KDDIは、日本初登場となるFirefox OS搭載のスマートフォン「Fx0」(エフエックスゼロ)を本日、2014年12月25日から発売する。Firefox OS搭載のスマートフォンは、これまで世界で15機種が発売されており、今回の機種で16機種目となる。

KDDIの田中社長いわく「商売は考えていない」と語る製品で、iPhoneやAndriod市場に投入して真っ向勝負するための製品ではないようだ。これまでFirefox OSは、新興国や低価格スマートフォン向けのOSという趣が強かったが、今回の「Fx0」は、どうやらそういった性格の製品とも異なるようだ。すぐそこまで迫ってきている来たるべきIoT時代に向けた、KDDIによるオープンプラットフォームの先駆けとなる製品といった意味合いを持つ、かなり意欲的な製品と言うことができる。



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この「Fx0」は、PCでは大人気のWebブラウザーのFirefoxを開発していることで有名な、非営利団体のMozilla Foundationによって開発されたオープンソースでスマートフォン向けのOSである「Firefox OS」を搭載している。このOS上で動作するアプリはHTML、JavaScriptといった標準のWeb技術で作ることが可能になっている。つまり既存の技術を転用すれば開発の敷居が低い。

一般的なAndroidやiOS、Windows Phoneを搭載するスマートフォンは、設定の自由度が低く、アプリも特定の市場から入手することが前提となっている。あまり深い部分までいじれないわけだ。

ところがFirefox OSの場合、カスタマイズが柔軟に行え、しかも高度な専用のプログラム開発言語を覚える必要がない。現状のHTMLやJavaを使って好きなアプリの開発をすれば、そのままFirefox OSに取り込んで動かすことができる。このためFirefox OSを搭載する製品をベースにしたIoT分野への応用も比較的簡単にできるので今後の応用が期待される。今回の「Fx0」の発表会はハッカソンイベントの一部として行われており、「Fx0」を使ったプログラミングのデモを開発者が披露するといったユニークな試みもなされた。

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ちなみに「ハッカソン」とは技術者が集まり、短期間でコンピュータ関連の課題を解決するイベントだ。ここ数年でこの言葉が浸透し、かつ理系男子や理系女子に注目されている。今回、こうした場所を「Fx0」発表会の会場として選んだことからも同製品が開発者を意識した製品であることがわかる。

田中社長はこの製品を「ギーク向け」と表していた。アニメやサブカルチャーが好きなヲタ的な英語表現の「nerd」に対して、ギーク(geek)は、コンピューター技術にのめり込んでいるPCヲタを表している。ということで一般ユーザーに広く売るのではなく、これを使って何か面白いことをやってみたい、作りたい人たちに向けた製品となる。

このようにFirefox OSは、海外では低価格スマホ向けのOSとしての存在が強いが日本での登場によって、今後の発展が期待されるIoT分野でも、ハードとプログラミング好きなギークたちによって新しいブームが作り出される可能性がある。この製品は、KDDIにとってIoTを実現するための最初の一歩になる可能性を秘めていると言ってよいだろう。今後の進化が非常に楽しみでならない。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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