世界の常識が変わる時”-ワークスアプリケーションズが目指す「ハイユーザビリティエンタープライズ」の幕開け』でも紹介しているように株式会社ワークスアプリケーションズは、会計・人事システムといった企業のバックオフィス業務を効率的に行えるようなシステムの開発・運用に長けたプロフェッショナル集団である。

そんな同社が、2016年1月より開始される「社会保障・税番号制度」(以下、マイナンバー制度)に向けて、マイナンバー管理プラットフォーム「My Number Keeping System」をクラウドサービスとして、すべての日本企業に無償で公開することを決定した。それに伴い報道関係者向けに発表会を開催した。



2013年5月、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下、番号法)が制定され、すべての民間企業でマイナンバー制度対応に向けた準備が必要となる。しかし、行政機関が対応に追われる中、民間企業におけるマイナンバー対応はいまだほとんど進められていないのが現状だ。

そこでワークスアプリケーションズは、各企業・団体において個別の番号管理が不要となる「マイナンバー管理プラットフォーム」をすべての日本企業に無償で公開することを決定。これにより、各企業・団体はマイナンバー対応の負荷を最小化することが可能となる。

説明会では同社のマイナンバー対応への基本方針、および「My Number Keeping System」の仕様詳細や価格、提供方法、対象企業などについての説明があった。

■罰則規定を含むマイナンバーの利用管理
一般社団法人日本個人情報管理協会専務理事内山和久氏 一般社団法人日本個人情報管理協会専務理事内山和久氏

記者発表会に先立ち、一般社団法人日本個人情報管理協会の専務理事である内山和久氏より、マイナンバー制度についての説明があった。

同制度は平成28年度1月より利用が開始される。個人の生活・企業活動の基盤となる仕組みに利用されるスーパー・インデックスとしての性格を持っており、社会保障・税・災害対策での利用が予定されている。民間事業者も、税や社会保障の手続きで、マイナンバーを取り扱うことになる。

しかもマイナンバーには慎重な対応が必要とされる。罰則規定は厳しく、違反すると4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併料となるからだ。

マイナンバー(個人番号)の利用局面 マイナンバー(個人番号)の利用局面

「ほとんどすべての企業がマイナンバーを管理する義務から、まぬがれることはできないことを意味している」と内山氏。一部の機関が利用するのではなく、たとえ零細企業であっても、すべての企業、すべての団体がマイナンバーを利用することになると強調。「多くの企業で安全管理措置の見直しが必要となる。これから発表される仕組みが日本企業の安定的な成長に寄与できることを願っている」と内山氏は語った。



■マイナンバーの利用に備えていない企業が9割
次いで株式会社ワークスアプリケーションズ代表取締役最高経営責任者である牧野正幸氏による挨拶、およびマイナンバー制度に対する全体方針についての説明があった。

株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸氏 株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸氏

マイナンバー制度については世界中の国々に比べて立ち遅れていると牧野氏は指摘する。これにより行政機関の効率を悪化させているのは間違いない。マイナンバーが導入されることにより、公共機関だけでなく個人においても利便性の高い使われ方ができることになるという。

ただし企業に目を向けてみると、9割以上の企業がマイナンバー制度への準備が整っていない状況だそうだ。マイナンバーを利用する便利さよりも運用コストに目が行ってしまっているためだと牧野氏は強調。「企業活動においては一時期マイナスのインパクトをもたらすことになる」(牧野氏)。

1000名以上の企業については5000万円ほどのコストがかかるとも。つまり1万社の企業について考えると、5000億円ものコスト増となる。中小企業まで合わせると、1兆円規模の投資になってしまう。実に途方もない金額だ。

マイナンバーの対応状況は、実に9割以上の企業が未対応 マイナンバーの対応状況は、実に9割以上の企業が未対応

同社の製品「COMPANY(カンパニー)」は現在1000社以上の大手企業に採用されており、人事給与の領域においては日本の大手企業の2社に1社が同製品を利用しているという。管理する従業員人数にすると、400万人規模に上るそうだ。

またマイナンバーは従業員の家族にもかかってくるので、それまで含めると1000万人にもなるというのだから驚く。つまり日本の人口の約8%を管理していることになるので、官公庁を除けば非常に大きなシステムとなるわけだ。
これほど大きなシステムとなれば、当然マイナンバー対応を行わないわけにはいかない。

同社はこれまで、こうした法制度への対応を無償でバージョンアップしてきたが、今回も同様に無償で対応すると牧野氏。このプロジェクトを行うためにも、1年前から準備に着手してきたそうだ。

残りの92%のユーザーはどうしたらよいのだろう。大規模な企業は問題ない。これから数千万規模の投資が行われれば、問題なく対応できるはずである。ただし規模の小さな企業にとっては間に合わないのではないかと牧野氏は指摘する。「これまでシステムで行ってきたものを、一時的に手作業へ戻す必要がある」(牧野氏)。

今回このマイナンバー管理プラットフォームである「My Number Keeping System」の無償提供に踏み切ったのは、マイナンバー管理にコストがかかる、対応できないとなると、日本の企業全体にとってマイナスとなるためだという。

「マイナンバー制度は非常に大きなメリットをもたらす。しかし企業にコストを負担させるのは難しい。そこで我々は、無償提供することを決めた。1000万人を管理している、いわば社会インフラとしての使命があると思っているからだ」(牧野氏)



■マイナンバーを扱うコストを削減するサービス「My Number Keeping System」
引き続き、マイナンバーサポート責任者である伊藤秀也氏より、「My Number Keeping System」についての説明があった。

株式会社ワークスアプリケーションズ 伊藤秀也氏 株式会社ワークスアプリケーションズ 伊藤秀也氏

ベンチマークとしてアメリカの社会保障番号を政府は見て考えていたが、なりすましが多く発生していることを踏まえて、運用の厳格化を求めている、と伊藤氏。大企業も中小企業も対応でき、コストがかからないものをリリースしたのがポイントとなる。

なお、マイナンバーをどこに入れて管理するかが大事となるが、自然と考えると人事システムとなるだろう。ただ今回は法整備の中でも縛りがきつくなっているので、人事データベースに入れてしまうと、人事担当者が個人情報に触れることになる。そうすると一覧で見ることができる状態になるので、これに対する安全管理にコストがかかると想定される。バックアップファイルについても同じで、個人情報が入っていることに。「こうした安全管理対策を取るためのコストとして、数千万円から億単位の投資が必要となる」(伊藤氏)。

マイナンバー制度のポイント マイナンバー制度のポイント

そこで同社が提案するのは分別管理。マイナンバーについては別扱いで管理するという方法だ。「我々が運用している『My Number Keeping System』のクラウドにマイナンバーを預けていただき、その都度利用する方法であれば安全に管理できる」と伊藤氏。

「人事担当者など、だれがマイナンバーに触れることができるのか決める必要があるが、お客様に気を付けていただくのはそこだけ。アクセスは『My Number Keeping System』のWebアプリケーションから、自社でお持ちのシステムから、そして当社製品である『COMPANY』からの3通りに対応する」(伊藤氏)。

同社が提案するマイナンバーへの対応 同社が提案するマイナンバーへの対応

すでに2016年1月まで残すところ9か月。マイナンバーへの対応を急ピッチで進めて行かないと間に合わない。なお、株式会社ワークスアプリケーションズは、「My Number Keeping System」を紹介するセミナーを予定している。マイナンバーの管理で悩んでいる人、どうするか迷っている担当者は同セミナーに参加してみるとよいだろう。

株式会社ワークスアプリケーションズ
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