体において、17か月連続求人社数第1位達成)の採用競争力を持つ。同社であれば、当初から最優秀層のベトナム人エンジニアをアサインできる。

3)同社のサービスは、3名、5名などの少人数から、実際に数百人規模の開発子会社を作った場合と同じような開発生産性(同人数比)が得られるソリューションとなっている。

開発規模に合わせて柔軟に人材を配置することができるのが「ラボ型」開発ソリューションであるというわけだ。

最後に吉村氏は、「現在、昨年比約250%で成長を続けており、2017年年末までに雇用エンジニア数5000人を目標とする」と同社の成長が今後も続いていくことを強調していた。
Evolable Asia日本法人代表吉村英毅氏 Evolable Asia日本法人代表吉村英毅氏

■Evolable Asia Town 構想が明らかに
引き続き、Evolable Asiaベトナム法人代表薛悠司(ソルユサ)氏より、挨拶および「Evolable Asia Town構想」の内容について発表があった。

Evolable Asia Town構想とは、2015年7月までに雇用エンジニア数5000人の開発体制に向け、ベトナムにおける開発環境を構築するという構想だ。アジアでも最高峰のトップエンジニアが集うシステム開発街をベトナムに作り「Evolable Asia Town」と名付ける。

ベトナム屈指のエンジニアと日本企業をはじめとし、顧客企業のトップエンジニアと共に構成されるラボの拠点となる。企業間での技術交流や産業技術交流の場および日越共同開発の発信地を目指すというものだ。
Evolable Asiaベトナム法人代表薛悠司(ソルユサ)氏 Evolable Asiaベトナム法人代表薛悠司(ソルユサ)氏

将来的には5000人の倍、エンジニア1万人規模のITタウンを目指す。街区全体を高速Wi-Fiでカバー、多目的用途の数百人規模のセミナールームを建築、エンジニアが快適に開発を行うことができるすべての環境を作り上げ提供する。ベトナムだけでなく世界中のエンジニアにとって夢のような環境だと言える。

実際のエンジニアの採用だが、ベトナムNo.1求職サイト「Vietnam Works」との連携により、同サイトでの採用と共に採用イベントを共催する。エンジニアや日本語通訳者向けのテストも共催する。その先駆けとして、日本語とプログラミングの試験項目からなるIT系日本語能力オープンテスト「JLIT(Japanese Language IT Test)」をVietnam Worksとの共催で進めていくとしている。

「市場からの採用獲得のみならず、市場の中での日本語人材の育成というところまで踏み込んで進めていきたいと考えています。」と、薛悠司氏はJLITの意義について語った。
Evolable Asia Town 構想における、エンジニア1万人規模のITタウンの模型 Evolable Asia Town 構想における、エンジニア1万人規模のITタウンの模型

■強力なパートナーとして寄与したい
引き続き、エン・ジャパン株式会社代表取締役社長鈴木孝二氏による挨拶とエボラブルアジアへの全面協力に関する発表があった。

同社は、国内を中心にインターネットの求人サイト運営の会社で、人材紹介、社員研修、人事コンサルティング、適性テストと人材募集のプロフェッショナルだ。ここ3年ほどはアジアを中心に海外展開を加速、現在7か国9拠点に展開中だ。

子会社である「Navigos Group」が運営する「Vietnam Works」は、ベトナムの最大手求人媒体であり、市場シェア7割を誇る。その協力によりVietnam Worksの媒体上でのエボラブルアジアの露出だけでなく、両社で共同イベント開催等を行い、ベトナム労働市場に対してエボラブルアジアおよび日系企業全体のアピールを広く行っていくという。Vietnam Worksと連携した積極的な活動により、従来より、さらに強い採用力を持ちハイエンドな人材の輩出を目指すとしている。

2014年6月にVietnam Worksと連携した日本語人材専門サイト「Japan Works」を立ち上げた。同サイトは日本企業向けの採用サイトであり、日本語人材にとってどこよりも簡単に日本語ジョブと出会える機会を創出し、既存ユーザーの活性化、心悸ユーザーの獲得を狙っていく。

「単なるビジネス上の関係というよりは、企画段階からいろいろ協業をはからせていただいて、結果としてエボラブルさんの構想に対して、強力なパートナーとして寄与できればよいと思っています。」と、鈴木社長はエボラブルアジアとの協業について語った。
エン・ジャパン株式会社代表取締役社長鈴木孝二氏 エン・ジャパン株式会社代表取締役社長鈴木孝二氏

以上のように、エボラブルアジアのEvolable Asia Town 構想がどういうものか理解してもらえたと思う。システム開発をしたいのに人材が確保できないと嘆く前に一度はエボラブルアジアの「ラボ型」開発サービスを利用してみることをおススメしたい。

エボラブルアジア