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それは偶然に東大のホームページを訪ねたことから始まった。

「2016年11月26日に行うスーパーカミオカンデの見学者を募集します。ただし300名」

300名が多いのか少ないのかよく分からない。しかし応募が殺到することは間違いないだろう。見学を希望できるコースは朝8時から1時間おきで午後1時までの6組。その詳細はまだ残っている(こちら)。ちなみに、カミオカンデというと知っている人ならばあの光電子増倍管(以下、光電管)がずらっと並んでいる光景を想像するだろうが、それは今回見ることができないらしい。

 それにしてもスーパーカミオカンデである。たとえ光電管が見られなくても、その雰囲気だけでも味わってみたいものじゃないですか。私は迷わず応募した。東京から行くことを考えて、10時発の3便だ。申し込み番号は221。うーん、このまま増えなければいいが、10月7日~10月24日という募集期間。絶対にこれよりも増えるに違いない。

で。それから数週間後。

「各回とも定員オーバーとなり、厳正なる抽選を行った結果、貴殿は落選となりました」

まーそーだよねーーー。そりゃ希望者は集中するよねー。だって全国から300人でしょ。そりゃ無理だよそりゃ(ため息)。

当初はきっぱりと諦めたつもりだった。
しかしまたその数日後に来たメールに動揺させられる。

「落選の通知を送りましたがキャンセルがあり、追加当選となりました」

まじかーーーーーーーーーーーーーー!
嫌も応も後も先も考えずに脊髄反射で「はい行きます!」と返事を出しましたよ。

しかし朝10時に神岡町でしょ。試しにいつも使っているauナビウォークを立ち上げてみると、前の日に新幹線で乗り込んで泊まるか、もしくは深夜バスで行けという。ああそういうことか。たとえ新幹線でも、朝イチに出たとしても到着できないのね。自分の詰めの甘さをここで思い知ることになる。

金曜日に前乗りなんて仕事もあるし予算もあるしそれは無理。じゃあ深夜バスですかね。どれくらいかかるんですかね。運賃は5000円ちょいで、夜11時45分に東京を出て着くのが6時50分?いいじゃないですか。やってやろうじゃないですか。とバス会社に予約をたたき込む。実は初・深夜バスである。どんな雰囲気なのかは分からない。しかし予算を削ったため(使ったのは5000円程度)、普通の4列シートである。同行者(結構太め)がいるけど、まあ、いっか。

かくして見学日前日である2016年11月25日(金)はやってくるのである。

カミオカンデまでのルートはこうだ。東京から富山まで深夜バスを使い、そのあとは路線バスで飛騨市神岡町の営業所まで。現地受付所である神岡町の公民館までは歩いて10分といったところだ。

バスの出発所は今年オープンしたばかりの「バスタ新宿」。一度行ってみたいと思っていたのだが、こんな形で遭遇することになるとは。

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今年の4月4日にオープンしたばかりのバスタ新宿

しかし、深夜バスと路線バスを組み合わせて現地入りするなんて、まるで「水曜どうでしょう」と「路線バス乗り継ぎの旅」が合わさったみたいじゃないか。実際に富山から先のバスは、この前の路線バスの旅で乗ってたし。

そして出発時刻の午後11時45分はやってくる。大型バスだ。「パス-」「プシュ-」「パシッ」とエアサスペンションとブレーキの音を響かせながら到着する。バスは名前を確認するだけで乗車OK。普通の観光バスと同じ片側2列はやっぱりちょっと狭い感じ。仕方ないので酒でも飲みながら過ごすことにしようかと思っていたら、出発してすぐに「室内のライトを落とします。カーテンも開けないでください」だって。寝台列車のような雰囲気を予想していた私としてはかなりがっかり。仕方ないので黙ってビールを飲むことにした。

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「パス-」「プシュ-」「パシッ」とバスが到着

とはいうものの、2時間おきにサービスエリアに入り、トイレ休憩があるもんだから、寝られたもんじゃない。狭いシートに体が固まるのも感じ悪いので、止まったたびにバスを降りてトイレ休憩に向かった。停車しているのは20分とか意外と時間があるため、缶コーヒーを1本飲むくらいの余裕はあった。私はタバコは吸わないけれども、1本くらいゆっくりと数時間はあったのではないだろうか。

バスは首都高、外環道から関越自動車道に入り、そこから上信越自動車道へ。そして北陸自動車道へと進み、富山に至る。金曜日の夜ということもあるのか、バスは満車だ。時刻通りに高速道をひた走っていく。

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すっかり真夜中。当たり前だけど

バスは予定通り午前7時に富山駅北口に着く。濃飛バスの神岡営業所行きは南口の停留所から。イベントのために結構人がいるイメージだったのだが、ほとんど乗客はおらず、がらがら。まあ普通、自動車で来るんでしょうねぇ。やっぱし。

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無事富山駅に到着

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濃飛バスはガラガラ

ちなみにこのバス、神岡営業所が終点ではない。栃尾温泉、新平湯温泉と通り、終点は平湯温泉。つまり湯治客を見込んでのバスなわけだ。1時間20分程度の道のりという、長距離にしては中途半端な時間。しかしほとんど徹夜で寝ていないので、乗り過ごしたら大変だ。かなり緊張感の漂う路線バスの旅となった。

しかしさすが温泉行きのバス。富山空港を過ぎてしばらくすると、山あり渓谷ありの自然豊かな風景となった。何と言っても水がきれい。これは、このあたりに流れる神通川の一帯が片麻岩と呼ばれる石英などで構成されているため。砂岩や泥岩などと違い、水の中に溶けないので汚れないからだ。

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微妙に紅葉が終わっている山々

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川は底が見えるくらいきれい

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対岸に見える神岡鉱業亜鉛製錬工場

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今は廃線になっている神岡鉄道の神岡高山前駅入り口

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意外と風情のある街並み

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そうか。聖地だったんだ

10分程度歩き、風景を楽しんでいる間に神岡町公民館に到着した。ここで見学の受付である。見学料の3500円を払ったら、同乗するバスを待つ。30分程度で神岡廃坑に到着である。

ということで、スーパーカミオカンデの内部レポートについてはまた日を改めてお届けする。

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目的地の神岡町公民館

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東大レゴ部が作ったスーパーカミオカンデの模型

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神岡町公民館3階より下を望む。青い線のまるがスーパーカミオカンデの大きさだとか

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見学はヘルメット必須

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ここがスーパーカミオカンデの入り口だ

スーパーカミオカンデ

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カミオカンデとニュートリノ
中畑 雅行
丸善出版
2016-07-01