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迷ったら死にますので絶対に列を離れないように――カミオカンデに行ってきました(後編)

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岐阜県飛騨市にある東大の研究施設「スーパーカミオカンデ」。この一般公開が2016年11月26日に行われた。抽選で定員300名の所、いったんは落選するも、なんとキャンセル待ちで復活。富山の先まで出かけてきたのでした。

前回は深夜バスに乗り、路線バスを経てスーパーカミオカンデの入り口に立ったところまでをお伝えしたが、これからは本題、スーパーカミオカンデの中に入ることになる。ちなみにセキュリティの関係上、どこにカミオカンデがあるかは言ってはいけないことになっている。

スーパーカミオカンデは廃坑の中に作られているが、鉱山自体は神岡鉱業の持ち物。それを東大が借りて運営しているといった形だ。

さて。そもそもスーパーカミオカンデでは何をしているのでしょうか。その答えは、スーパーカミオカンデのWebサイトにもあるように「世界最大の地下ニュートリノ観測装置」だ。ニュートリノとは、中性の電気を持たない素粒子のこと。宇宙を構成するすべての物質は、クォークとレプトンという素粒子から形成されている。陽子はクォーク3つから構成され、レプトンの仲間である電子を1つ組み合わせることで作られている。レプトンは電子とニュートリオとのペアで構成されており、電子の電荷は-1なので、ニュートリノの電化は0となる(スーパーカミオカンデのWebサイトより抄録)。

もっと詳しい解説を知りたい方は、スーパーカミオカンデのWebサイトを参照してほしいが、要は宇宙の成り立ちを知るのに重要な物質なのに、ほかの物質と反応しないため、普通の状態では観測できないものなのだ。

そこでスーパーカミオカンデでは、直径39.3メートル、高さ41.4メートルの円筒製タンクにに5万トンの超純水を蓄え、タンク内にある約1万3千本の光電子増倍管でニュートリノの挙動を測定することができるようになっている。光電子増倍管取り付け作業が完了したのは1995年12月。そこから超純水を貯め、観測がスタートしている。途中、大量の光電子増倍管が破壊されるといったトラブルにまみれたが、研究者の力でなんとか復活させ、今に至っている。スーパーカミオカンデでの実験を通した結果で、梶田隆章氏がノーベル物理学賞を取ったのは記憶に新しい。

 さて、そんなスーパーカミオカンデの中に入っていくことにする。スーパーカミオカンデは地下1000メートルの所に設置されているので、そこまでは乗り合いの自動車で行くことになる。ちなみにスーパーカミオカンデの中で動いている自動車は全部ディーゼル車。ガソリン車よりも空気の消費が少ないから、だそうだ。

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マイクロバス2台に分乗して入り口へ到着。ここでトイレ休憩を入れたら坑内に入る

車に分乗してどんどんと中に入っていく。途中、入り口を示す「跡津方面」に矢印が着いた看板もある。なお、ガイドの方によると、神岡鉱山は総延長が東京から福岡までくらい、約1000キロにも及ぶそうなので「列から離れたら絶対に死にますから付いてきてください」と釘を刺された。こえぇ。

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マイクロバスは坑内へどんどんと入っていく

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時折標識が見えた

坑道内を15分ほど走ると、スーパーカミオカンデの実験区域に到着。扉の向こうはスーパーカミオカンデだ。立っている部分は天井に当たり、その下に光電子増倍管がずらっと並んでいて、観測しているというわけだ。

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これが実験区域の入り口

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入ってすぐ右側には、これまで訪れた研究者のサインが残されている

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ノーベル物理学賞を取った南部陽一郎氏のサインも

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実験施設へ行く途中にはスーパーカミオカンデで行われている実験などのパネルを展示

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水温などを管理している計器。何か工場みたい

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超純水を作り出すためのフィルター

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これが光電子増倍管の実物

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これがスーパーカミオカンデの天井部分

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スーパーカミオカンデにあった、スーパーカミオカンデの模型(ややこしい)

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何かの実験施設

スーパーカミオカンデの見学が終わったら、坑道を歩いて、もう一つの実験施設であるXMASS検出器がある施設へ向かう。ただしここは中には入れず、外で紹介パネルを見るだけ。ここで行われているのは、宇宙に存在するという「ダークマター」の検出。これまで分かったことは、ダークマターは宇宙全体の27%を占めていて、光を出さず、電荷がない。物質とはほとんど反応しないが、1立方メートルの箱に3000個位存在し、地球では1立方センチメートルに毎秒10万個もすり抜けているそうだ。

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今度は茂住方面へ移動

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この暗い感じはまさに坑道といったところ

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途中、横穴が見える。レールはトロッコのものだろうか

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ここがXMASS検出器が置いてある実験室。宇宙のダークマターについて研究している

これで約1時間にわたるスーパーカミオカンデの見学は終了。もう一度マイクロバスで坑道出口まで戻ることとなる。そして出発地である神岡町公民館に戻り、イベントは終了だ。

貴重な実験サイトを見させてもらったのだが、非常に楽しかった。光電子倍増管の実物を見ることができなかったのは残念だが(ちなみに研究者の人でも見たことがあるのは稀だとか)、実験をしている雰囲気に接することができたのはよかった気がする。

なお見学だが、今回のように東大が主催するもののほか、神岡鉱山の坑内を巡るツアーイベントを企画している「GEO SPACE ADVENTURE」という組織でも、定期的に見学を行っているようだ(主に夏休み)。こちらに申し込んで見学するのもよいだろう。

スーパーカミオカンデ

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中畑 雅行
丸善出版
2016-07-01






「水曜どうでしょう」か「路線バス乗り継ぎの旅」のような旅程――カミオカンデに行ってきました(前編)

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それは偶然に東大のホームページを訪ねたことから始まった。

「2016年11月26日に行うスーパーカミオカンデの見学者を募集します。ただし300名」

300名が多いのか少ないのかよく分からない。しかし応募が殺到することは間違いないだろう。見学を希望できるコースは朝8時から1時間おきで午後1時までの6組。その詳細はまだ残っている(こちら)。ちなみに、カミオカンデというと知っている人ならばあの光電子増倍管(以下、光電管)がずらっと並んでいる光景を想像するだろうが、それは今回見ることができないらしい。

 それにしてもスーパーカミオカンデである。たとえ光電管が見られなくても、その雰囲気だけでも味わってみたいものじゃないですか。私は迷わず応募した。東京から行くことを考えて、10時発の3便だ。申し込み番号は221。うーん、このまま増えなければいいが、10月7日~10月24日という募集期間。絶対にこれよりも増えるに違いない。

で。それから数週間後。

「各回とも定員オーバーとなり、厳正なる抽選を行った結果、貴殿は落選となりました」

まーそーだよねーーー。そりゃ希望者は集中するよねー。だって全国から300人でしょ。そりゃ無理だよそりゃ(ため息)。

当初はきっぱりと諦めたつもりだった。
しかしまたその数日後に来たメールに動揺させられる。

「落選の通知を送りましたがキャンセルがあり、追加当選となりました」

まじかーーーーーーーーーーーーーー!
嫌も応も後も先も考えずに脊髄反射で「はい行きます!」と返事を出しましたよ。

しかし朝10時に神岡町でしょ。試しにいつも使っているauナビウォークを立ち上げてみると、前の日に新幹線で乗り込んで泊まるか、もしくは深夜バスで行けという。ああそういうことか。たとえ新幹線でも、朝イチに出たとしても到着できないのね。自分の詰めの甘さをここで思い知ることになる。

金曜日に前乗りなんて仕事もあるし予算もあるしそれは無理。じゃあ深夜バスですかね。どれくらいかかるんですかね。運賃は5000円ちょいで、夜11時45分に東京を出て着くのが6時50分?いいじゃないですか。やってやろうじゃないですか。とバス会社に予約をたたき込む。実は初・深夜バスである。どんな雰囲気なのかは分からない。しかし予算を削ったため(使ったのは5000円程度)、普通の4列シートである。同行者(結構太め)がいるけど、まあ、いっか。

かくして見学日前日である2016年11月25日(金)はやってくるのである。

カミオカンデまでのルートはこうだ。東京から富山まで深夜バスを使い、そのあとは路線バスで飛騨市神岡町の営業所まで。現地受付所である神岡町の公民館までは歩いて10分といったところだ。

バスの出発所は今年オープンしたばかりの「バスタ新宿」。一度行ってみたいと思っていたのだが、こんな形で遭遇することになるとは。

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今年の4月4日にオープンしたばかりのバスタ新宿

しかし、深夜バスと路線バスを組み合わせて現地入りするなんて、まるで「水曜どうでしょう」と「路線バス乗り継ぎの旅」が合わさったみたいじゃないか。実際に富山から先のバスは、この前の路線バスの旅で乗ってたし。

そして出発時刻の午後11時45分はやってくる。大型バスだ。「パス-」「プシュ-」「パシッ」とエアサスペンションとブレーキの音を響かせながら到着する。バスは名前を確認するだけで乗車OK。普通の観光バスと同じ片側2列はやっぱりちょっと狭い感じ。仕方ないので酒でも飲みながら過ごすことにしようかと思っていたら、出発してすぐに「室内のライトを落とします。カーテンも開けないでください」だって。寝台列車のような雰囲気を予想していた私としてはかなりがっかり。仕方ないので黙ってビールを飲むことにした。

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「パス-」「プシュ-」「パシッ」とバスが到着

とはいうものの、2時間おきにサービスエリアに入り、トイレ休憩があるもんだから、寝られたもんじゃない。狭いシートに体が固まるのも感じ悪いので、止まったたびにバスを降りてトイレ休憩に向かった。停車しているのは20分とか意外と時間があるため、缶コーヒーを1本飲むくらいの余裕はあった。私はタバコは吸わないけれども、1本くらいゆっくりと数時間はあったのではないだろうか。

バスは首都高、外環道から関越自動車道に入り、そこから上信越自動車道へ。そして北陸自動車道へと進み、富山に至る。金曜日の夜ということもあるのか、バスは満車だ。時刻通りに高速道をひた走っていく。

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すっかり真夜中。当たり前だけど

バスは予定通り午前7時に富山駅北口に着く。濃飛バスの神岡営業所行きは南口の停留所から。イベントのために結構人がいるイメージだったのだが、ほとんど乗客はおらず、がらがら。まあ普通、自動車で来るんでしょうねぇ。やっぱし。

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無事富山駅に到着

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濃飛バスはガラガラ

ちなみにこのバス、神岡営業所が終点ではない。栃尾温泉、新平湯温泉と通り、終点は平湯温泉。つまり湯治客を見込んでのバスなわけだ。1時間20分程度の道のりという、長距離にしては中途半端な時間。しかしほとんど徹夜で寝ていないので、乗り過ごしたら大変だ。かなり緊張感の漂う路線バスの旅となった。

しかしさすが温泉行きのバス。富山空港を過ぎてしばらくすると、山あり渓谷ありの自然豊かな風景となった。何と言っても水がきれい。これは、このあたりに流れる神通川の一帯が片麻岩と呼ばれる石英などで構成されているため。砂岩や泥岩などと違い、水の中に溶けないので汚れないからだ。

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微妙に紅葉が終わっている山々

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川は底が見えるくらいきれい

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対岸に見える神岡鉱業亜鉛製錬工場

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今は廃線になっている神岡鉄道の神岡高山前駅入り口

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意外と風情のある街並み

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そうか。聖地だったんだ

10分程度歩き、風景を楽しんでいる間に神岡町公民館に到着した。ここで見学の受付である。見学料の3500円を払ったら、同乗するバスを待つ。30分程度で神岡廃坑に到着である。

ということで、スーパーカミオカンデの内部レポートについてはまた日を改めてお届けする。

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目的地の神岡町公民館

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東大レゴ部が作ったスーパーカミオカンデの模型

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神岡町公民館3階より下を望む。青い線のまるがスーパーカミオカンデの大きさだとか

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見学はヘルメット必須

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ここがスーパーカミオカンデの入り口だ

スーパーカミオカンデ

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関口哲司

日本大学大学院理工学研究科後期博士課程修了。理学博士。日本物理学会会員。IT系記事を中心に著書多数。原稿の依頼歓迎。

編集長・ライター
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ソフトバンクにてPCComputing、PCJapanの編集を経験した後フリーランス・ライターを経て現在に至る。PCハードウェア、Windows使いこなし、イメージングデバイスを語らせたらいつまでも話が止まらないPCヲタ。また早期からユーザー配信サービス(ニコ生、Ust、Justin等)にも注目し特にニコニコ生放送では“囲い厨で弾幕職人”な日々を送っている側面も持つ。IBMにてThinkPadのリペア技術員の経験アリ

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PCComputing、PCJapanの編集からZDNet(現:ITmedia)へ、ITmedia Games、PCUPdate(現:PC USER)の編集長からオンラインゲーム会社のIR担当や採用広告の制作、フリーライターを経て現在に至る。最近のトレンドは電子工作でハイレゾアンプを作ること。あと鉄分(乗り鉄)かなり多め。

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