日本産科婦人科学会とリクルートマーケティングパートナーズは「女性に寄り沿う社会を目指すBaby+の意義と役割」と題した発表会を開催した。同発表会では「妊娠出産に関する情報」の意識調査の結果をもとに両社が目指す女性に寄りそう社会の実現のために、妊婦さん向けのアプリ「Baby+」が果たす役割について詳しく解説されたので紹介しよう。

■怪しく信頼性の乏しい情報が氾濫しているインターネット
主催者挨拶で日本産科婦人科学会理事長藤井知行氏は、「晩婚化や晩産化に伴い、妊婦さんは数少ないお産を安全に行うためにネットから情報を得ようとする。しかし、医師からみて信頼性の乏しい情報や、古い情報、トンでもない嘘情報などが氾濫しており、妊婦さんはかえって不安になったり、混乱させたりしまうことがある。」と現状の問題を指摘した。

同学会は、出産医療に責任を持つ学術団体として、こうした問題を解決すべく、産婦人科の医師が正確な知識の下で監修した冊子「Baby+」をリクルートとともに製作したという。

現在全国の産婦人科で冊子を配布しており、ホームページも運用している。そして今回、妊婦向けの情報をより手軽に提供したいとスマホアプリ「Baby+」の提供に至ったという。

日本産科婦人科学会理事長藤井知行氏


■信頼性や利便性の高い情報が得られる環境づくりが大事
リクルートマーケティングパートナーズが行った「妊娠出産に関する情報の意識アンケート調査」では、妊婦さんの6割が妊娠や出産の情報をインターネットから得ているという。ただし、ネットに溢れるこうした情報について産婦人科の医者の9割、そして妊婦さんの7割が妊娠中に得る情報として問題があると認識しているそうである。

その原因は情報がきちんとまとめられていないことだったり、信憑性に欠け情報の質が低すぎたりといったことがあまりに多いこと。医師は妊産婦に正しい知識が提供されていないことに苛立ちを感じ、いっぽう妊婦さんは、ネットに溢れる情報の中で、必要としている正確な情報が入手できないと感じているという。

株式会社リクルートマーケティングパートナーズ「ゼクシィBaby妊婦さんのための本」編集長尾花晶氏は「不正確な情報によって妊婦さんが不必要に心配になったり、医療のメリットを受けられなかったり、といったことがないように情報の提供について考えていかなければならない」と語る。

妊婦が必要とする知識や情報について、信頼性や利便性の高い情報が得られる環境づくりが益々求められており、そうした情報をメディア側も提供していく必要があるというのだ。

リクルートマーケティングパートナーズ「ゼクシィBaby妊婦さんのための本」編集長尾花晶氏


■妊婦さんにはメンタルケアが必須
産婦人科の医師と妊婦さんが抱えている問題が明らかになったところで「現場から考える妊産婦のメンタルヘルス」というパネルディスカッションが行われた。

尾花編集長によると、「ゼクシィBaby妊婦さんのための本」の記事づくりにあたり、産後のママのモニターに「妊娠中や出産後に心の不調を感じたことがありますか?」と質問を投げたところ約6割が「不調を感じたことがある」と回答してきたとのこと。理由もなく悲しくなったり、自分に全然自信が持てなくなったり、何もする気になれないというメンタルの問題が出る妊婦さんも多いそうだ。

日本赤十字社医療センター第三産婦人科部長笠井靖代氏は「出産が高年齢化してきており、不妊治療で妊娠する人が多い。不妊クリニックでは妊娠することがゴール。その次に産科では出産することがゴール。そのあとに育児が始まる。妊娠、出産、育児が連続した流れとして見えにくくなっている。なかなか先のことが見渡せず不安になる人が多い。」と語る。本来一連の流れとして見るべきなのに個別に分かれていることが不安をかき立てるようだ。

日本赤十字社医療センター第三産婦人科部長笠井靖代氏


東京医科歯科大学医学部附属病院精神科竹内崇氏は「妊娠が授かりものから、計画して進めるものへと変わってきている。そのために妊娠する段階で課題があり、精神的なサポートが必要となる。過去には精神疾患から薬を飲んでいることで妊娠をあきらめる人もいたが、今は妊娠に繋がっている。産前産後の動揺はあるが、サポートをしっかりと行っている。」と述べる。

「妊娠出産に関する情報の意識アンケート調査」の結果によると、不安を解消するために大多数の妊婦さんが自身の知識習得が必要であると考えているという。自由回答の中には「自分のことは自分で解決する必要があるから・・・。」という回答もあったそうだ。

笠井氏によると、こうした責任感の強い人は、自分だけで解決しようとして、かえって自分を追い詰めてしまう傾向にあるという。「バースプラン(出産計画)というが、抱えている心配事を具体的に整理してみることも必要」と指摘する。

竹内氏によると、妊娠、出産は一般的に喜ばしいことだが、産後は一定の割合でメンタル的な面でどんどん追い込まれてしまうことがあるそうだ。「本人の責任ではなくて、そういうことが起こるという知識をあらかじめ身に付けておく必要がある」(竹内氏)。

妊娠や出産は、本人の意思とは関係なく、精神的に不安を抱えてしまう傾向にある。まわりがサポートする体勢が重要となるが、現在と昔とでは考え方の違いがある。

たとえば、赤ん坊が泣いたときの対処方法だ。現在はすぐに抱き上げて、たっぷりと愛情を注ぐというのが一般的な対処だ。これに対して昔は、あまり抱くと抱き癖が付くから駄目だと言われていた。このように子育て事情が大きく異なるのである。ところが、事情が変わってもネットに溢れる情報は変わらずそのままだ。

「今の新しい情報を、出産をサポートしてくれる周囲の方たちにしっかりと伝えていくことが必要である」と笠井氏。「なかなか適切な情報が得られず、情報に振り回されて、病状が悪化している方も少なくない」と竹内氏。

ところが、すでに古くなってしまった情報、かつては正しいとされていたが現在では間違っている情報などネット上にあるのは、こうした情報の精度に問題があるものばかりでどれを信じたらいいのかわからない。

医師や学会が提供している情報であれば、確かで信頼できる。そこでどういった人、誰が発信している情報であるのか? をよく確かめ、情報を精査する必要がある。

東京医科歯科大学医学部附属病院精神科竹内崇氏


■妊婦に本当に必要な情報を届けることができるアプリ「Baby+」
慶応義塾大学医学部産婦人科学教室婦人科診療副部長阪埜浩司氏は「これまで正確な情報を一般の方、あるいは妊婦女性の方に届けることを行ってきた。昨今は本を渡してもなかなか開いてもらえないので、数年前からWeb上で対応してきた。それでもなかなか不十分なところがあり、スマートフォンが普及きていることから、アプリを始めることした」と語る。

アプリ版「Baby+」はWeb版よりも気軽に使えるうえ、タイムリーに適切なタイミングで必要で正確な情報を届けることができるようになっている。

たとえば、設定しておくと妊娠の初期、中期、お産の直前とでは、妊婦さんに送りたいメッセージが変化する。妊婦さんの週数に合わせ、適切な情報を届けることが可能になるわけだ。

慶応義塾大学医学部産婦人科学教室婦人科診療副部長阪埜浩司氏


また季節によって必要な情報もある。冬はインフルエンザの季節だが、妊婦さんはどういう対応をすればよいのか。ワクチンはうった方がほうがよいのかといったこともアプリならわかる。

「我々学会と患者さんとの双方向のコミュニケーションがとれるツールを作りたいということで、アプリ版の開発を昨年9月から進めてきた」と阪埜氏。

アプリ版「Baby+」では、出産予定日とお産する場所を登録すると、妊娠週に応じた赤ちゃんの像が表示され、妊婦さんに必要な情報が届けられる。もちろん専門の先生が責任を持って書いている正確な情報なので、妊婦さんも安心できる。妊婦さんがもらえる助成金もまとめて表示したり、産後の予防接種についての情報が得られたりする。このように信頼できる情報と、医師が届けたいと思った情報がタイムリーに妊婦さんたちに伝わる。プッシュ型で情報を送り届けることができるアプリ版の良い点がここだ。

「患者さんが直接調べに行かなくても、その時期に合わせた情報を適切に届けることができる。患者さんの悩みを解消して安心安全に出産ができるようにサポートしていくというコンセプトだ。アプリ版「Baby+」をぜひ、多くの妊産婦さんにダウンロードしていただきたい」と阪埜氏。


少子高齢化が叫ばれる現在、妊娠や出産に不安を感じている人がこれほどまでに多いとは考えもしていなかった。こうした妊娠・出産に関わる課題をクリアしていかないと少子高齢化はさらに進んでいくだろう。

そして情報の正確さが重要であることも大事であると再認識させられた。たとえば親子で伝達された情報などに加え、インターネット上には無数の情報が散乱しているが、信憑性に欠ける情報があまりにも多く、多くの医師がそれらのニセ情報について心配していることがわかった。

出産のリスクを減らすためには、妊婦さんたち、またそれを支えるサポート役は、より正確な情報収集が必要不可欠だ。アプリ版「Baby+」は産婦人科の医師が正確に監修しているという点で非常に安心感があり、妊婦さんたちにとって有益な必須の情報ツールと言える。不安を抱えている妊婦さんがいたらアプリ版「Baby+」を試してみることをおススメする。

日本産科婦人科学会
リクルートマーケティングパートナーズ

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