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日本発のダイヤモンドを世界へ! ラボグロウンダイヤモンドを仕掛けた「ピュアダイヤモンド」の戦略とは?


「ピュアダイヤモンド」新事業説明会の記事で詳しく解説したように「ラボグロウンダイヤモンド」とは、研究所で生成されたダイヤモンドのことだ。現在注目を集めており、世界的著名人が投資家として名を連ねていることからも、今後益々大きな発展が期待されている宝石なのだ。

そんな魅力のあるラボグロウンダイヤモンドとデジタルを融合させ、古い市場であるダイヤモンド市場に鋭い一石を投じようとしている企業、それがピュアダイヤモンド株式会社およびピュアダイヤモンドラボ株式会社なのだ。

今回、ピュアダイヤモンド株式会社の代表取締役社長である石田茂之氏と、ピュアダイヤモンドラボ株式会社の代表取締役プロデューサー安部秀之氏に、大注目の「ラボグロウンダイヤモンド」について話を聞ける機会を得たので紹介しよう。

■ラボグロウンダイヤモンドがダイヤモンドを身に付けるキッカケになる
石田社長は、天然ダイヤモンドを扱うダイヤモンド業者の二代目にあたるそうだ。天然ダイヤモンドに対し、ラボで造られたラボグロウンダイヤモンドは対極にある存在だ。いわばライバルとも思えるラボグロウンダイヤモンドをなぜ扱うのだろう。

編集部:ラボグロウンダイヤモンドについての率直な感想を頂けますか。

石田社長:私が生きている間に、人間の手で生成するようなダイヤモンドが生まれるとは思わなかったですよ。昔でいうと宇宙に行くみたいな(夢)ね。それができてしまったので、これはもうビジネスにするしかないと思いました。天然もラボグロウン(注:ラボグロウンダイヤモンドのこと)も、まったく変わらないダイヤモンドなんですね。しいて言えば、ラボグロウンの方が美しいということなので・・・。

よく(魚の)養殖のことを言うんですけど、養殖魚の場合、天然のほうが美味しいというイメージがあるじゃないですか。ラボグロウンの場合、魚とは逆で養殖のほうが美味しいんですよ。養殖の近大マグロのほうが大間の天然マグロよりも美味しくなっちゃったという話ですよね。

それをどうやって展開するかという話なので、そういった意味では、もう何百年も続いているダイヤモンドビジネスの中で、この段階でラボグロウンダイヤモンドが出たのはひとつの運命かなと思っています。

編集部:天然ダイヤモンドの中で2%しか産出しない希少なダイヤモンドと同じ組成だとうかがいました。となると価格が気になります。

石田社長:よく言われているのは、鉱山から採れるダイヤモンドの原石と、ラボグロウンで作るダイヤモンドの原石は、値段が一緒だと言われているんです。流通していくうちに、いろいろなところ(業者)が入ってくるから値段が(高く)変わってくるんです。ですから、ラボグロウンというのは、そうした中抜きがないぶんお安くなるというわけです。

ピュアダイヤモンド株式会社代表取締役社長石田茂之氏


編集部:気になるのは、ダイヤモンド市場への影響なのですが、どうなるのでしょうか。

石田社長:私自身もベルギーのダイヤモンド大使をやっているので、天然のダイヤモンドも当然ながらこれまで通り売れて行かなければいけないというミッションがあります。

たぶんですが、例えるなら、ロレックスなどの高級腕時計があるじゃないですか。あれは基本的に職人の手で造られ自動巻きといったアナログの極致ですよね。今、フルデジタルのアップルウォッチが出ていますよね。ですから、その関係になると思います。アップルウォッチが出たので、ロレックスが潰れるわけじゃないですよね。なくならないという意味からすると、その例えに近いかと思います。

編集部:レインボーダイヤモンドは、非常に面白いと思いました。

石田社長:先ほども(ピュアダイヤモンドラボ株式会社代表取締役社長であり主席研究員の)石塚と話したのですが、日本の工業ダイヤモンドの技術というのは、世界でトップなんですよ。工業ダイヤモンドでトップの技術で、今度はラボグロウンを作っていくので、それは世界でできないものが日本で作られるということに繋がってきます。

私たちは天然の石もやっていきますが、天然ではできなかったダイヤモンドを作っていくというのが、私たちの新しい市場を開拓していくという、そういうことになってくるんです。

編集部:レインボーダイヤモンドができたら、日本発のダイヤモンドということになりますね。

石田社長:もちろんです。日本にしかできないです。

編集部:ラボグロウンダイヤモンドは、すでに世界にはあるという話でしたが、ダイヤへの色付けというのは技術的に難しいのでしょうか。

石田社長:黄色いラインは乗ってくるんですね。要は白い透明度から少し黄色味を帯びたものまでは色として乗ってくるんですけども、レインボーにするとか、二色にするとか、今やっているレッドにするとか、そういうことは技術的に相当難しいと聞いています。

実際、レッドダイヤモンドというのは、天然ダイヤモンドでもあるんですよ。あるんですが、値段が億します。小さいダイヤモンドでも、何億円もするんですね。レッドがダイヤモンドの中でも、トップの価値があると言われています。それを手掛けていくことになっています。

編集部:実験ベースでは、すでに完成しているんですか。

石田社長:理論上はできています。あとは色ですね。ツヤとか。あとは、私たちプロフェッショナルが見て、この色は天然と離れているとか、この色だったら天然に勝るとか。人工的な色か、そうでないものか、そういうところは、私たち人間の目で判断していきます。

編集部:最後に今後のロードマップについて教えて頂けますか。

石田社長:まず日本の小売店で、まだラボグロウンは一店舗も扱ってないんですよ。それが今の現状なんですね。当然のようにアメリカのように、これからラボグロウンを扱う。ただラボグロウンを扱うアメリカの例ですがラボグロウンを扱うことによって、売り上げ全体の数字が伸びているんですね。チョイスが広がっていることになりますし、お店の売り上げが伸びています。ですから日本も、ラボグロウンを扱うことによって、小売店やユーザーが益々ダイヤモンドを身に付けて頂くキッカケになると思っています。

編集部:ありがとうございました。

色が付いたラボグロウンダイヤモンドのイメージ

■ブロックチェーンとトークンを結び付けて新たな価値へ
ブロックチェーン技術と聞くと、仮想通貨を思い浮かべる人が多いだろう。ピュアダイヤモンドで使われるのが「ピュアダイヤモンドブロックチェーン」だ。このアイデアはどこから出てきたのか。またどのような利点があるのだろうか。ピュアダイヤモンドラボ株式会社代表取締役プロデューサー安部秀之氏(以下、安倍社長)にお話をうかがった。

編集部:ピュアダイヤモンドブロックチェーンについてうかがいたいのですが、これを最初に思い付いたキッカケは何ですか。

安部社長:実は石田社長から、アメリカの最大手のラボグロウン会社の商材を扱うという話が持ち込まれました。うちはタイのCPグループとか、大手のコンサルをやっているので、「流通部分を一緒に組めませんか」という話がたまたま持ち込まれたわけです。

「機械装置の中でダイヤモンドを作ってるなんて面白いな。」と少しウォッチしていたんです。お台場で装飾展示会があったときに、石田社長と話すことがあって、私も(そのとき本当に時間がなかったんですけど)ラボグロウンダイヤモンドをちょっと見たんです。そのときは「小売りだけだと、これは少し難しいかな。」と思いました。つまり、生み出すことができなければ、ラボグロウンは難しいなと思ったんです。

誰かが作ったものを売り出すのであれば、どこかの天然ダイヤモンドを売ってもラボグロウンを売っても、私は変わらないんじゃないかという気がしたんですね。これはちょっと待っておこうと思ったときに、今回のプロジェクトでデザイナーをしている水野という者が、すごく大きなダイヤモンドを付けていたんです。私はまったく普段、そういう(宝石の類)ものを身に付けないので、今までであれば聞くことはなかったと思います。でも、たまたまラボグロウンのことを石田社長から聞いていたので、水野に聞いてみたんです。

すると、「実は、これ、養殖なんです。」と、水野が言うわけですよ。「自分の友達が研究所で作っている。機械装置の中で作られたダイヤモンドがどうのこうの・・・。」というから、私もチラッと工業ダイヤモンドについて聞いていたので、「何だ、工業ダイヤか。いい加減じゃないか。」と言ったら、「いや、違うんです。これ、鑑定書もとれて、こうこうこうで。」と説明されました。「ちょっと待て。それって、ひょっとして面白いかもしれないよ。売れている?」と聞くと、「養殖ダイヤの世界と、天然ダイヤの世界は全然接点がなくて、どう売り込んだら良いのか・・・。片っ端から売り込みに行ったら、これは偽物だとか、ジルコニアだとか、言われているんです。」というんです。


「実は私のところに、日本のダイヤモンドの、輸入の元締めみたいな方が来ているから、その人に見てもらってOKだったらビジネスをやろう。」と伝えました。それでラボに石田社長を連れて行くと、(ピュアダイヤモンド株式会社代表取締役プロデューサーの)伊藤さんと来て、ずっとルーペを見ていました。しばらくしても何も言わないので、「ちょっと危ないな。何か文句でも言われるかな。」と思ったら、「こんなのが本当にあるんですね。今日、断るつもりで来たんですけど。」と言うんですよ。

「本当に日本のダイヤモンドだったら、これは凄いから、ちょっとラボを見学をさせてもらっていいですか。」という話になり、企業秘密が詰まっているので見れるかどうかわからなかったのですが、少しだけ見せていただけることになって。ビジネスとしてやろうとなったのが、5月の連休明けです。

ラボグロウンは、様々なところが出しているので、差別化は絶対に必要だと感じていたのですが、そのときマイニングの会社に投資をしていたので、「マイニングに凄く似ているな。」と思いました。電気と炭素ででき上がるというのは、どこかで聞いたことがあるなと。ひょっとしたら、その設備は節税対策のファンドにできるのではと思いこれを組立てようと決めました。また、天然ダイヤモンドのようなブラッドダイヤモンドでは無いことを証明したいという想いから、ダイヤモンドをブロックチェーンでトレースしています。

掘り出されたものとは違いオリジナルで作られたものがブロックチェーンで紐づいたら、新しいマーケットができ、価値があるのではないか。そして、これが交換できるトークンというものが紐づいた場合に、どんな経済圏ができるか。つまり、ひとつのブロックチェーンにおいて、2つのものがずっと繋がるわけです。これがイメージできたときに、私は日本で一番有名な特許事務所の正林さんのところへすぐに連絡を入れて、「特許をとる必要がある。」と伝えました。

シンガポールでやってくれる仲間も集め、「よし、一緒にやろう。」と言って、でき上がったのが、このプロジェクト。本当に、ここ3、4か月の話です。

編集部:時間的には、すごく短時間でとんとん拍子に話が進んだんですね

安部社長:ブロックチェーンとラボグロウンダイヤモンドとトークン。どういう関係にあるのか、ということを、今日、話そうと思いました。

ラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーンとトークンというものは、三位一体でしか、成り立たない。この3つを持っている我々に勝るものは出てこないと思います。

もし、ブロックチェーンを超えるトレーサビリティのものが出てくれば、あり得るかも知れないし、その上に成り立つデジタルトークンに変わるものがあれば、おこなわれるかもしれません。ただ、この3つが結びついているものは、おそらく、100年、1000年経っても、これを超えてくるものはないのではないかと思います。「大人が真剣にやっている」というのを伝えていき、でき上がったのが今回のプロジェクトです。

事業説明会で展示されていた、ラボグロウンダイヤモンド

編集部:仮想通貨と現物のラボグロウンダイヤモンドを繋げる点が非常に面白いと思います。そこのアイデアは、今、おっしゃっていたところから来たのでしょうか。

安部社長:概念としては、このダイヤモンドと、絶対にこれしか交換できないトークンを作ることができれば、ダイヤモンドの価値がある以上、必ず取引される。世の中のトークンで、これほど強制的に使わされるものはないんですよ。つまり、デジタルのサービスを受けましょうというトークンというのは、あってもいいし、なくてもいいんです。でも、我々がダイヤモンドを作ったら、欲しいですよね。これを交換するには、トークンが要ります。こんなものは、これまでにないんです。

編集部:トークンの価値がダイヤモンドで担保されているわけですね。

安部社長:担保、アセットではないんです。これは物凄く不思議なんですけど、天秤を思い浮かべてください。両方にそれぞれ、価値があるんです。でも、トークンは数が決まっていますね。発行数を決めなければ、トークンが成り立たない。無限に出てきますよ、と言ったら、おそらくもう何の価値もないです。でも、上限が決まっているところに、ダイヤモンドはポコポコ、ポコポコ、生まれるんです。

このトークンが世の中にある数は決まっている。でも、生まれてくるダイヤモンドは世の中に出るためには、必ずトークンが使われる。ということは、ラボグロウンダイヤモンドが倍になったら、こっちは倍、必要なことになる。理論上、そうなりますよね。ということは、3倍、5倍、...。でも、5倍できないんです。ずっと、これに対しては、1:なにがし。となると、ラボグロウンダイヤモンドを手に入れるには、必ずトークンが必要なので、みんなトークンを取り合うことになります。

ラボグロウンダイヤモンドが欲しい人は、石田社長に「売ってください。」と来ます。でも、石田社長が、「PDCじゃないと、売りません。取引所があるから、そこから買ってください。」と言えば、「買ってきたので、交換してください。」ってことが起こるということです。

これがいわゆる、現物とトークンが結びついたことによって、はじめて生まれる流通形態です。もし私たちがピュアダイヤモンドを、円やドルで売っていると、これにはなりません。1:1の単純な交換になります。でも、私たちは、貝でも石でもない、新しい価値を持つデジタルのトークンを作るわけです。

これは、基本的には両方とも、原価はほとんどないです。もちろん工場の価格はありますが。ゼロから生まれた価値のあるダイヤモンドと、ゼロから生まれた価値と交換できるものを交換するんです。考えてもなかなか難しいことですが、価値がパラレルに立体的に交差するんです。これはブロックチェーンでしかできないことです。

ダイヤモンドは無限にできますが、月間で生産できる量は決まっています。この量は、工場のマシンの数に紐づいています。マシンが大量にあれば、もちろん理論上は生産できます。でも、このマシンは、そんなに安くはないので、供給される量というのは、限りがあります。これが大事です。4台+2台の構成の機械を持った工場で、月産、1カラットが最大で200作られますが、色がいい、悪い、様々なものがあります。

編集部:最後に今後の展望ですが、日本発のダイヤモンドですが、やはり海外展開も視野に入れているんですか。

安部社長:もちろん! 石田社長が天然ダイヤモンドの輸入の窓口を持っているので、今まで販売側だった人たちに、今度は輸出することができます。

数に限りがあるため、日本で高く売れるなら日本のマーケットに売りますが、海外へ持って行ったほうが高く売れるなら、それは日本のために海外へ持って行きたいと考えています。

編集部:本日は、ありがとうございました。

ピュアダイヤモンドラボ株式会社代表取締役プロデューサー安部秀之氏


今回のインタビュー、ひょっとしたら、とんでもない大きな変化の根幹に立ち会えたのかもしれない。10年後には、巨大な市場へと成長する可能性を秘めているラボグロウダイヤモンド。大きな期待を込めて今後の成長を見続けていきたい。

天然ダイヤモンドが採れない日本が、世界一のグロウンダイヤモンドの輸出国となる。そんな夢のような世界が現実となる日が、近い将来、訪れそうな気持になるインタビューであった。

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ピュアダイヤモンドラボ株式会社

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虹色のダイヤモンドも夢じゃない! 日本発の「ラボグロウンダイヤモンド」を世界へ


ご存知のようにダイヤモンドは希少性が高い宝石だ。さらに天然ダイヤモンドは産出国が限られており、ダイヤモンド市場も、歴史が長くすでに出来上がっている。なかなか新規参入が難しい市場でもあるのだ。そんなダイヤモンド市場の世界が変わるかもしれないビッグニュースが飛び込んできた。

つい先日、ピュアダイヤモンドファームシンガポールが都内某所にて「ピュアダイヤモンド」新事業説明会を開催した。同説明会では、天然ダイヤモンドと全く同じ組成を持つ人工ダイヤモンド「ラボグロウンダイヤモンド」についての発表と、最新のIT技術であるブロックチェーンを使ったビジネスモデルについての説明があった。

■ダイヤモンド市場に大きな変革をもたらす可能性を持つ「ラボグロウンダイヤモンド」
新規事業説明会は、先述した「ラボグロウンダイヤモンド」の公式ムービーの公開から始まった。ラボグロウンダイヤモンドとは、研究所で生成されたダイヤモンドのことだ。天然ダイヤモンドが生成される地球の地下深くの環境を研究所で再現して、天然ダイヤモンドと同じ組成のダイヤモンドを作り出すことに成功したという。

挨拶に立ったピュアダイヤモンドファームシンガポールの代表取締役クリス・ヤン氏は「全世界でダイヤモンドの埋蔵量や産出量が減少傾向にある中でも、顧客は有名ブランドの高価なダイヤモンドを購入する傾向があります。ダイヤモンドの価値は、鑑定会社を通して保証されており、好きな大きさや色のダイヤモンドを安価に入手することは非常に難しくなってきているのです。天然資源に頼りすぎているのが現状ですが、こうしたダイヤモンド市場に変革をもたらすのが、今回ご紹介するラボグロウンダイヤモンドなのです。」と語った。

■ダイヤの価値をブロックチェーンで保証
ヤン社長によれば、ラボグロウンダイヤモンドでは、同ダイヤの価値はブロックチェーンの技術で保証するという。仮想コインは現物の貨幣が存在せずに相場が上下するが、ラボグロウンダイヤモンドでは、実際にダイヤが存在している点が大きく異なっている。

ラボグロウンダイヤモンドであれば、好きな大きさや色のダイヤモンドを作れるうえ、限りのある天然ダイヤモンドを消費せずに済む。地球環境にも優しい、まさにこれから注目を集めるダイヤモンドというわけだ。

ピュアダイヤモンドファームシンガポール代表取締役クリス・ヤン氏

■2%しかない天然ダイヤと同じクオリティ
続いてピュアダイヤモンド株式会社代表取締役社長である石田茂之氏が登壇。ダイヤモンドビジネスの日本における歴史とマーケットについて話した。

ダイヤモンドの輸入が日本で自由化されたのは1960年だという。「給料3か月分の婚約指輪を贈る」というプロモーションが始まったのは1967年からで、そんなに古い歴史ではないそうだ。とはいえ50年は過ぎている。ダイヤモンド全体の歴史から見れば、50年は古くないというわけだ。

その石田社長はダイヤモンドの輸入業者の家に生まれ、業界では現在最年長になるという。石田社長は現在、アントワープワールドダイヤモンドセンター(AWC)の大使を務めている。いわば、日本を代表するダイヤモンドの専門家というわけだ。

現在ダイヤモンド取引の中心地はベルギーのアントワープだという。
・ダイヤモンド原石の約80%
・研磨済みダイヤモンドの約50%

は同地を通って市場に流通していくそうだ。

ダイヤモンド市場は1990年代から、2010年には約半分ほどになってしまったようだ。そして昨年、同社は2018年9月よりグロウンダイヤモンドを扱うことを明らかにした。

「いろいろな考え方がありますが、ラボグロウンダイヤモンドを認めなければ、ダイヤモンドの市場が成り立って行かないというのが、最終的な答えだと思います」と石田社長。

日本のダイヤモンド市場の規模は大きく、6千億円規模で伸びているという。ブライダル市場は、ダイヤモンド業界にとって大きなマーケットだが、高級ガラス製品のようにダイヤモンドと似た製品も売れている。「どこまで本物にこだわるのか」というのは、今後も考えて行かなければならないことだと石田社長はいうのだ。

ピュアダイヤモンド株式会社代表取締役社長石田茂之氏

■ダイヤモンドの価値はどうやって決める?
ダイヤモンドの価値は、
・カラット
・カラー
・カット
・クラリティ

という4つの要素で決まり、これを4Cと言う。

石田社長はカットを計測する機械を日本のすべての鑑定機関に納めており、その機械がなければ、鑑定書を発行できないそうだ。

ダイヤモンドは「Triple Excellent+H&A」のカッティングが2009年に誕生して以来、新しいことがないため、価格競争が止まってしまい、業界的には非常に大きな問題となっていたと石田社長。

「ラボグロウンダイヤモンドは、天然の中でたった2%しかないピュアな炭素だけのマテリアルで出来上がっています。不純物がないので、もの凄く綺麗です。今後、ラボグロウンダイヤモンドが市場で大きくなっていく、ひとつの要素だと思っています。」(石田社長)

■ラボグロウンダイヤモンドの魅力
ラボグロウンダイヤモンドは、
・綺麗
・リーズナブルなプライス

であることから、いろいろな場所に使われる可能性を秘めている。

石田社長によると、天然ダイヤモンドでダイヤモンドパウダー入りの入浴剤を作ったところ、想像以上に売れたそうだ。

「アイデア次第で、ハイエンドなものと日常消費財を組み合わせた大きな市場拡大というのも、今後は考えていけるのではないかと思います。もっと身近になるラボグロウンダイヤモンドによって、いろいろなアイデアが生まれてくるのではないか」(石田社長)。

■日本ではこれから市場に出回る
アメリカの小売店では、ラボグロウンダイヤモンドは普通の小売店ですでに購入できるが、日本ではいまだに販売されていない。そういう意味で、デパートを含めて、すべての小売店がラボグロウンダイヤモンドの市場となる可能性を秘めている。

ダイヤモンドパウダー入りの入浴剤(ちょっと欲しいかも・・・)

■ラボグロウンダイヤモンドは大きなアドバンテージがある
ピュアダイヤモンド株式会社代表取締役/プロデューサーTakuya Ito氏より「ラボグロウンダイヤモンド」についてのさらなる説明があった。

世界中に流通しているダイヤモンドのほとんどは、サリン社の測定器を利用しており、同社がなければ、ダイヤモンド市場が成り立たないとまで言われているという。同氏は同社の日本マネージャーとして仕事をしていたことから、ダイヤモンド鑑定の世界では名を知られている。

同氏は、
・天然ダイヤモンド
・ラボグロウンダイヤモンド
・キュービックジルコニア(CZ)
・モアサナイト(Moissanite)

を例にとり、ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドとまったく同じであることを強調した。
「ラボグロウンダイヤモンドは、正真正銘、本物のダイヤモンドとまったく同じものです。」(Takuya Ito氏)

ピュアダイヤモンド株式会社代表取締役/プロデューサーTakuya Ito氏

ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドとの違いは、成長する環境だ。前者は研究所で作られるが、後者は地中深いところで作られる。さらに前者は不純物を含まないが、後者の98%は不純物を含んでいる。

ラボグロウンダイヤモンドの製造方法としては、
・CVD法
・HPHT法

の2種類がある。前者はガスを使う比較的新しい方法で、後者は高温高圧を掛ける方法だ。
後者は昔から研究されており、5000気圧の圧力を掛ける。

実際にはできないが、エッフェル塔をひっくり返して指先にのせると、圧力はだいたい5000気圧だという。どれほど高い圧力を掛けてダイヤモンドが作られるのかがわかるだろう。日本のラボグロウンダイヤモンドの技術は世界一と言われており、工業用ダイヤモンドやダイヤモンドワイヤーのほかに、スペースシャトルのオプティカルウインドウにも使われていたほどだ。

天然ダイヤモンドは、地下150~200kmという非常に深い場所で長い年月を掛けて成長する。炭素の結晶として成長するが、成長の過程で他の物質も取り込んでしまう。ほとんどの天然ダイヤモンドは窒素を取り込んだものだが、極稀に不純物を含まない炭素だけの天然ダイヤモンドがある。

後者は産出量のうちわずか2%以下で、オークションではプレミアが付いて高値になるほどの価値がある。それに対してラボグロウンダイヤモンドは、研究所で作っているので、窒素を入れずに作ることができる。

「ラボグロウンダイヤモンドの大きな特徴としては、ピュアなダイヤモンドとして、すべてが成長するということです。天然ダイヤモンドと比較すると、物凄く大きなアドバンテージになると思います」(Takuya Ito氏)

Takuya Ito氏によると、天然ダイヤモンドの中には、非人道的な扱いで採掘を行ったり、自然破壊などがあったりして、そうしたことが大きな社会問題となっている。そういった問題がない点は、ラボグロウンダイヤモンドの大きなアドバンテージにもなる。

ラボグロウンダイヤモンドの組成は天然ダイヤモンドとまったく同じだ

■天然にはないダイヤモンドを作りたい
ピュアダイヤモンドラボ株式会社代表取締役社長/主席研究員の石塚宏彰氏は「日本の養殖ダイヤモンドテクノロジー」について説明した。

石塚氏は神奈川大学に在学していた時代から、ダイヤモンドの生成法について研究していたという。主に工業用の人工ダイヤモンドについてだったが、縁あって現職に至る。

「理想的な天然ダイヤモンドに近いダイヤモンドが、ラボグロウンでも出来る様になった」(石塚氏)

同氏はダイヤモンドの透過率のグラフを示し、ラボグロウンダイヤモンドの品質の高さを強調した。
前述のようにラボグロウンダイヤモンドの生成法としては、
・HPHT法
・CVD法

の2種類があるわけだが、それぞれの生成法で、様々なノウハウがある。

たとえば、HPHT法では、大きなダイヤモンドを生成するうえで、種(Diamond sees)を置くが、その種の置き方や、どういうものを使うのか、というノウハウがある。技術的にも、なかなか難しいもので、そこが企業の技術にもなる。一般的には5~6ギガパスカルの圧力を掛けて温度管理をすると、ダイヤモンドが成長する。

ただし、ダイヤモンドの合成領域を外れてしまうと、ダイヤモンドではなく、グラファイトになってしまう。グラファイトというのは、シャーペンの芯と同じ物質だそうで、ラボグロウンダイヤモンドでは高温高圧のコントロールが非常に難しいそうだ。メレと言われる小さいサイズのダイヤモンドを作るのに適している。

一方、CVD法はガスでダイヤモンドを成長させる方法だ。炭素を含んだガスを放出させた後、プラズマ状態にしてガスを分解して、化合物がイオン化されることで、ダイヤモンドが生成されるというものだ。世界的に主流の方法であり、0.5~1カラット以上の大きいサイズのダイヤモンドを作るのに適している。

「ピュアダイヤモンドラボのホームページにも書いてあるんですけれども、マルチカラーのダイヤモンドのように、天然にはないダイヤモンドをラボで作っていけたらよいなと思っています。原理的には十分に可能かと思っています。たとえば、レインボーカラー。7色のダイヤモンドは、天然には絶対に存在しないので、皆さん、ここに価値を見出されるのではないかなと思います。天然にはなく、我々の手だからこそ、出来るダイヤモンドをやっていきたいと考えています。」(石塚社長)

ピュアダイヤモンドラボ株式会社代表取締役社長/主席研究員石塚宏彰氏

■独自の経済圏をゼロから作りたい
ピュアダイヤモンドラボ株式会社最高技術責任者河崎純真氏は、「ピュアダイヤモンドブロックチェーン」について説明した。

同氏は自社で仮想通貨やブロックチェーン、アプリケーションなどの開発を行っている。最近では、今年2月に起こったコインチェック事件で見えた仮想通貨を追跡する有志のチームに参加して、その内容はNHKスペシャル「仮想通貨ウォーズ~盗まれた580億円を追え!~」にも取り上げられたそうだ。いわばブロックチェーン技術のスペシャリストなわけである。

今回、ラボグロウンダイヤモンドにブロックチェーンの技術を組み込むために、同氏に白羽の矢が立ったのも理解できる。

「話しを聞いてみると、ラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーンの相性は非常に良いです。今の状況でブロックチェーンを活用した流れで、ラボグロウンダイヤモンドの市場を展開し、新たなマーケットを作っていくのは、今しかできないし、今やるべきことだと感じました。」(河崎氏)

同氏によると、ブロックチェーンの技術は、トレーサビリティ(追跡可能性)との親和性が高いという。天然ダイヤモンドの中には、問題を抱えて流通しているものがある。これからラボグロウンダイヤモンドの市場を作る際、ブロックチェーンでダイヤモンドをひとつひとつ管理して市場に流通されることで、今までの天然ダイヤモンドとは異なるクリアで信頼性の高いルートで、流通させることが可能になるという。天然ダイヤモンドの鑑定システムのように、今まで人の手で行っていたものが、ブロックチェーンの技術によって電子化されていくというのだ。

つまり、ラボグロウンダイヤモンドを軸とした新しい流通販売網を作っていくうえで、既存のシステムを利用するのではなく、ブロックチェーン技術で独自の経済圏をゼロから作って行こうというわけだ。同時にブロックチェーンの新しい使い方として、世界にも広めて行きたいとしている。

これまでダイヤモンド市場を牛耳ってきた古い世代から、新しい市場管理の方法へ移行できるかの挑戦になるわけで、旧体制からの反発ももちろんあるだろう。

ピュアダイヤモンドラボ株式会社最高技術責任者河崎純真氏

■まったく新しいプロジェクト、それが「ピュアダイヤモンドブロックチェーン」
ピュアダイヤモンドラボ株式会社代表取締役プロデューサー安部秀之氏は「ピュアダイヤモンドブロックチェーン」のビジネスモデルについて説明した。

同氏によれば、このモデルは「ラボグロウンダイヤモンド×ブロックチェーン×デジタルトークン」の関係でしか実現できない、まったく新しいプロジェクトであるという。ラボグロウンダイヤモンドは現実に存在しているが、それ以外はバーチャル(デジタル)なものだ。新たにラボグロウンダイヤモンドが生まれると、その情報がブロックチェーンに書き込まれる。

さらにダイヤモンドが加工されると、その情報がブロックチェーンに書き込まれる。そのダイヤモンドに、どれくらいの価値があるのか、どこで取引されたのか、というところまで、正確に記録されていくという。つまりラボグロウンダイヤモンドであれば、10年後、20年後でも、これまでの経緯をずっと辿っていくことができるわけだ。

「今までのダイヤモンドにはない価値観というのが生まれてきます。それがラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーンで、実現することができます。」(安部社長)

「天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさず」という老子の言葉は「天の張る網は、広くて一見目があらいようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰を受ける」という意味だが、ラボグロウンダイヤモンドは、ブロックチェーンによって、ダイヤモンドの誕生以降すべての記録が残っており、誰も改ざんすることができない。

盗難に遭ったとしても、それまでの履歴が残っているため、たとえ市場に出回ったとしても、即座に発見されてしまうというわけだ。

デジタルトークンだが、ピュアダイヤモンドコイン(PDC)と言うデジタルトークンだ。PDCはピュアダイヤモンドのラボグロウンダイヤモンドと交換できる唯一の物なので、同ダイヤモンドが欲しい小売店はPDCを入手する必要がある。これによって、「ラボグロウンダイヤモンド×ブロックチェーン×デジタルトークン」の循環が生まれる。

「石田社長もボクも人生をかけてやっています。天然ダイヤモンドは日本では採掘できません。でも、工場を建てれば、ダイヤモンドは人工的に採掘できます。この経済圏というのは、物凄く大きなものとなります」(安部社長)

「ラボグロウンダイヤモンドという現実の物と、PDCというデジタルの物が、ブロックチェーンで結ばれる」という、ダイヤモンド市場を大きく揺るがしそうなニュースをお伝えした。

ピュアダイヤモンドラボ株式会社代表取締役プロデューサー安部秀之氏


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