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組織づくりのプラットフォーム「sonar HRテクノロジー」を展開するThinkings株式会社は、採用管理システム「sonar ATS」に新機能「sonar Connecter(ソナ―コネクター)」を追加し、そのプレス説明会を2025年10月28日(火)に開催した。説明会では、「sonar Connecter」開発の背景やサービスの詳細に加え、近年注目されている“静かな退職”の一因とされる「埋もれ人材」(能力を十分に発揮できていない人材)に関する1,000人規模の調査結果が発表された。さらに、ゲストとして人事コンサルタントの曽和利光氏(株式会社人材研究所 代表取締役社長/Thinkings組織再考ラボ フェロー)を迎え、同社 新規事業開発責任者の森田徹氏とともに、調査結果をもとにしたトークセッションが行われた。

■「sonar ATS」の新機能「sonar Connecter」によって社内外の人材配置を最適化

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労働人口の減少が続く日本では、今後「企業が働く人に選ばれる時代」が本格的に到来するといわれている。企業は、社外からの採用に加え、社内公募などを通じて社内人材の活躍機会を広げることが一層求められるようになる。

しかし現状では、多くの企業において「採用(社外)」と「異動(社内)」が別々の業務フローで運用されており、事業部門の人材ニーズに対して柔軟に対応することが難しいのが実情である。

こうした課題に対応するため、Thinkings株式会社は「採用管理システム sonar ATS」において、社内公募とキャリア採用を統合するポジション管理ソリューションとして、新機能「sonar Connecter(ソナ―コネクター)」の提供を開始した。

本機能により、「sonar ATS」上で社内公募・異動といった内部労働市場と、キャリア採用などの外部労働市場を同期させることが可能となる。これにより、企業の事業戦略を支える最適な人材配置の実現を支援する。

■採用業務を自動化・可視化 2300社が導入する「sonar ATS」

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Thinkings株式会社 新規事業開発責任者 森田徹氏


Thinkings株式会社 新規事業開発責任者の森田徹氏は、同社の事業概要および採用管理システム「sonar ATS」について説明した。

2020年に2社の統合によって設立されたThinkingsは、2025年10月にビズリーチの子会社となりビジョナルグループにジョインし、テクノロジーとデザインの力で企業の組織づくりを支援するHRテック企業として成長を続けている。森田氏は約20年にわたり採用支援に携わっており、現在は「採用管理システム sonar ATS」を中心とした事業開発を担当している。

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「sonar ATS」は、新卒・中途を問わず採用業務を一元管理し、応募から入社までのプロセスを効率化するシステムである。業務の自動化とデータ活用により、採用担当者が求職者と向き合う時間を創出し、すでに2,300社以上が導入。大手企業から上場ベンチャーまで、幅広い企業で利用されている。

森田氏は「採用を組織づくりの出発点と捉え、人と組織の成長を支援していきたい」と語った。

■採用と異動を同期 人材最適配置を実現する『sonar Connecter』登場

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Thinkings株式会社は、採用管理システム「sonar ATS」の新機能として、人材の最適配置を支援する「sonar Connecter(ソナーコネクター)」を発表した。
同機能は、社内外の人材データを連携させ、最適な人材を最速で配置することを目的としたものである。従来、採用と異動を別々に管理していた仕組みを統合し、企業の「採用力」と「組織力」の双方を高める狙いがある。

「sonar Connecter」では、事業部門からの人材要望を起点に、AIが職務内容や求められるスキルをサジェスト。社内公募と外部採用のどちらが適切かを判断し、社内外の人材プールを横断して候補者を抽出する仕組みを構築している。AIの支援により、募集要件の精度を高めつつ求人票の作成を自動化。社内外へ同時に求人を公開することで、スピーディーな採用・異動を実現する。

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さらに、「sonar Connecter」には、各部門の採用進捗やポジションの充足率をモニタリングする機能も備わっている。これにより、経営と人事の連携状況を可視化し、どの部門にリソースを集中すべきかを把握できるようにすることで、人的資本経営の高度化にも寄与する。

新規事業開発責任者の森田氏は、「『sonar Connecter』は、採用活動を単なる人材補充の手段ではなく、事業戦略と人事戦略を結びつけるためのプラットフォームへと進化させるものだ」と語る。必要なポジションを素早く、正確に満たすことで、企業の競争力を高めるとともに、社員が自律的にキャリアを築ける環境づくりを支援する。

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■人事コンサルタントも驚く調査結果!「埋もれ人材」と「能力発揮人材」の比較など

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Thinkings株式会社は、「sonar Connecter」のリリースに合わせて、社内でのキャリア開拓や社内公募の実態、そしてそれらに関する課題を把握するため、全国の従業員1,000名以上の企業に勤める一般職のビジネスパーソン1,069名を対象にアンケート調査を2025年9月に実施した。

その結果、【能力が十分に活かされていない“埋もれ人材”が全体の約4割を占める】こと、さらに【いわゆる“静かな退職”の予備軍に該当する割合は、“能力発揮人材”に比べて“埋もれ人材”で3倍以上多い】ことなどが明らかになった。

また、社内公募の仕組みは「埋もれ人材」に能力発揮の機会を提供することで、“静かな退職”予備軍の減少につながる可能性があることも示唆された。

この調査結果をもとに、森田氏と人事コンサルタントの曽和利光氏によるトークセッションが行われ、組織における人材活用のあり方について議論が交わされた。

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調査結果によると、「社内公募に応募したことがない」と回答した人は79.7%にのぼり、全体の約8割を占めることが明らかになった。
また、「埋もれ人材」が社内公募に応募しなかった理由として最も多かったのは、「希望するポジションの公募がなかった」であり、その割合は45.9%に達した。

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「あなたは今後、希望するポジションの社内公募があれば、応募したいと思いますか?」という問に対して、回答者は「応募したい」17.1%、「どちらかと言えば応募したい」32.7%、合計49.8%で、おおよそ半数が社内公募への応募意向があると答えている。「応募したいと思わない」は32.1%と約3割いる。

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これらの調査結果を受けて、曽和氏は「希望するポジションの社内公募があれば応募意向がある、という回答が約50%というのは、 これは質問されたらその答えだろうなと思います。一方で興味深いのは、 希望するポジションの社内公募があるのに応募したいと思わない人が3割もいるというところに驚きました。

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人事コンサルタント 曽和利光氏


それほど、 期待されることに対して答えたいという人が多くて、 多少なりでもこういうところに行きたいなと思っていたとしても、 応募したいと思わないわけですから、 すごく日本の文化を表しているような気がしました」と、なかなか異動に踏み出せないビジネスパーソンの心理を分析した。

また、森田氏は「日本では1on1が形骸化しているという話もありますが、キャリアのことについて考え直すというのは、なかなか当たり前になっていない現状があります。社会人が新卒で入るときに初めて働くことについて考えて、そこでいろいろ考えた結果、就職をして、その後考えるきっかけで評価されたとき、異動したとき、常にそれを周囲の人に話すことがない。キャリアプランを考える機会を自ら作り出すというのが個人では難しいならば、会社として一緒に考える機会を与えることで、働く人の意識を変化させていく、成長性を上げていくという点で必要なのかなと思っています」と、キャリアプランに向き合うことで仕事への向き合い方が変わる可能性を示した。

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「sonar Connecter」は、企業の採用力と組織力を高めるだけでなく、働く個人が自律的にキャリアを築くための環境づくりを支援するプラットフォームである。人材の“最適配置”を超え、人と組織がともに成長するための新しい採用・配置モデルとして、今後の人事戦略に大きな変革をもたらす可能性を秘めている。

テクニカルライター 後藤 響平


Thinkings株式会社

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世界標準の採用
小野壮彦
日経BP
2025-05-08