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知らない人は損している!何でもできる魔法の箱「QNAP」活用術第五回「HDDの増設」

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本連載の目的はQNAPのNAS「Turbo NAS TS-231+」を様々に活用することで、NASを利用していない人たちより何倍も得しちゃおうというものだ。

前回は、QNAPが外部から攻撃を受けないように、不正アクセスを受けないにするための「セキュリティの設定」を紹介した。なお本稿公開と同時にQNAP連載の専用ページもオープンしたので、今後は本連載の各回を参照したい場合は、専用ページからアクセスしてほしい。

さて今回だが、QNAPに後からHDDを増設する方法について紹介しよう。

■意外と早くQNAPのHDDがいっぱいになってしまう可能性
データを次々に保存して行けば、いつかはいっぱいになってしまう。それは誰もが理解していると思う。本連載で紹介しているQNAPに搭載しているHDDは2テラバイトが1台だ。普通に使っていたら、2~3年は余裕で持つ容量だと言える。

しかし、高解像度のデジカメ画像や自分で撮影した4K動画などを、次から次へとQNAPに放り込んで行くと、数テラバイトクラスの容量であっても意外に早くいっぱいになってしまうのだ。

こうしたことに加えて、AndroidスマホやiPhoneのバックアップデータ、パソコンのシステム全体のバックアップデータをQNAPに定期的に保存しているようなケースもあるだろう。データのバックアップは重要なため、気軽に削除するわけにはいかない。

いずれにせよ、どれだけ大きな容量のHDDを用意していたとしても、いつかは容量不足に陥ってしまうのだ。本連載で扱っている「Turbo NAS TS-231+」(以下、QNAP)は、HDDを2台搭載できるようになっている。

ということで今回は、データ保存用のHDDを増設するケースを紹介しよう。

なお、QNAPは2台のHDDでデータが消失しないよう保護しつつデータを読み書きできる「RAID(レイド)構成」にも対応している。このRAIDの構築方法は、別の機会に紹介する。2台目のHDDの装着までは、本連載と同じ手順なので、RAID構成の回のHDD装着に関しては、今回を参考にしていただければと思う。

■ホットスワップが可能とはいえ電源は必ず落とす
QNAPは、実は電源が入ったままでHDDの抜き差しが可能なホットスワップという機能に対応している。NASは、HDDを交換するのにいちいち電源を落としていたら、他のユーザーがアクセスできなくなってしまうため、電源が入ったままでHDDの着脱が可能になっているのが普通だ。

しかし、自分だけで使っているNASであるなら、HDD増設時にQNAPを利用するということはないだろうし、別のユーザーがアクセスするということもないだろう。特にQNAPの電源を入れておく必要でもない限り、電源を落としてからHDDを装着したほうが、より安全だと言える。

なお、QNAPのシャットダウンは、スマホのアプリ「Qmanager」から行える。

Qmanagerを起動しQNAPにアクセスしたら、左上の赤く囲んだ部分をタップしてメニューを表示させる。出てきたメニューから「システムツール」をタップする。

左から「外部ストレージ」「ブロックリスト」「システム」と並んでいるメニューから「システム」をタップする。そこにある「停止」と書かれた赤いボタンをタップすると終了処理が行われ、システムの電源が落ちる。

通常、NASはパソコンとは違い電源を入れたら、ほとんど落とすことがないためこうした深い層にシャットダウンメニューが用意されている。電源ボタンを長押しすることでも電源を落とすことはできるが、できればこうした方法で安全にシステムをシャットダウンするようにしたい。

左上の赤く囲んだ部分をタップしメニューを出す


システムツールをタップする


右側の「システム」をタップする


停止の赤いボタンをタップすればOK


確認のメッセージが出るので「OK」をタップする


■HDDを専用トレーにねじ止めしてトレーを装着する
増設用のHDDトレーを引き出したら、NASに搭載する増設用HDD(今回も「WD20EFRX」)をHDDトレーにネジで固定する(4か所)。トレーにHDDをセットした時、ネジ穴の部分、4か所がちょうど合うようになっているので、それを確認しながら位置合わせを行いネジで止めればOKだ。

トレーの赤丸部分とHDDのネジ穴が合っているか確認する


付属の固定用ネジを使ってしっかりと4か所をネジ止めする


HDDが装着できたらトレーをQNAPに、しっかりと装着する


■QNAPの電源を入れHDDが認識されているか確認する
増設用のHDDを無事にQNAPに装着できたら、電源ボタンを押してQNAPを起動する。ビープ音などがして、しばらく診断機能等が働き、QNAPが起動してくる。ネットワークが接続された状態にまで進んでいれば、QmanagerでHDDが認識されているかチェックしてみよう。

リソースモニターでシステムの温度のところにHDDの温度が表示されているはずだ。そこに表示されている「HDD1」は元からあったHDDで「HDD2」という表示があれば、増設したHDDである。

HDD2が増設したHDD


■増設したHDDを読み書きできるようにする
増設したHDDは、そのままでは読み書きができない。領域の確保とフォーマットが必要になる。これはパソコンにHDDを増設した際も同様に必要な処理である。それにはQNAP用アプリを利用するのではなく、スマホやパソコンのWebブラウザを使って、QNAPのデスクトップ画面を表示させて行う必要がある。

なお、パソコンでも、Webブラウザ経由で同じデスクトップにアクセスし、同じように操作すればいい。スマホでは、スマホ向けのメニューとデスクトップメニューの2種類が利用できる点、また専用のアプリを使って、必要最低限の操作を手早く行えるといった点で、スマホ経由での設定のほうが使い勝手に優れていると筆者は最近感じ始めている。

このパソコン用の画面と似たメニューを表示させるには、スマホのブラウザでのQNAPログイン直後に表示されるメニューから「デスクトップ表示」をタップする必要があることに注意してほしい。また、できればヨコ画面にして1920×1080ドット表示が可能なスマホを使うと操作が非常に楽にできると思うが、ヨコ画面で1280×720ドットでも、操作できないことはないだろう。

HDD2が増設したHDD

■ストレージマネージャでHDDを読み書きできるように処理する
ここからは、デスクトップ表示画面で説明するので、PCでもスマホでも、どちらでも一緒と思ってくれていいだろう。デスクトップ上にある「コントロールパネル」を開いたら、その中にある「システム設定」から「ストレージマネージャ」を呼び出す。

ストレージマネージャが起動したら、左メニューにある「ディスク」をタップし、増設したHDD(この場合はディスク2)を選択して画面を切り替える。

「コントロールパネル」から「システム設定」の「ストレージマネージャ」を呼び出す


ストレージマネージャが起動したら、ディスク2を選択して画面を切り替える


■ディスク2に新規ボリュームを作成する
増設したディスク2の画面で「アクション」というメニューをタップすると表示されるリストから「新規ボリューム」を選択する。すると「ボリューム作成ウィザード」が呼び出される。このウィザードに従うだけで、わずか4ステップで新しい領域を確保し、ボリュームのフォーマットまで完了する。

「アクション」メニューをタップすると表示されるリストから「新規ボリューム」を選択する


ボリューム作成ウィザードが起動したら「単一ボリューム(ストレージプール無し)」を選択する。なお、RAID構成や複雑な暗号化などをしていないピュアなボリュームの作成なので、アクセスのパフォーマンスは、最も高い設定になる。

ボリューム作成ウィザードで「単一ボリューム(ストレージプール無し)」を選択する


「次へ」をタップすると、HDDを選択する画面になる。ここで増設したHDDである「ディスク2」にチェックを入れたら「次へ」をタップする。

ディスクの選択(ここではディスク2)をしたら「次へ」


次の画面では、空き容量が指定の残量に達した時点でアラートを出すときの割合、ボリュームの表示名、ファイルシステムのオプション、暗号化(パスワードロック)や共有フォルダ名の事前入力を行う画面になる。ここは特に気にせずに「次へ」をタップしていいだろう。

ここは特に気にせずに「次へ」をタップする


これまで設定した項目などが表示されるので、それらの内容を確認し、OKなら「完了」をクリックすれば、領域確保からフォーマットまで一連の操作が開始される。なお「完了」をタップしていなければ「戻る」をタップすることで、いくつ前でも戻れるので安心だ。

これまで設定した内容で問題なければ「完了」をタップすればOK


領域の確保及びフォーマットが行われる。今回は2テラバイトのHDDを接続し、読み書きが可能になるまでの時間は、最適化も含めて5分程度で完了した。あとは、新しくフォルダを作成し、そのフォルダを共有フォルダとして指定すれば、新しいHDDでデータの読み書きが可能になる。

今回は、2台のHDDを使って容量不足を補う方法としての増設について解説した。QNAPなら、メンテナンスやHDDの増設を行うのにパソコンは不要であることが理解してもらえたと思う。さて、次回はQNAPの大事なデータの保護やバックアップをどう行うか? について紹介しよう。

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長期連載、知らない人は損している!何でもできる魔法の箱「QNAP」活用術第四回

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本連載の目的はQNAPのNAS「Turbo NAS TS-231+」を様々に活用することで、NASを利用していない人たちより何倍も得しちゃおうというものである。前回は、QNAPの搭載されているアプリといったソフトウェア部分に焦点を当て便利なアプリを数多く紹介したかと思う。

各種アプリを設定し、実際に運用を開始する前に必ず設定しておかなければならないこととして「セキュリティの設定」がある。

これまで紹介してきたのは、本格的に運用に入る前の段階ということに注意してほしい。何しろ管理者アカウントである「admin」が有効な状態で、しかもパスワードも初期状態のままのはずだ。

もちろん自分で作成した管理者権限のアカウントでログインしているはずなので、管理者しか設定できない項目を設定することはできる。しかし、adminアカウントが有効であることは非常に危険である。



■ネットにぶら下がったQNAPは、外からはサーバにしか見えない
QNAPをインターネット経由でアクセスできるように設定しているということは「自分以外の人たちからもQNAPは見えている」ということになる。世の中には、特定のIPアドレスの範囲をどういったサーバが接続され、どういったサービスが走っているのかを細かくチェックするツールが存在している。

こうしたツールを使い、悪意のあるクラッカーたちは、ネット上にぶらさがっている不用心なNASサーバを乗っ取り、悪意のあるツールを配布したり、ウイルスを吐き出すように改ざんしたり、といった悪事を働く。

その悪事に知らないうちに加担させられ、ある日突然、令状を持った警察官が自宅にやってくるという笑えない話が起きる。たとえば自分のパソコンが遠隔ウイルスに感染させられ、そのPCで犯行予告のようなコメントを巨大掲示板に書き込まれてしまい、そのIPアドレスから追跡され、逮捕されてしまったなんていうことだ。そしてこの事例は、実際に起きたものである。

NASサーバを乗っ取ろうとする人たちにとってQNAPは、IPアドレスを持つLinuxサーバにしか見えない。誰が使っているのかなんて関係ないのだ。

そしてadminアカウントが標準設定でそのままパスワードから何から変更していないとしたら、いとも簡単にパスワードを破られ、サーバの設定から何から都合よく変更されてしまう。管理者権限を持たれてしまうとQNAPを自在に操ることが可能になる。

■使わないadminアカウントは無効にしてしまおう
すでに管理者権限を持つアカウントを持っているはずなので、または初期セットアップ時にQNAPにログインできた時点で、すぐにadminアカウントを「無効」にしてしまおう。

もちろんadminアカウントのパスワードをわかりにくいものに変えて残すこともできるが「admin」なんていうのは、最も推測しやすいアカウント名のひとつだ(ほかにもrootやAdministratorなどがある)。

こうした考えるまでもないユーザーIDは、総当たりでパスワードを試されると、簡単に突破されQNAPに侵入されてしまう。いちばんいい方法が、こうした推測しやすいユーザーIDは、最初から使わないということである。

そこで、管理者権限を持つアカウントでQNAPにログインしたら、このadminというユーザーアカウントを無効にしてしまおう。

無効にするのは簡単だ。QmanagerでスマホからQNAPにアクセスしたら、メニューにある特権の設定をタップし、表示されたユーザーリストの中から「admin」をタップする。

adminの設定項目の中から、一番右側のアイコンをタップし、プライベートネットワーク共有の設定項目を呼び出したら、すべてのフォルダの権限を「Deny:アクセス権を拒否」にしたら「適用」をタップすればOKだ。


QmanagerでQNAPにアクセスしたら「特権の設定」をタップ


ユーザーリストの中から「admin」をタップする


adminの設定項目で右側のアイコンをタップする


すべてのフォルダを「Deny」にしたら「適用」をタップする。


■ブラウザ経由でQNAPにアクセスし「admin」自体を無効にする
Qmanagerでの設定は、権限の設定だけなのでadmin自体は有効のままだ。これでは設定を変更されてしまう可能性もあるのでスマホのブラウザ経由でQNAPにアクセスし、adminアカウント自体を無効にしてしまおう。なお、PCが利用できる環境であれば、PC経由でアクセスしても同じ設定が可能だ。

今回はスマホ用のWebブラウザ「Google Chrome」を使っているがFirefoxなどでも同じように設定できるだろう。また、WebブラウザでQNAPにアクセスする場合、デスクトップ画面の表示は画面を回転させて横画面にしたほうが見やすいので、画面を回転させることをおススメしたい。

WebブラウザでQNAPにアクセスするには、QNAPのIPアドレス(LAN上のIPアドレスなので192.168から始まるアドレス)を知る必要がある。それにはQmanagerの起動画面を利用するといいだろう。Qmanegerを起動するとQNAPが表示されており、そこにIPアドレス(この場合は、192.168.0.3)が表示されているので、そのアドレスをWebブラウザのURL入力部分に入力すればOKだ。

Qmanagerの起動画面でIPアドレスを確認できる。


QNAPのデスクトップ画面(スマホでの横表示)。「コントロールパネル」をタップする。


Webブラウザでアクセスしたコントロールパネルでは、Qmanagerでは設定できなかった細かな設定が行える。通常ではQmanagerに用意されている項目で十分な設定が可能だ。デスクトップにある「コントロールパネル」を開く。コントロールパネルが開いたら「権限設定」から「ユーザ」を開く。ユーザ名のところにadminがあるだろう。

「コントロールパネル」の「権限設定」から「ユーザ」に。adminがある。


このadminの右側に「アクション」アイコンがあるので、一番左側のアイコンをタップする。有効/無効を設定する項目「アカウントプロファイルの編集」が呼び出される。そこにある「このアカウントを無効にする」にチェックを入れて「OK」をタップすれば、adminアカウントが無効になる。

「アカウントプロファイルの編集」から「このアカウントを無効にする」にチェックしOK


コントロールパネルのユーザ画面に戻って、adminのステータスが赤文字で無効になっていれば設定は完了だ。

adminのステータスが無効になっていればOK


■そもそも、そんなにアクセスされるものなのか?
「ネット上に星の数ほど存在しているであろうNASにユーザーでもないのにインターネット経由でアクセスしようと考える人なんて、そうそういないだろう」と考える人もいるかもしれない。

そうした人は、システムログの通知を見てみるといい。デスクトップ画面右上に通知されているイベントログを確認すれば、見ず知らずのIPアドレスからアクセスされていることがわかるはずだ。

アクセスに利用されているユーザーIDは「admin」「test」「ftp」「anonymous」というもの。これらのアカウント名は、定番とも呼べるID名で、実際にこのIDでアクセスしている人も多いと思われる。

さらにシステムログを詳細に見てみると、アクセスしようとしているIPアドレスもわかる。あまりにもしつこくアクセスしようとしてくるIPアドレスは、ブロックすることができるので、そう設定するといいだろう。

「admin」「test」「ftp」「anonymous」でアクセスしようとしているのがわかる


システムログを見ると、外部から様々なIDでアクセスしようとしてくるのがわかる。


しつこいIPアドレスは長押しして出てきたメニューでブロックリストに「期限なし」で追加してしまおう


■adminの無効化とブロックで防げるのか?
以上、QNAPをインターネット経由で利用する場合は、必ず今回紹介した方法でadminアカウントと不正アクセスをしようとしてくるIPアドレスのブロックを実行してほしい。また、これだけで不正アクセスが完全になくなるわけではないが、ネット上には、セキュリティの甘いNASサーバがほかにもたくさん存在している。

ログインしにくいサーバよりも、簡単にアクセスできる設定になっているサーバを不正アクセスして利用するほうが手っ取り早いため、今回のようにセキュリティ設定をしているサーバであると理解したら、アクセスしてこなくなる。新しく不正アクセスを試みるIPアドレスを見つけたら、ブロックすることを心掛けておけば、QNAPを安全に利用することができるだろう。



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今回で三回目となる本連載。連載の目的はQNAPのNAS「Turbo NAS TS-231+」を様々に活用することで、NASを利用していない人たちより何倍も得しちゃおうというものだ。前回はHDDを接続し、NASを使えるようにPCを使わずにセットアップする方法を紹介した。本日はハードウェアではなくソフトウェア部分に焦点を当てる。


一見関係ないようだが、最近では就職するまで自前のPCを持たない学生も増えてきているという。筆者が就職活動を行っていた時代では、Word、Excel、PowerPointは使えて当たり前のソフトだった。現在では、就職してからこれらのソフトを使い出す人たちが増えてきているという。

つまり、「スマホは使えるけどPCを持っていない」という人達が増えてきており、そのため「NASはPCがないと活用できない機器だから自分とは無縁だ」と思っている人も多いだろう。しかし、それは大間違いだ。

PCは持っていなくてもスマホ(iPhone等)やタブレット(iPad等)を持っている人であれば、それらの端末用にNASを導入する価値は十分にあるのだ。ということで今回は、Turbo NAS TS-231+(以下、Turbo NAS)で利用できるスマホ向けのアプリを紹介しよう。

■外部からTurbo NASへのアクセス方法と在宅時のアクセス方法に注意
スマホやタブレットを使ってTurbo NASにアクセスする方法としてQNAP関連アプリでは4通りのアクセス方法が用意されていることに注意しよう。自宅外でTurbo NASにアクセスする場合は、インターネット回線経由で「myQNAPcloudで」、または「CloudLinkで」、「WAN IPで」といった3通りの方法による接続が選択できる。

ただし、この場合、スマホは4G(LTE)によるデータ通信を行うので、例えば3日で3GBまで、1か月7GBまで、といった制限を超えてしまうと、当然キャリアによる通信速度制限がかかってしまう点に注意しよう。

ちなみに自宅外からTurbo NASへの接続でも各キャリアの提供するWi-Fi経由であった場合、こうした制限は無視していい。できればWi-Fi経由が望ましい。スマホを社内のWi-Fiに接続してインターネットアクセスできる許可を得ている人は、なるべく会社でもWi-Fi経由での接続をおススメする。

そして自宅にいるときにTurbo NASにアクセスする方法だが、前述した3通りの方法に加えて「LAN IPで」という接続方法が選択できる。これは内部LANによる接続だ。

自宅では無線LAN環境が構築されているケースでは、無線LAN経由となる「LAN IPで」を選択すればいい。なお、「WAN IPで」を選択すると自宅内であっても4G(LTE)を使ったデータ通信によるインターネット経由での接続になってしまう点に注意。当然、通信のデータ量が一定量を超えた場合、速度制限がかかってしまう。

「myQNAPcloudで」を選択すると自宅外では、4G(LTE)通信、自宅では自動的に無線LANによる通信となるので、「myQNAPcloudで」を選んでおくといいだろう。

自宅に構築した無線LAN経由での通信であれば、より高速にTurbo NASと通信ができる上、データ通信の上限を気にする必要はない。しかも、インターネットを経由しない分、外部からのアクセスの心配もないのでセキュリティ的にも安全性が高い。ただし、絶対不正アクセスを受けないというわけではないのでセキュリティの設定は、しっかりしておきたい。セキュリティを高める方法については、別の回で紹介しよう。

外部にいる時と在宅時ではTurbo NASへの接続方法に注意


■QNAP純正の便利なアプリたち
それではTurbo NASをより便利に、なおかつ簡単に活用できるQNAP純正のアプリたちを紹介しよう。なおiOS(iPhoneおよびiPad)向けのアプリも同じラインアップとなっているが、今回はAndroid向けのアプリを紹介している。

現在、Google PlayにラインアップされているQNAP純正ツールを検索してみると14種類が検索結果として出てくる。

その内訳だが「QNAPの設定等を手軽に変更するアプリ」「QNAPを自宅や外部から操作するためのアプリ」「QNAPが持つNAS以外の機能と周辺機器(ネットワークカム、HDMI出力等)何種類かに分類される。

今回は、「QNAPの設定等を手軽に変更するアプリ」「QNAPを自宅や外部から操作するためのアプリ」で、かつTurbo NAS TS-231+で利用できるアプリを中心に紹介する。Qremoteは外部出力としてHDMIが搭載されていないTurbo NAS TS-231+では除外する。

なお、QNAP以外のサードパーティがリリースしているアプリ類も豊富に存在する。それらのアプリの中で、スマホでの利用に特化されているようなアプリは、本連載のどこかの回で紹介しよう。

Google Playで配信されているQNAP純正アプリを検索すると14種類が見つかる。


■Turbo NASとファイルを簡単にやり取りできる便利アプリ「Qfile」
Turbo NAS内部に保存されているファイル類を総合的に管理できるファイラーが「Qfile」だ。Windowsでいえばエクスプローラー、MacOSならFinderの役目をする。データの閲覧、リネーム、移動、コピー、削除、またはTurbo NASへの保存といったあらゆるファイル操作を行える。必ず押さえておきたいツールだと言える。

なお、Turbo NAS内にある音楽ファイルや動画ファイルをスマホ側にダウンロードせずにそのままストリーミングで配信することが可能になっており、端末側の内蔵ストレージの容量が少なくても気にしないでいいのがうれしい。

本アプリは、あくまでもTurbo NAS内のフォルダとファイルを管理するだけであり、端末内のファイラーとしての機能は持っていない点に注意しよう。サードパーティ製のファイル管理アプリの中には、LAN上にある共有フォルダへのアクセスが可能なものもあるので、端末側のファイルを整理し、余分なデータをTurbo NASにアップロードしたいというケースでは、サードパーティ製のファイラーを利用するほうがいいだろう。 

Turbo NAS内のファイルを管理する「Qfile」


音楽・動画データのオンライン再生にも対応


■Turbo NASの設定をスマホで簡単に変更できる「Qmanager」
「Qmanager」は、Turbo NASの設定を数タップで有効/無効にしたり、Turbo NASのシステム状態(CPU使用率、メモリー利用料、消費帯域幅等)をリアルタイムでモニタリングしたりといったことが行える管理ツールだ。たとえば自宅にあるTurbo NASにアクセスしているユーザーをリアルタイムでチェックしたり、不正な操作が行われていると判断した時に、接続ユーザーをブロックしたり、といったことをスマホ上で行うことができる。

Turbo NASの集中管理ツール「Qmanager」


Turbo NASで動いているアプリの有効/無効を切り替えたり


現在接続しているユーザーをブロックしたりできる


■Turbo NAS内の写真の管理が楽にできる「QPhoto」
「QPhoto」は、Turbo NAS内の静止画・動画向けのクラウドストレージだ。自前のGoogleフォトと言い換えてもいいだろう。最近では、デジカメで動画も撮影できるようになっているので、静止画の閲覧だけでなく、動画の再生もサポートしている。

写真のExif情報を読み取って日付ごとに自動的に分類してくれるので、スマホで撮影した写真や動画をとりあえずTurbo NASに放り込んでおけば、日付ごとに分類してくれるので、あとは暇なときにゆっくり管理するといったことが可能になる。撮影したら、Wi-Fi接続時のデータ制限がかからないときだけアップロードするなんていう芸当も当然できるので、スマホの容量不足を気にせずに写真や動画を撮影することができる。

自分専用のクラウド写真アルバムツール「QPhoto」


■Turbo NAS内の動画視聴や動画ファイルの操作ができる「Qvideo」
最近では著作権の関係で禁止となってしまったが過去にDVDタイトルを動画に吸い出して保存してあったり、一般の人たちが作成したYoutubeやニコニコ動画などのお気に入りMAD動画などをいまだに保存していたり、という人は意外に多いだろう。「Qvideo」があれば、そうした動画をTurbo NAS内の共有フォルダに放り込んでおくだけで、いつでもどこからでも、その共有フォルダにアクセスして、それらの動画を視聴することができる。

なお、DVDからの動画の吸出し、配信動画のダウンロードは、著作権者より明確に許可されていない限り現在では違法となる点に注意してほしい。ただし、自分で作成したり、撮影したりして著作権が自分にある動画に関しては、この限りではない。

Turbo NAS内の動画ファイルの再生などができる「Qvideo」


過去に吸い出したDVDタイトルの動画なども視聴できる


■Turbo NAS内の音楽データをスマホで簡単に管理できる「Qmusic」
Amazonのプライムミュージック、LINEミュージック、AWA、楽天ミュージック、Apple musicと音楽聞き放題のサービスは非常に多い。一定金額を支払えば、数万~数十万曲が聞き放題になるのだから、便利なサービスであると言える。しかし、音楽なんていつも聞く曲が決まっているという人も多いだろう。であるならば、「Qmusic」を使ってTurbo NAS内に保存したお気に入りの音楽を再生すれば、定額を支払う必要はなくなる。つねに最新の音楽シーンを追いかけたいという目的でもない限り、定額聞き放題に加入するよりは、こうしたアプリを利用して音楽を楽しむほうがはるかに安く上がるのでおススメだと言える。

Turbo NAS内の音楽データをスマホで視聴できる「Qmusic」


■Turbo NASでメモ&スケジュール管理や情報共有ができる「Qnotes」
かつては、各種サービスが乱立していたグループウェア系のネットサービス。タスクの共有や時系列による仕様書のバージョン管理、段階を経た作業の進捗管理といったことが情報共有できるツールが、無償で公開されていた。多くのサービスは、有償化するか、サービスを停止するなどして、現在はこうしたグループウェア系でおススメの無償サービスは存在していない。便利な無料サービスが登場したとしても、無料のまま続けることは難しいため、お金を出しても使い続けるか、でなければ使うのをあきらめるしかないわけだ。

しかし、簡単なタスクの共有、スケジュール管理、複数メンバーによるちょっとしたアイデア出しといったことで活用できるのが「Qnotes」だ。タスクやスケジュールの共有、メモの共有といったちょっとした情報を複数人で共有するのにお手軽のツールであると言える。動作も軽いので、SOHOや個人事業主な人たちにおススメだ。

Turbo NASでメモ&スケジュール管理や情報共有ができる「Qnotes」


■Turbo NASでBTファイルのダウンロードやYoutube動画を落とせる「Qget」
BitTorrent(ビットトレント、以下、BT)と言うと、何やら胡散臭いと感じる人もいるかもしれない。日本ではファイル共有という言葉自体の印象から、BTに対してあまり良い感じを持たない人が多いのも事実だ。

しかし、BTのネットワークでは、メーカーが配布しているドライバソフトのアップデーター、Linuxの最新ディストリビューションといった正規ファイルも、流れており、ユーザーはそうしたファイルを検索してダウンロードしている。Turbo NASでBTファイルを検索し、ダウンロードさせることができるのが「Qget」だ。もちろんファイルのアップロードも可能。

BTを利用しないという人には、Youtube動画のダウンロード機能なども持っているので、お気に入りの動画、あとでじっくり見たい動画などをTurbo NASに落とすことができる。

BitTorrent機能やYoutube動画を落とせる「Qget」


「Qget」内蔵ブラウザでYoutubeを表示させたところ。


Turbo NAS側にYoutube動画を落とすことができる。


以上が、「QNAPの設定等を手軽に変更するアプリ」「QNAPを自宅や外部から操作するためのアプリ」である。これらのアプリは最低でも入れておきたいツールだと言えるだろう。

次回は、今回紹介した以外のアプリの概要、各アプリで具体的に行える操作や機能などを紹介しよう。

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