ポータブル電源メーカーのEcoFlow Technology Japanが昨年9月より始動している「EcoFlow House」。その本格オープンを前に、EcoFlow Houseの内外を体験するプレス向け内覧会が開催されたので、その模様をお届けしよう。
■“オフグリッド”な家
EcoFlow Houseは長野県伊那市の山中にある。元スキー場とキャンプ場だったという地には他に建物もなく、電気も水道も通っていない。4月になっても最高気温が20度、最低気温が2度という日較差も大きい厳しい環境。このような場所に立地するEcoFlow Houseの電気をまかなうのは同社が販売しているソーラーパネルとポータブル電源だ。いわゆる“オフグリッド”な家なのだ。厳しい自然環境と共存する家。これもEcoFlow Houseの目的の1つだ。
このEcoFlow Houseは同社のポータブル電源を購入した人向けにキャンペーンが行われており、抽選で選ばれたユーザーが宿泊できる。2023年3月17日より募集を開始しているが、すでに30組、80名を超える応募があり、当選者は4月中旬から順次宿泊することになっている(応募は9月30日まで)。
同社が掲げるEcoFlow Houseプロジェクトの目的は以下の通りだ。
1. 地域活性化貢献: 新たな観光資源の発掘、横山地域PRに貢献すること
2. 移住希望者の増加: 人口減少や高齢化といった解決の糸口に少しでも役立つこと
3. 地元企業様との連携: 新しい出会いやビジネスの創出の場、また雇用機会の創出をすること
4. 災害対策: ポータブル電源やソーラーパネルの活用により防災体験拠点として活用すること
伊那市は中央アルプスと南アルプスに囲まれた自然豊かな土地。旧来より厳しい自然環境で生活をしてきた土地が、EcoFlowのビジョンを体感できる場所だと感じたために、EcoFlow Houseを設置したという。
EcoFlow Houseに配置されているポータブル電源は、メインとしてパワーシステムと5kWhのバッテリー×2、400W据置型ソーラーパネル×4、100W据え置き型ソーラーパネル×4を電力として、DELTA PROやDELTA 2といった同社のポータブル電源が部屋などに配置されている。なお1日あたりのEcoFlow Houseの発電量を12kWhとして、バッテリーとソーラーパネルが用意されている。3人家族が1日あたり試用する電気は12.2kWh程度なので、十分まかなえるという計算だ。
なおEcoFlow Houseに至る山中は電波も来ていない場所だったが、EcoFlow Houseにはスターリンクが導入されているのでWi-Fiも利用可能。また筆者のau回線も使えた。
■山と気候変化とエネルギーと題した講演も
内覧会では地元で活動する団体による講演会も開催された。パラグライダーの日本代表選手として活躍したこともある呉本圭樹氏は、伊那市でパラグライダーを広げる活動を展開している。
山下勝彦氏はエアブラシアートや彫刻、巨大壁画の職人として活動している。大塚製薬の壁画を描いたこともあるそう。伊那に移住して5年くらいだと言うが、もともとは木曾の出身で、宿場町としてのあり方や、バードプロジェクトに参加しつつ活動しているとのこと。
花谷泰広氏は20歳の時にネパール・ヒマラヤのラトナチュリ(7035m)に初登頂して以来、世界各地を股にかけるアルピニストだ。2012年には登山界のアカデミー賞と呼ばれているピオレドール賞を受賞している。
呉本氏はパラグライダーで飛んでいることで気候の移り変わりに気付いたという。パラグライダーは乾燥した上昇気流が強いときに良いフライトができるが、「大昔はここもまだ大雪が残っていたが、今はほぼ雪が降らない場所になっている。日本でもビッグフライトができる場所が多くなってきているし、今まで環境がよかったのにコンディションが整わず、飛べなくなっている場所もある。氷河や永久凍土が溶けているという話を聞くが、空の中を飛んでいても環境が変わってきていると感じる」とも。
花谷氏は登山の楽しさについて、「日常生活では失敗したら死ぬかもしれないという場面はほぼないが、自然を相手にしているといつ何時何が起きるか分からない。それに対してはある程度予測するし対処するが、リアルな命の駆け引きがあり、それが自然体験の本質的なところだと感じる」と語る。
山下氏は木曾の御嶽山で体験した山小屋のアルバイトを引き合いに出しながら、「御嶽山をなんとかして盛り上げたいという思いがあり、インバウンドに対応できるようなプロジェクトを進めているという。
地球環境の変化を感じる現代。EcoFlow Houseのような場所が増えていけば環境に対する負担、負荷の軽減に役立つだろう。
EcoFlow Houseの募集はまだまだ続いているので、同社のポータブル電源を購入した人は、ぜひとも応募してみてはいかがだろうか。
テクニカルライター 今藤弘一
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